単身赴任にかかる費用はどのくらい?発生する手当や生活費を節約する方法も徹底解説!

単身赴任の男性を見送る家族

会社勤めをしていると、遠方への転勤を命じられることがあります。家族と一緒に暮らしている人が転勤を命じられた際、場合によっては単身赴任をしなければいけません。しかし、いざ単身赴任となっても金銭面で不安のある方もいるのではないでしょうか。

今回は、単身赴任にかかる費用や手当、単身赴任の生活費を抑えるポイントなどを解説していきますので、将来的に単身赴任の可能性がある人はぜひ参考にしてください。

そもそも単身赴任とは?

単身赴任とは、会社から転勤を命じられた際に、同居している家族や配偶者と離れて単身で赴任先の土地に行って生活をすることです。単身赴任には、以下のような目的があります。

・赴任先の人員を増やすための人事異動
・新しい場所や人間関係を経験するための人材教育
・企業のスクリーニング
・担当業務の一新

単身赴任には、会社の人員不足などの原因も挙げられますが、新しい環境での経験を身につける目的も含まれます。また、グローバルに活躍している企業の場合、国内だけでなく海外赴任を命じられる可能性もあります。

単身赴任の期間は企業によってさまざまです。半年などの短期間のこともあれば、10年以上になる可能性もあります。経験を積んで戻ってくることを想定した単身赴任の場合は、3〜5年のケースが一般的です。

出向や異動との違い

出向とは、勤めている会社のグループ会社や子会社など、今とは違う企業へ異動することを指します。多くの出向は、現在の会社との雇用契約を結んだまま別会社で働く形態です。別会社で経験を積むことで、社員のスキルアップや人材交流が望めます。

一方異動とは、勤務先の部署や役職が変わることを指します。転勤も異動に含まれますが、勤務地が変わる場合は転勤、変わらない場合は異動を使うのが一般的です。
引越しを伴う場合は転勤、引越しを伴わない場合は異動と考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。

単身赴任にかかる費用まとめ

単身赴任には、主に以下の費用がかかります。

・初期費用
・生活費

初期費用には、賃貸契約の敷金や礼金、引越し費用や家具家電の購入費用などが含まれます。生活費は、一般的な単身一人暮らしと同じくらいの費用がかかるイメージです。単身赴任の場合、単身一人暮らしの費用に加えて家族や配偶者の生活費もかかるため、通常の世帯よりも1.5〜2倍ほどの生活費がかかると想定しておきましょう。

具体的な金額は以下のとおりです。

<初期費用>

項目金額の目安
賃貸契約初期費用約25~30万円
引越し費用約6.6万円
家具、家電購入費用約10万円

上記は、単身赴任先が500km以上離れた遠距離の引越しを想定しています。

賃貸契約の初期費用は、家賃の5〜6ヶ月分が相場です。ここでは家賃5万円を想定していますが、家賃が高くなるにつれて賃貸契約の初期費用も上がります。

また、引越し費用についても上記では通常期を想定していますが、繁忙期での引越しとなると料金が上がる可能性が高いため、複数の引越し業者を比較検討することがおすすめです。

<生活費>

項目金額の目安
住宅費約3万円
光熱費約1万円
食費約4万円
交通・通信費約2万円
その他の出費約3万円

上記の費用は、総務省が発表している「家計調査2021年」を参考にしています。全国の平均値のため、都心部で暮らす場合は家賃などの住宅費が高くなると考えておきましょう。

また、人によって異なりますが、上記の項目以外にも費用が発生する場合があるため、生活費は毎月トータルで約15万円かかるとされています。

参考:総務省 「家計調査2021年

単身赴任で発生する手当まとめ

なにかと費用がかかる単身赴任ですが、会社からさまざまな手当をもらえることがあります。もらえる手当の種類は会社によって異なりますが、一般的には以下のものが該当します。

・単身赴任手当
・家賃補助(住宅手当)
・帰省旅費手当
・転勤支度金(単身赴任準備金)

それぞれの手当の特徴を解説していきます。

単身赴任手当

単身赴任手当とは、家族の理由で単身赴任せざるを得ない社員・職員に支給される手当のことです。
単身赴任は生活費が二重にかかるため、負担を少しでも軽減するために単身赴任手当が支給されます。

