物件の賃貸仲介・不動産売却などさまざまな取り引きにあたって、不動産会社は切っても切れない関係です。そんな不動産業者は、会社や営業担当者によって提案力や対応力の面で、大きく異なる部分があります。希望通りの情報取得や快適な取り引きのためにも、自分に合った不動産会社を選びたいことでしょう。
今回は、失敗しない不動産会社の選び方や注意点、さらに良い営業マンの特徴についても解説していきます。
目次
失敗しない不動産会社の選び方
部屋探しを始める際に、重要なのは不動産会社選びです。適当に不動産会社を選んでしまうと、他社よりも高い料金を請求されたり、自分の希望に合わない賃貸物件を紹介されたり、さらにはトラブルが起きても十分に対応してくれない可能性もあります。
また、希望通りの賃貸物件を契約できたとしても、営業マンの対応によっては不快な気持ちになるかもしれません。不動産会社が管理会社の役割を担っているケースもあるため、長期的な付き合いになる不動産会社とはできるだけ心地良い関係でいたいものです。
そのためにも、契約する不動産会社は吟味して選ぶ必要があります。以下で紹介する6つのポイントを参考にしてください。
宅地建物取引業の免許更新回数から選ぶ
不動産売買や仲介会社には、宅地建物取引業と呼ばれる以下のような表記がある免許を必要とします。
・国土交通大臣(2)第000000号
・大阪府知事(5)第111111号
免許は店舗ごとに番号が割り振られていて、左から順番に「免許権者・更新回数・番号」と決まっています。真ん中のかっこでくくられた数字が、免許を更新した回数です。宅地建物取引業の免許は5年ごとに更新されるため、(2)の場合は10年以上、(5)の場合は25年以上営業していることがわかります。
物件探しの途中や住んでからトラブルが起きた場合、万が一廃業していたら困ってしまうでしょう。営業年数が多いと安定して営業している目安になり、それだけで安心感が増します。営業年数を重視するのであれば、免許の更新回数が2回以上の会社を選ぶと良いでしょう。
手掛けているサービスから選ぶ
不動産会社には、賃貸物件を紹介する役割の「仲介会社」と、大家さんの代わりに賃貸物件のメンテナンスを行う「管理会社」の2つの種類があります。良い不動産会社を選ぶなら、仲介会社・管理会社の両方の機能を兼ね備えている不動産会社がおすすめです。
どちらも兼ね備えている不動産会社は、大家さんとのつながりも強いため契約条件の交渉や相談に応じてもらいやすい傾向があります。たとえば、退去費用の相談や敷金礼金の値下げ交渉など、大家さんに掛け合ってくれる可能性も高くなります。
さらに、賃貸物件の管理を行っているということは、その賃貸物件について知識が豊富ということです。仲介業務だけではわからない物件の設備や住民の層、周辺の穴場情報などの情報を提供してもらえる可能性があります。不動産会社のホームページを見れば、管理業務を行っているかをチェックできます。
口コミ・評判から選ぶ
飲食店と同じく、不動産会社も口コミは重要です。SNSや口コミサイトの情報などから確認して、不動産会社の評価を見てみましょう。良い口コミだけでなく、悪い口コミこそ要チェックです。どうして悪い口コミがついているのか、それに対する不動産会社側の対応はどうかを見て、良し悪しを判断してください。
口コミでの評判が悪すぎる場合は、違う不動産会社を選ぶのがおすすめです。ただし、それを上回るほど良い評判が多ければ、問題がない当たりの不動産会社である可能性もあります。
内見時の移動手段から選ぶ
不動産会社が車を所有しているかどうかも重要な判断材料です。不動産会社が車を所有している場合は、内見時に車で移動できるため、一日に複数の物件を内見することが可能です。
しかし、不動産会社が車を所有していない場合、内見時に電車か徒歩で移動しなければいけません。そうなると1日に内見できる物件数が限られてしまうので、効率が悪くなってしまいます。エリアにもよりますが、できるだけ、車を所有している不動産会社を選びましょう。
