新卒で一人暮らしを始める人は要チェック!家賃相場や部屋探しのポイント

スーツを着た新卒の女性社員

新卒で一人暮らしをスタートさせる際、「どんな賃貸物件を探すべきかわからない」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
漫然とした気持ちで決めるのではなく、社会人としての生活をイメージして賃貸物件を探すことが大切です。

今回は、一人暮らし向けの賃貸物件の家賃相場や、一人暮らしの生活費シミュレーションなどについて解説します。また、生活費の節約方法も紹介していきますので、社会人としての暮らしに不安がある方は参考にしてみてください。

新卒で一人暮らしを始める際に覚えておきたい!家賃と収入の関係性

新卒の場合、金銭面にあまりゆとりがないことがほとんどです。
一人暮らしを始める前に、まずは家賃と収入の関係性について把握しておきましょう。

一人暮らしの家賃は「手取りの1/3~1/4」がおすすめ

一人暮らしの家賃は手取りの1/3~1/4くらいが、生活に余裕をもたせられるためおすすめです。

勤務先にもよりますが、新卒は給与水準が低く、ボーナスにも過度な期待はできないことが多いです。病気や事故など万が一のときに備えるために貯金をしつつ、生活に支障をきたさない家賃の賃貸物件を選びましょう。

また、家賃は「家賃+管理費(共益費)など月々発生する諸経費のトータル」として認識することが重要です。

家賃だけを見てしまうと、住み始めてから思わぬ費用が発生するかもしれません。物件情報を見るときは、家賃以外の毎月発生する費用にも目を通しておいてください。

「額面」と「手取り」の違い

給与における額面と手取りは、実質的な金額が異なります。

<額面と手取りの違い>
・額面:給与の総支給額
・手取り:税金や保険料などが差し引かれた、実際に受け取れる金額

希望家賃の目安を決める際は、手取り額から考える必要があります。額面から家賃を決めてしまうと家賃の負担が重くなってしまい、家計を圧迫するおそれがあるので注意しましょう。

ついでに知っておきたい!「年収」と「月収」の関係性

年収と月収の意味を理解しておくと、お金の管理に誤差が生じにくくなります。

<年収と月収の関係性>
・年収:税金や保険料が差し引かれていない、ボーナス等も含む年間の総支給額
・月収:年収を12ヶ月で割った額

年収・月収と手取り額には差があります。生活費や家賃など、お金の管理をする際は、年収や月収ではなく毎月の手取り額を参考にしましょう。

新卒の平均初任給

新卒の平均初任給について、各産業全体や業種別の平均を紹介します。

【業種別の平均給与】

業種平均給与
食料品211,104円
化学・ゴム227,714円
金属工業217,129円
土木建設業227,962円
卸売・小売業222,786円
全業種の平均219,402円
※出典:日本経済団体連合会 2021 年3月卒「新規学卒者決定初任給調査結果」の概要

高卒や大卒、大学院卒など最終学歴で新卒の給与に差はあるものの、上記が初任給の目安です。

また、手取り額は一般的に額面の75~85%程度であることが多いです。就職して一人暮らしを始める人は、上記を参考に家賃や生活費のボリュームをイメージしてみてください。

手取り額別・家賃相場

手取り額別に家賃(手取りの1/3 or 1/4)の目安を見ていきましょう。

【手取り額別の家賃相場】

手取り額手取り1/3の家賃手取り1/4の家賃
12万円約40,000円 約30,000円
13万円約43,000円約33,000円
14万円約47,000円約35,000円
15万円約50,000円約38,000円
16万円約53,000円約40,000円
17万円約57,000円約43,000円
18万円約60,000円約45,000円
19万円約63,000円約48,000円
20万円約67,000円約50,000円
21万円約70,000円約53,000円
22万円約73,000円約55,000円

一度物件を契約をしてしまうと簡単には変えられないので、入居先を決める際は上記の表を参考にしつつ、生活への負担が少ない家賃の賃貸物件を選びましょう。

新卒で一人暮らしするための部屋探しのポイント5つ

ここからは、新卒で一人暮らしをする際に押さえておきたい賃貸物件探しのポイントを5つ紹介していきます。

①無理に都心エリアに住もうとせず、アクセスが良い郊外・周辺の県も視野に入れる

賃貸物件を探す際は、無理に都心エリアへ住もうとせず、アクセスの良い郊外や周辺の県も視野に入れましょう。

都心エリアは利用できる路線多いなど非常に便利な立地ではありますが、その分家賃相場が高額なため、新卒の給与では快適に過ごせる物件を選べなかったり、生活に困窮してしまうかもしれません。

