高校生でも一人暮らしはできる?できるケースや注意点、始めるまでの流れを解説

おしゃれな部屋でスマホを見ている、一人暮らしの女性

実家から離れた学校に進学する場合など、事情があって一人暮らしをしたいと考えている高校生の方もいると思います。

しかし、そもそも高校生でも賃貸物件の契約ができるのか、不安に思ってしまうことでしょう。

今回は、高校生でも契約者として賃貸物件を借りられるのかを解説していきます。一人暮らしを考えている高校生や、保護者の方はぜひ参考にしてください。

高校生でも一人暮らしはできる?

結論から述べると、高校生でも一人暮らしは可能です。

しかし、高校生など未成年者が賃貸物件の契約をする場合は、親の同意書と連帯保証人が必須です。また、通常の賃貸契約に比べると入居審査が通りにくい可能性もあります。

なぜなら、高校生を含む未成年は、契約を結ぶにあたり法律的に制限があり、また安定した収入を得られる保証がないからです。

そのため、契約を断る不動産屋さんや大家さんもいるかもしれないことを、念頭においておきましょう。

高校生で一人暮らしを始める際に意識したい注意点

高校生が一人暮らしを始める場合、成人の一人暮らしよりも注意するべき点が多くなります。特に気をつけたい5つのポイントについて、内容を詳しく解説します。

注意点①:親権者の許可が必要

高校生を含む未成年者が賃貸物件を借りる場合、親権者の許可は必要不可欠です。親権者とは、子どもの監護や財産管理の権限をもつ人のことを指します。

法律上、未成年者賃貸借契約には親権者が同意書にサインする必要があり、それがなければ物件を借りることができません。親権者がいない場合は、その代わりの役割がある未成年後見人のサインが必要です。

また、賃貸物件を借りる場合、原則連帯保証人が不要な賃貸物件であっても、収入の安定していない高校生が借りる場合には連帯保証人が必須です。連帯保証人には、契約者の家賃の支払いが滞った場合に、代わりに支払う義務があります。

そのため、「親と喧嘩したから一人暮らしがしたい!」などと安易に物件の契約をすることはできません。未成年が一人暮らしをするには、親権者に同意書のサインをもらい、連帯保証人になってもらうことが必須であることを理解しておきましょう。

注意点②:学業と家事の両立の困難さを認識する

一人暮らしをすると、身の回りの家事をすべて自分でこなさなければいけません。料理や部屋の掃除、洗濯はもちろん、家賃・光熱費の支払いなどにともなうお金の管理など、すべきことはたくさんあります。

高校生は勉学が本分です。一人暮らしをすると、毎日の家事に追われて学業がおろそかになる可能性が高くなります。

さらに、家賃や食費などの生活費をアルバイトの収入でまかなう場合は、より家事と勉学の両立は難しくなります。学校が終わったあとにアルバイトをして、そのあとに勉強や家事をするのは、時間的にも体力的にも厳しいといえます。

注意点③:生活費用をアルバイト収入のみでまかなうのは不可能に近い

一人暮らしには毎月さまざまな生活費用が必要となり、最低でも以下の項目の費用を払わなければいけません。

・家賃
・水道光熱費
・食費
・通信費
・交通費
・医療費

上記項目のほかにも、服飾費や交際費、娯楽費などの出費があります。

令和2年度学生生活調査の結果を参考にすると、仮に家賃4万円ほどの賃貸物件に済むとしても、生活費として毎月8~10万円は必要になる想定です。時給900円のアルバイトで10万円稼ぐ場合、月111時間以上働く必要があります。

全日制の学校に通っている高校生の場合、平日は学校終わりの4時間ほどしかアルバイトができません。月〜金4時間ずつ、土日のどちらかに10時間働くとすると、ほぼ毎日アルバイトをする必要があります。

学業と家事を両立させる必要がある高校生は、たくさんの時間をアルバイトに充てるのは難しいでしょう。そのため、一人暮らしにかかる費用を高校生のアルバイトだけですべてまかなうのは、不可能に近いといえます。

注意点④:友人と過ごせる時間が減る

高校生で一人暮らしをする場合、先に説明した通り、学業と家事に時間を割かなくてはなりません。注意点③で説明したように、生活費をアルバイトで稼ぐなら、自分のために使える自由な時間はほぼありません。

高校生は、貴重な青春時代の1ページです。家事とアルバイトは大人になってもできますが、学校帰りに友達と遊ぶことは、いつでもできることではありません。

貴重な時間の中で思い出づくりを大切にしたいのであれば、高校生の一人暮らしはおすすめできません。

注意点➄:さまざまなトラブルに巻き込まれるリスクがある

一人暮らしをしている人が、犯罪に巻き込まれるニュースを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

経験も浅く、社会的な立場が弱い高校生は、侵入窃盗やストーカー、悪徳勧誘などの犯罪やトラブルに巻き込まれるリスクも高く、いつでも頼ることができる家族がすぐ近くにいないのは心細いものです。