店構えや印象から選ぶ
店舗の雰囲気も、良い不動産会社選びのポイントとして欠かせません。特に、店舗の入り口や窓に掲示されている物件情報が整っていたり、外観がしっかり掃除されていたりする不動産会社は、お客様のことを第一に考えられている証になります。店構えがガラス張りの店舗は外からでも店の奥まで見渡せるため、店内や営業マンの雰囲気などを確認することもできます。
また、堅いイメージがある不動産会社は、物件探しや契約時など何かと緊張しがちです。そんなときでも店内が明るかったり、開放感があったりすると、リラックスして物件を探せるでしょう。
営業時間や定休日から選ぶ
不動産会社の営業時間と定休日をチェックするのも重要です。会社や店舗によって、開店時間は9〜10時、閉店時間は18〜21時とばらつきがあります。できれば、営業時間が長い不動産会社を選ぶのがおすすめです。
物件探しでは、何度か不動産会社の店舗に行かなければなりません。また、疑問点やトラブルが起きた場合に電話で問合せることもあるでしょう。そういった場合に、営業時間が長い不動産会社のほうがやりとりをしやすいのです。
上記の理由から、定休日も重要なポイントといえます。不動産業界は火曜・水曜日を定休日としている場合が多いです。しかし、一部の大手不動産会社など店舗によっては定休日がないところもあります。
自分の休みに合う不動産会社のほうが融通を利かせられるでしょう。
不動産会社の選び方、訪問の際に注意したいこと
不動産会社を選ぶ際は、選び方だけでなく以下5つの注意点を知っておかなければいけません。訪問時の注意点とあわせて、1つずつ詳しく紹介していきます。
店舗や営業担当者によって接客満足度が変わる
同じ不動産会社であっても、店舗や営業担当者によって対応はさまざまです。特に大手不動産会社の場合は全国各地に店舗があるため、接客満足度は大きく異なります。
賃貸不動産仲介において、物件情報の量や接客の質は営業マンの知識や経験に比例します。担当者によってそれぞれ知識・経験がバラバラなので、物件探しの満足度にも違いが出るのです。
支払う仲介手数料が異なる
不動産会社への報酬として支払う仲介手数料は、不動産会社や物件によって異なります。賃貸における仲介手数料は、宅地建物取引業法という法律で「家賃の1カ月分+消費税が上限」と定められています。多くの不動産会社が「家賃の1カ月分+消費税が上限」を採用している一方、仲介手数料が家賃の0.5ヶ月分だったり期間限定で無料というお得な会社もあります。
賃貸物件の契約には仲介手数料以外にも多くの初期費用がかかるため、できる限り支出を抑えたいところです。気になる賃貸物件があれば、不動産会社ごとに仲介手数料がどれくらい変わるかを比較するのがおすすめです。
おとり物件がある可能性もある
景品表示法という法律では、「取引できない」「取引対象ではない」「取引する意思がない」物件を広告表示することを「おとり広告」とみなし、こうした広告を表示した不動産会社には罰則を設けています。つまり「おとり物件」とは、広告として表示されているのに借りることができない物件のことを指します。
悪意を持って条件の良い「おとり物件」を広告表示し、釣られて問い合わせしてきたユーザーに「入居者が決まってしまった」「この物件には問題がある」などと言って別の物件の契約に結びつける悪質な手口です。
好条件の物件情報を出すと顧客からの問合せにつながるため、実際には契約できないとわかっていながら広告宣伝しています。「おとり物件」の代わりとして紹介される賃貸物件は、予算や条件に合わないケースもあります。「おとり物件」に引っ掛かると、無駄な時間と労力を費やすことになるうえ、営業担当者の口車に乗せられ、想定していなかった賃貸物件を借りる羽目になるといった危険性もあるのです。
周辺の相場に対して極端に物件の条件が良すぎたり、内見時に現地集合ができなかったりする場合は、おとり物件を疑ってみましょう。
大家さんから紹介料を支払われている可能性がある