具体的にどのくらい家賃の差があるのか、都心エリアと郊外・周辺の県にある賃貸物件で家賃を比べてみた結果、以下のような差が出ることがわかります。

【都心エリアと郊外の家賃比較】

エリア家賃
新宿駅周辺約54,000~15,0000円
赤羽駅周辺約33,000~14,5000円
登戸駅周辺約29,000~112,000円
※駅から徒歩10分・1Rの賃貸物件
※出典:CHINTAIネット 2022年2月時点

新宿駅周辺の都心エリアは、上記のほかのエリアに比べて最低家賃が約20,000円以上高いことがわかります。郊外・周辺の県であっても、交通アクセスの便が良ければ通勤・通学は可能なため、家賃が抑えられるエリアも視野に入れて、賃貸物件探しを行いましょう。

②妥協しても生活に不便がない条件から緩和する

妥協しても生活に不便のない条件から緩和して、家賃が抑えられる賃貸物件を探すことも大切です。

賃貸物件を探す際は、いくつかの条件を不動産会社へ提示して物件を紹介してもらいます。このとき、条件が多すぎると家賃が高くなってしまうだけでなく、物件の選択肢も少なくなります。

もし予算に合わない場合は、優先順位を付けたうえで条件をいくつか外すことも検討しましょう。
以下は緩和しやすい条件の例です。

<緩和しやすい条件の例>
・築年数
・オートロック
・バス、トイレ別
・独立洗面台
・お風呂の追い炊き機能
・TVモニター付きインターホン
・宅配ボックス

築年数に関しては、築古であってもリフォームやリノベーションによって築浅物件同様にきれいな賃貸物件もあります。

また、築年数の古い賃貸物件は家賃も安くなりがちなため、予算にも合わせやすいです。他の条件についても、生活上問題ないレベルであれば緩和していきましょう。

ただし女性の場合、セキュリティ面での妥協はおすすめできません。オートロックやTVモニター付きインターホンなどは防犯性能を高めてくれるため、安心して暮らせるよう条件に加えておきましょう。

③都市ガスの賃貸物件を選ぶ

毎月かかる光熱費を抑えるには、都市ガスを使える物件がおすすめです。

都市ガスとプロパンガスは料金に差があり、都市ガスの方が安い傾向にあります。具体的にどのくらいの違いがあるのか、東京都の都市ガス・プロパンガスの料金を例に見ていきましょう。

【プロパンガスと都市ガスの料金比較】

プロパンガス(※1)都市ガス(※2)
基本料金1,650円759円
従量料金5,280円1,593円
合計6930円2,352円
※1 出典:マイニチガス LPガス料金
※2 出典:東京ガス 東京地区等のガス料金
※使用量は10㎥を想定、料金は税込み

プロパンガスと都市ガスを比較すると、上記の場合は4,500円以上の差があります。毎月発生する費用なので、都市ガスを利用できる物件を選ぶことも生活費を抑えるためのひとつの方法です。

④駅からの距離は通勤がつらくない程度に

最寄り駅から自宅までの距離は、通勤がつらくならない程度を意識しましょう。

駅から遠ければ遠いほど家賃は安くなる傾向がありますが、通勤が不便になるおそれがあります。あまりに遠すぎると、毎日の通勤だけで心身ともに疲れてしまうかもしれません。

総務省統計局の調査によると、通勤にかける時間の割合は以下のとおりです。

<通勤にかける時間>
・30分未満:52.4%
・30分以上:44.6%
・2時間以上:0.8%

※出典:平成25年住宅・土地統計調査結果

上記の結果はドア to ドア(自宅から勤務先までの通勤)における通勤時間です。
駅から勤務先までの距離にもよりますが、自宅から駅まで20分以上かかる立地の場合は、目安となる30分前後をオーバーする可能性が高いです。

自宅から駅までの移動時間は10分前後を目安に賃貸物件を探してみましょう。

⑤敷金礼金0円・家具家電付き・フリーレント物件などを選んで初期費用を抑える

一人暮らしを始める際は、初期費用が抑えられる賃貸物件を選ぶこともポイントです。
初期費用が抑えられる賃貸物件の例として、以下のようなものが挙げられます。

<初期費用を抑えられる賃貸物件>
・敷金礼金0円:入居時に支払う敷金と礼金がかからない賃貸物件
・家具家電付き:入居後に必要な家具、家電がすでにそろっている賃貸物件
・フリーレント物件:入居後の一定期間(1ヶ月や2ヶ月)は家賃が発生しない賃貸物件