単身赴任手当の支給有無や手当の金額、支給条件は職場によって異なりますが、厚生労働省の平成27年の調査によると、単身赴任手当の平均支給額は約4.6万円です。

ただし、会社の規模が小さくなればなるほど支給される割合は減少する傾向にあり、社員数1,000人以上の会社の支給割合が66.9%なのに対し、30〜99人の会社は7.0%と大きな差があります。

〈単身赴任手当の特徴〉
・おおよそ4~5万円ほど支給されるのが一般的
・規模が小さい会社では支給されにくい傾向がある

参考:厚生労働省 「平成27年就労条件総合調査の概況

家賃補助(住宅手当)

家賃補助とは、社員が住むアパートやマンションなどの家賃を一部補助する手当のことです。前述と同じ厚生労働省の調査によると、住宅手当の平均額は約1.7万円で、支給率は40.7%です。

家賃補助(住宅手当)には2つの種類があり、住宅手当費用を給与に上乗せされるか、会社が用意した社宅に住むかのどちらかです。家賃補助が給与として支払われる場合は自分で好きな物件を選べますが、会社があらかじめ用意されている物件に住む場合は自分で部屋探しができません。

〈家賃補助(住宅手当)の特徴〉
・平均額は約1.7万円で、支給率は約40%
・給与に家賃補助が上乗せされるケースと、所属している会社が用意した社宅に住むケースの2つがある

帰省旅費手当

社員が単身赴任先から帰省する場合に、交通費として支給されるのが帰省旅費手当です。実際に帰省した際かかった費用を請求するのが一般的ですが、手当の使用回数は決まっている場合が多く、帰省しない月はもちろん支給されません。

〈帰省旅費手当の特徴〉
・単身赴任先から帰省する場合に交通費として支給される
・支給額や支給回数に上限があることが多い

転勤支度金(単身赴任準備金)

賃貸契約費や引越し費用など、単身赴任には多くの初期費用がかかります。そんな高額な初期費用の一部を負担してくれるのが転勤支度金です。支給金額は会社や役職などによって異なり、支出額の数%・固定額・全額などさまざまです。

また、転勤支度金は赴任先への旅費を指す場合もあります。宿泊滞在費・日当・交通費のほか、家族が一緒に移動した場合は家族の分の転勤支度金も支給されることがあります。

〈転勤支度金(単身赴任準備金)の特徴〉
・転勤にかかる費用の一部を支給するもの
・個人の分だけでなく、家族の分も支給されることが多い

単身赴任に向いている物件

単身赴任が決まったら実際に住む賃貸物件について調べましょう。

単身赴任は辞令を受けてから赴任まで、期間が短い場合が多いため、効率的に部屋探しを行う必要があります。ここからは、単身赴任に向いている物件を紹介していきます。

通常の賃貸物件

単身赴任用の住まいとして活用しやすいのが一般的な賃貸物件です。

通常賃貸物件の部屋探しは多くの人が経験しているため、特に問題なくスムーズに行うことができるでしょう。ただし、多くの通常賃貸物件は敷金・礼金などの初期費用がかかるため、単身赴任手当や転勤支度金が支給されない人には痛い出費となるかもしれません。

また、一般的な賃貸物件には1〜2年の契約期間が定められています。そのため、短期間で戻る予定やさらに別の場所に転勤の可能性がある人には向いていません。状況によって異なりますが、2年以上赴任先に住む予定がある場合に検討してみてください。

家具家電付き賃貸物件

家具や家電が備えられている家具家電付き賃貸物件を選ぶと、自分で家具や家電を用意する必要がありません。入居準備の手間や初期費用を大幅に抑えることができるため、単身赴任が始まるまでの期間が短い人には特におすすめです。

また、家具や家電は購入だけでなく処分にも費用と手間がかかるため、将来は家族の元に戻る予定の人にも家具家電付き賃貸物件は向いていると言えます。

ただし、備え付けの家具や家電は種類やメーカーが限られているため、どんなものがあるかを事前に確認しておきましょう。

短期賃貸マンション

短期賃貸マンションとは、週単位や月単位で契約ができる賃貸物件のことです。

敷金・礼金などの初期費用が不要のため、数十万円ほどかかる費用を抑えて引越しできます。通常の賃貸物件のような契約期間もないため、1年以内など短期間の単身赴任の方におすすめです。