特に人気のない賃貸物件は、大家さんから特別な紹介料が支払われている可能性もあります。大家さんからの紹介料はそのまま不動産会社の取り分になります。そのため、同じ仲介手数料の物件を紹介しても、大家さんからの紹介料がある賃貸物件のほうが不動産会社は儲けることができるのです。
このような場合、たとえ賃貸物件の条件が希望に沿っていなくても、儲けを重視して紹介料がある物件ばかりを紹介してくる場合もあります。不動産会社がプッシュしてくる賃貸物件は、本当におすすめなのか、そういったからくりがあるのかを見極めないといけません。
賃貸物件は、必ず自分の目で確認して良いと思ったものを選びましょう。不動産会社のおすすめを鵜呑みにしてしまうと、希望条件に合わない賃貸物件に住まざるを得ない可能性もあります。
下調べをせずに店舗へ行くことを控える
不動産会社へは、必ず下調べをしてから行くことが重要です。不動産会社の中には、悪意のある不動産業者もいます。情報がないことを逆手に、不動産会社だけが得するような情報しか教えてくれない可能性もあるのです。
悪意ある不動産会社には、下調べしていない顧客をカモとして扱う営業マンも存在します。悪い情報に翻弄されないためにも、必ず住みたいエリアの家賃相場や内見時のチェックポイントなどの下調べは徹底しましょう。
不動産会社で物件を契約するまでの流れ
ここからは、はじめてでも失敗しないために賃貸物件の契約手続きの流れを紹介します。以下のポイントを押さえながら契約すると、希望通りの賃貸物件契約が成功する確率は高くなります。
①来店前に希望条件をまとめる
不動産会社に訪問する前は、希望条件を必ずまとめておきましょう。希望条件が定まらないまま来店してしまうと、営業担当者のペースで賃貸物件が決まってしまう可能性もあります。
最低限まとめておくべき希望条件は下記の通りです。
・家賃
・初期費用
・エリア
・こだわりたい設備・条件
家賃・初期費用といった予算は、必ず決めておきたい項目の1つです。家賃が5000円変わるだけで、紹介される賃貸物件は大きく異なります。また初期費用は、家賃の約5倍の金額が一般的といわれています。
住みたいエリアも重要なポイントです。特に住みたいエリアが見つからない人は、通勤通学のアクセスを考えて希望の移動時間内にアクセスできる場所を選んでも良いでしょう。
そのほか、バス・トイレ別や日当たり、オートロックの有無など人によってこだわりたい条件はさまざまです。「絶対に譲れない条件」「できれば欲しい条件」「あればうれしい条件」など優先順位をつけて条件をあげておくと、取捨選択も簡単にできます。
②ポータルサイトで候補物件を複数あげる
ポータルサイトにはたくさんの賃貸物件が掲載されています。しかし、ポータルサイトによっても掲載されている賃貸物件は異なります。大手のサイトであっても掲載されていない賃貸物件があるため、できれば複数のポータルサイトを使って賃貸物件を探すのがおすすめです。
ポータルサイトで物件探しをするには、まずは上記であげた希望条件を入力していきます。エリアがはっきりと決まっていない場合は、数箇所選んでおくと良いでしょう。
また、エリアを沿線で選ぶ場合は複数駅を選択しておくのがおすすめです。通勤通学時間は、1駅遠くなっただけでは大きく変わりません。隣の駅に良い物件がたくさんあっても、駅を選択していなければ検索でヒットしないので、周辺の駅も選択しておきましょう。
ポータルサイトに掲載されている物件数は非常に多いです。そのため、こだわりの条件は「あればうれしい条件」まで、まずはすべて絞り込んでいきます。ここまでで検索して該当する賃貸物件が多すぎる場合は、さらにこだわり条件をプラスしてみましょう。
反対に少なすぎる場合は、譲れるこだわり条件のチェックを外して間口を広げていきます。
③内見で確認すべきポイントを押さえる
気になる賃貸物件があれば、現地で内見をします。内見では、ポータルサイトの写真や情報ではわからない以下のポイントを重点的にチェックしましょう。