ただし、敷金0円の賃貸物件に関しては、退去時に発生する原状回復費用を支払わなければならない可能性があるため注意が必要です。

敷金は、家賃滞納や原状回復費用を補填するために支払う費用であり、敷金を事前に支払っていない場合、退去時にまとまった費用を請求されるかもしれません。
場合によっては大きな出費に繋がる可能性があるので、契約の前に原状回復費用について確認しておくようにしましょう。

なお、一人暮らしの初期費用についてはこちらの記事で、フリーレントについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

⑥会社の福利厚生を確認し、住宅手当に該当する駅を選ぶ

会社の福利厚生を確認して、住宅手当の要件に該当する駅を選ぶことも大切です。

住宅手当とは、福利厚生の一環で、住宅にかかる一部費用を会社が負担して出してくれる制度のことです。法律上定められているわけではないので、会社によって住宅手当の有無や条件が異なります。

厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査」によると、住宅手当を支給している会社は全体の47.2%であり、とくに、1,000人以上の従業員がいる会社の場合は61.7%と過半数に達しています。物件を決める前に、会社から住宅手当を支給してもらえるかどうか確認しておくようにしましょう。

以下に住宅手当の主な例を挙げているので、会社の福利厚生で利用できるものがないかチェックしてみましょう。

<住宅手当の例>
・家賃補助:アパートやマンションなど、賃貸物件へ住む従業員に対して、家賃の一部を補助する
・社員寮:低価格で住める物件を従業員に提供する
・引越し手当:転勤や赴任、会社近くへの引越しなどの際、発生する費用を会社が一部負担する

家賃補助や引越し手当には会社ごとに要件があり、該当しない場合は手当が支給されません。
会社からの距離やそのエリアに住む理由など要件はいくつかあるので、住宅手当の有無と一緒に確認しましょう。

新卒で一人暮らしをする際の生活費シミュレーション

新卒で一人暮らしをする際の生活費をシミュレーションして、具体的なランニングコストをイメージしてみましょう。

手取り15万円の場合の生活費シミュレーション

手取り15万円で生活する場合をシミュレーションしてみます。

【手取り15万円の生活費シミュレーション】

項目費用
家賃50,000円
食費25,000円
光熱費10,000円
日用品の購入費5,000円
医療保険費7,000円
交通費11,000円
通信費7,000円
娯楽費10,000円
その他15,000円
合計140,000円
残高10,000円

手取りが15万円の場合、上記のシミュレーションでは残高が10,000円です。決して多くはない金額ですが、雑費や食費など流動費(固定されない費用)は自分で調整して安く抑えることもできます。

手取り17万円の場合の生活費シミュレーション

手取り17万円の場合の生活費をシミュレーションしてみましょう。

【手取り17万円の生活費シミュレーション】

項目費用
家賃50,000円
食費25,000円
光熱費10,000円
日用品の購入費5,000円
医療保険費7,000円
交通費11,000円
通信費7,000円
娯楽費20,000円
その他20,000円
合計155,000円
残高15,000円

手取り17万円の場合、手取り15万円よりも生活費に余裕が生まれます。ただし、流動費を節約しなければ残高が0円になる可能性もあるので注意が必要です。

手取り19万円の場合の生活費シミュレーション

手取り19万円の場合で生活費をシミュレーションします。

【手取り19万円の生活費シミュレーション】

項目費用
家賃60,000円
食費30,000円
光熱費10,000円
日用品の購入費5,000円
医療保険費7,000円
交通費11,000円
通信費7,000円
娯楽費20,000円
その他20,000円
合計170,000円
残高20,000円

手取り19万円となると、家賃や食費にお金をかけても20,000円程度のお金は残ります。貯金に回せるお金にも余裕が出てくるので、万が一のときに備えて貯金を続けていきましょう。

新卒で一人暮らしする際の節約ポイント

ここからは、新卒の一人暮らしで押さえておきたい節約のポイントを4つ紹介していきます。

水道光熱費

水道光熱費は生活スタイルや契約するプランなどの見直しによって節約できます。具体的な方法は以下のとおりです。

<水道光熱費を節約する方法>
・契約している会社や料金プランを見直す
・支払方法をキャッシュレス決済(クレジットカードやスマホ決済など)に変える
・待機電力を抑える(家電製品の主電源を落とす)
・お風呂の入り方を見直す(シャワーのみに切り替える、お風呂に溜めるお湯を減らすなど)

まず確認するポイントは契約会社や料金プランです。ガスや電気は小売全面自由化によって、いくつもの事業者が参入しました。

現在は各社で異なる料金プランが展開され、利用者は生活スタイルに合わせてプランが選べます。自分に合った料金プランを契約することで無駄な出費が抑えられ、光熱費の節約が可能です。