また、一人暮らしをすると、ご近所トラブルも自分で解決しなければいけません。

たとえば、家に友達を呼んで起こった騒音の苦情など、責任をもって対応する必要があります。高校生に限ったことではありませんが、一人暮らしをすることにはこのようなリスクがついてまわることを前もって知っておきましょう。

高校生でも賃貸物件契約ができるケース

高校生でも一人暮らしは可能ですが、以下の条件を満たしていることが必須です。ここからは、高校生が賃貸物件を契約できる2つのケースについて解説していきます。

高校生だが親権者の同意を得ているケース

先述の通り、高校生など未成年者の賃貸契約には親権者の同意が不可欠です。親権者が同意していることを証明するために用いられるのが、「親権者同意書」です。

親権者同意書とは、未成年者が契約者となる場合に利用する同意書のことを意味しています。

法律上、未成年者が法定代理人の同意を得ずに契約を結んだ場合、原則として取り消すことができると定められています。親権者が賃貸契約に同意することで、大家さんにとってデメリットの多い、未成年者との契約のデメリット部分を取り除く効果があります。

また、親の同意を得ていても、入居審査に通らなければ一人暮らしはできません。審査に通らなければ物件探しから仕切り直す必要があるため、前もって不動産屋さんに高校生でも入居可能な賃貸物件があるかどうかを確認しておくと安心です。

18歳の誕生日を迎えているケース

今までは成人の定義は20歳以上だったため、ほぼすべてのの高校生は未成年者でした。しかし、2022年4月1日から成人年齢を引き下げる法律が施行され、成人の定義が18歳以上に変更されます。

そのため、一部の高校生は法律上成人扱いになるので、親の同意なく賃貸物件を借りることが可能になります。

しかし、貸主側から収入が不安定だとみられることは変わらず、法律が改正されても審査が通りやすくなるわけではありません。

高校生だが結婚しているケース

法律上、結婚していれば高校生であっても成年者として扱われるため、親の同意なしに賃貸物件を借りられます。また、離婚している場合も婚姻歴があれば成人として扱われます。

成人年齢の引き下げにともない、結婚できる女性の年齢が16歳から18歳に引き上げられます。そのため、男女ともに結婚できる18歳になれば、結婚も賃貸物件の契約も親の同意なしに自由に行えるということです。

高校生が一人暮らしを始めるまでの流れ

高校生が一人暮らしを始めるには、以下の4ステップを踏む必要があります。事前の準備が必要なため、一人暮らしの契約をする前に目を通しておきましょう。

①親の同意を得る

高校生が一人暮らしを始めるには、親の許可が必須です。親権者同意書にサインする必要があるため、不動産屋さんに準備してもらいましょう。

親権者同意書には、親権者の住所や氏名、生年月日を自筆で書いてもらう必要があります。印鑑も必要なため、押し忘れがないように注意が必要です。

②お金を用意する(初期費用・生活費)

一人暮らしには、敷金・礼金・保証金・仲介手数料などの初期費用がかかります。初期費用の目安は、家賃の5~7ヶ月分といわれているため、家賃が5万円の場合は、25~35万円ほど入居時に支払うことになります。

初月の生活費も前もって準備しておきましょう。先述の通り、一人暮らしには月10万円程度必要になるので、入居後の生活費はアルバイトでまかなうのか仕送りをしてもらうのかなどについても事前に家族と相談しておきましょう。

③実際に暮らす部屋を探す

一人暮らしの費用を用意できれば、実際に賃貸物件を探していきます。家賃上限やセキュリティ面など、希望条件を整理したうえで不動産屋さんに相談すると、物件探しがスムーズに進みます。

賃貸物件によっては、高校生の入居が認められていないケースも多いため、高校生でも入居可能な賃貸物件に絞って探すことが重要です。

気になる賃貸物件があれば、高校生の入居が可能かどうかを、早い段階で不動産屋さんを通して大家さんに確認する必要があります。

④引越しをする

賃貸物件が決まれば正式に申し込みを行い、不動産屋さんと本契約を交わします。親権者同意書はこの時に必要なので、必ず用意しましょう。連帯保証人の書類や住民票、印鑑証明なども必要です。

入居審査が通れば、不動産屋さんからカギを引き渡され正式に一人暮らしを始められます。

すべての契約が完了したあと、引越し作業が始まります。実家から離れている場合は、引越し業者に依頼しましょう。業者に依頼する場合は費用がかかるため、その費用も前もって確保しておかなければいけません。

未成年は必ず親の同意を得たうえで、一人暮らしを楽しもう!

高校生でも一人暮らしは可能ですが、親の同意が必要不可欠です。親に隠れて一人暮らしをすることはほぼ不可能なため、必ず事前に同意を得ましょう。

学業・家事を両立させなければいけない高校生の一人暮らしは、友達と過ごせる時間が減るなどデメリットが多いのも事実です。注意点に気をつけながら、自由な一人暮らしを楽しみましょう。

ふどサーチ編集部