また、多くの短期賃貸マンションには家具や家電が備え付けられているため、特に早く安く引越ししたい人に向いています。ただし、月々の家賃や光熱費が通常の賃貸物件よりも高額になることもあるため注意してください。

単身赴任で発生する生活費を抑えるポイント

いくら手当がもらえたとしても、単身赴任先での生活費は極力抑えたいものですよね。ここからは、単身赴任で生活費を抑える6つのポイントについて解説していきます。

単身赴任手当を活用する

単身赴任手当がある場合とない場合とでは、費用負担が大きく異なります。単身赴任手当をもらうには、以下の準備が必要です。

・住民票の移動
・世帯主の変更
・免許証の住所変更
・転勤届、単身赴任届の提出

これらの手続きは自分自身で行う必要があるため、単身赴任が決まった際はすぐに対応しましょう。

また、単身赴任手当の支給有無は会社によって異なります。さらに、手当に関して会社からは教えてもらえない場合もあるため、自分から積極的に確認することが重要です。

必ず家計簿でお金の流れを記録する

単身赴任になると家計が2つにわかれるので、世帯まとめてのお金の管理がしにくくなるかもしれません。単身赴任の生活費を抑えるには、家計簿をつけてお金の流れを記録することが重要です。

今までは家族にご飯の支度をしてもらっていた人も、単身赴任となるとすべて自分で用意しなければいけません。つい外食が増えてしまっても、会計簿をつけていれば支出の原因や額がわかり管理がしやすいほか、節約意識にも繋がります。

また、単身赴任手当や家賃補助などで収入面にゆとりが出ると、管理しておかなければそれに伴って支出額が多くなる可能性もあります。家計簿はアプリなどで簡単につけられるため、生活費の節約にはまず家計簿を活用しましょう。

お手頃な価格の物件を選び家賃を抑える

毎月の生活費を圧迫する費用のひとつが家賃です。できるだけお手頃価格の賃貸物件を選ぶことで、毎月の生活費を抑えることができます。

家賃を抑えるコツは、築年数が古い賃貸物件や駅から遠い賃貸物件を選ぶことです。築古物件であってもリノベーションしている物件であれば内装や設備が充実していることも多いため、快適に暮らせます。

家賃は金額が大きい固定費のため、譲れない条件だけを絞ったうえで、できるだけ家賃が低い賃貸物件を選ぶと節約につながります。

光熱費の見直しを行う

生活費を節約できるものに、光熱費が挙げられます。光熱費は契約会社や使い方によって大きく異なり、ガス代・電気代・水道代をそれぞれ下げることができます。

また、ガス・電気・水道それぞれ無意識の内につけっぱなしや出しっぱなしにしてないか、使い方に気を遣うだけでも節約になるため注意してみてください。

以下の記事では光熱費の節約術を幅広く紹介しています。単身赴任先での光熱費を抑えたい方はぜひ参考にしてください。

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一人暮らしの水道光熱費はいくらかかる?手軽にできる節約術も解説

通信料金を抑える

スマートフォンやインターネットの通信料金も、毎月の生活費を圧迫する大きな要因のひとつです。通信料金は、契約会社やプランを変えるだけで安くなる可能性があります。

特にスマートフォンの場合は、格安SIMへの乗り換えやプランの見直しのほか、光熱費やWi-Fiとのセット割の活用などで毎月約2,000円ほど節約することも可能です。年間に換算すると24,000円以上の節約になるため、生活費を抑えるには通信料金を見直しましょう。

食費の見直しを行う

食費の節約を行うには、外食の回数を減らし自炊を増やすことが挙げられます。食材の購入にはスーパーや特売を利用したり、ポイントカードや割引シールを活用したりすると効果的です。

また、食材をまとめ買いすることで、節約はもちろん食品ロスの防止にも繋がります。日々のちょっとしたコンビニ利用も控え、飲み物も自販機ではなくマイボトルを利用すると節約効果が高くなります。

単身赴任でかかる生活費を抑えよう!

家族と離れて単身で暮らす単身赴任には、主に賃貸契約や引越しにかかる初期費用と毎月の生活費がかかります。単身赴任では手当が支給されることもありますが、会社や役職によって支給有無、金額や条件などが異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

また、実際に単身赴任が始まった際には、今回ご紹介した節約術を使い、余計な支出を抑えてみてください。

ふどサーチ編集部