また、水道光熱費の支払いをキャッシュレス決済に変えると、支払いのたびにポイント還元を受けられます。貯まったポイントを日用品などの購入費へ充てることにより、毎月の支出を抑える効果に期待できます。

なお、こちらの記事で一人暮らしの水道代を、光熱費に関してはこちらの記事で詳細を解説しているので、節約のポイントをもっと知りたいという方は一緒にチェックしてみてください。

通信費(スマホ・ネット)

通信費(スマホ・ネット)を節約することで、毎月の支出を安定して減らすことができます。具体的な通信費の節約方法を見ていきましょう。

<通信費の節約方法>
・料金プランの見直し
・セットプランへの切り替え
・格安SIMへの切り替え

スマホの料金は、毎月のデータ通信量やプラン別の基本料金などで変わってきます。

とくに注目すべきなのはデータ通信量です。プランごとにデータ通信量の上限値は決められており、この上限値を下げることで料金も安くなります。毎月のデータ通信量を確認し、それに応じた料金プランを選びましょう。

固定回線に関しては、光回線を契約しているとデータ通信量の上限がありません。スマホとセットで光回線を契約すると料金が安くなるプランもあるため、契約内容見直しの際は検討してみてください。

また、スマホの料金を下げるには格安SIMへの切り替えも検討しましょう。
SIMとはスマホのなかに入っている、加入者情報や電話番号などが記録されたカードです。大手携帯電話会社より月額料金が抑えられるので、通信費の削減に期待できます。

食費

食費は流動費のなかでもとくに抑えやすい費用なので、自分に合った節約方法を実践していきましょう。

<食費の節約方法>
・外食を控える
・スーパーで安売りされている食材を購入する
・自炊にこだわりすぎない(お弁当やお惣菜も利用する)

まず押さえておきたいのが外食する機会を減らすことです。

マイボイスコム株式会社が行った外食に関するアンケート調査によれば、外食1回あたりの支出額は800~1,000円が相場でした。1回あたり1,000円の外食を毎日続けた場合、支出は毎月30,000円に達します。

食費を抑えるには、スーパーで安売りされている食材を購入し、自炊しながら支出を減らすことが大切です。
可能であれば、購入した食材費を家計簿へ記載して、支出額も管理してみてください。無駄な出費があれば、次回以降の節約の参考にできます。

注意点として、自炊にこだわりすぎるのもNGです。自炊は手間や時間がかかり、慣れていないと毎日続けられない可能性があります。
まずは週に数日無理のない程度に自炊し、生活リズムを合わせていきましょう。

また、スーパーによっては、特定の時間帯でお弁当やお惣菜の価格が下がる場合があります。
自炊のための食材の購入費より割安になることもあるので、スーパーのお弁当やお惣菜などを活用することも検討してみてください。

交通費

支払い方法やチケットの購入方法を変えるだけで、交通費の節約が叶います。交通費の節約方法を見ていきましょう。

<交通費の節約方法>
・定期券の支払いをクレジットカードで行う
・回数券を利用する
・金券ショップでチケットを購入する

定期券の支払いをクレジットカードで行うと、ポイント還元により節約できます。貯まったポイントで日用品や食料品を購入すると、さらに支出を減らせます。

また、1~2週間など短期的にバス・電車を利用する場合は、回数券がおすすめです。回数券は10回分の料金で11回分の乗車券が手に入るなど、乗車1回分の料金が節約できます。

新幹線や飛行機を利用するという場合は、金券ショップを覗いてみましょう。定価よりも安い価格でチケットを販売していることがあります。

ただし、希望するルートのチケットが販売されているとは限らないので注意してください。

新卒の一人暮らしはいろいろ入用!賢く部屋探ししてスタートしよう

新卒の一人暮らしは引越しや入居時にまとまった費用が必要です。賢く賃貸物件探しを行って、金銭的な負担を減らした状態で新生活をスタートさせましょう。

賃貸物件を探す際は、以下のポイントを押さえておくと支出を抑えられます。

<賃貸物件探しのポイント>
・アクセスが良い郊外や周辺の県も検討する
・妥協しても不便がない条件から緩和する
・都市ガスの賃貸物件を選ぶ
・駅からの距離は通勤がつらくない程度に
・初期費用が抑えられる賃貸物件も検討する
・会社の福利厚生を確認し、住宅手当に該当する駅を選ぶ

また、実際にどのくらいの費用がかかるのかをイメージすることも重要です。

具体的な費用が把握できないという方は、今回ご紹介した生活費のシミュレーションを参考にしつつ、自分のライフスタイルについて考えながら計算してみてください。

ふどサーチ編集部