・騒音
・日当たり
・風通し
・におい
・周辺環境
・細かい設備
・マンションの雰囲気
騒音は、両隣だけでなく上階から、外からの音も気にする必要があります。たとえば、物件の近くに幹線道路が走っていたり工場があったりすると、窓を閉めていても騒音に悩まされるかもしれません。部屋の場所によって壁の材質が違う場合もあるので、さまざまな部屋で確認するのがおすすめです。
日当たりは内見する時間によっても異なります。日当たりが気になる時間にあわせて内見するとリアルな状態を見ることができます。日当たりや風通しが悪い物件は、窓付近や収納スペースにカビが生えるおそれもあるので、内見時にはカビのチェックも徹底しましょう。
周辺の環境や治安も、暮らす際には重要なポイントです。最寄り駅から歩いてみたり、夜にも来てみたりして、どのような環境かを確認しましょう。コンビニやスーパーなど、頻繁に通う施設の場所もチェックしておくと後悔が少なくなります。
エアコンや給湯器、ガスコンロなどの設備の状態を確認しておくことも重要です。部屋の中だけでなく、マンション全体の雰囲気やゴミ捨て場、自転車置き場などの共用部も確認しておくことで、住民のマナー意識もはかることができます。
これらのポイントをすべてチェックし、よく検討したうえで住みたいと思えばその日に申し込んでしまうのもおすすめです。基本的に賃貸物件は先着順で決まるため、人気の高い物件はすぐに入居者が決まってしまいます。
不動産会社だけではなく良い営業マンの特徴も確認しよう
先述の通り、不動産会社が良くても営業マンが悪ければ接客満足度は下がってしまいます。良い営業マンを選ぶために、以下3つの特徴を参考にしてください。
最低限のビジネスマナーを守っている
スーツの着こなしや挨拶、言葉づかいなど、社会人として最低限のビジネスマナーを守っている営業マンは、常識的な良い営業マンだといえます。
初対面にもかかわらずタメ口ややる気のない態度、だらしないスーツの着こなしなどをしている営業担当者にあたった場合は、担当を変えてもらうことも検討しましょう。
話をしっかり聞いて受け答えしている
自分にとって良い賃貸物件と出会うためには、こちらの希望をしっかりと聞いてもらう必要があります。予算や希望条件など、伝えた内容に合った賃貸物件を提案してくれる人は良い営業マンです。
会社都合の賃貸物件ばかり提案してくる営業マンは、顧客よりも自分の成績や会社の売り上げを優先している可能性があるため、良い営業マンといえません。
提案内容が希望条件に当てはまっている
プロの営業マンは、顧客の希望に沿った賃貸物件を提案するのが仕事です。たとえば家賃の予算を6万円と設定していても、「10,000円オーバーしますがこちらの物件のほうが断然おすすめです!」などと、伝えた予算を超える物件を強引に提案してくる営業マンには注意が必要です。
最初に予算はしっかり伝えて、それを超えない範囲で物件の提案をしてもらわなくてはいけません。提案してもらった物件の家賃が予算を超える場合は、家賃の値下げ交渉をしてみるのもおすすめです。
メリットだけではなくデメリットまで説明をしている
賃貸物件には、メリットだけでなくデメリットも存在します。デメリットに気づかず契約してしまうと、住んでから後悔することになります。そうならないためにも、はじめから賃貸物件のデメリットを伝えてくれる営業マンは、顧客の立場で考えてくれている良い営業マンだといえます。
メリットばかり話してくる営業マンに当たったら、デメリットを聞いてみましょう。「ありません!」などという答えが返ってきたら、要注意です。
不動産会社選びが新生活を左右する!
良い賃貸物件と巡り会うためには不動産会社選びが重要なポイントです。今回紹介した6つの選び方と5つの注意点を参考に、良い不動産会社と良い営業マンを選んでください。
賃貸契約をする前に、自分の希望をまとめておくことも重要です。無駄な時間と手間をなくして効率よく物件を見つけるためにも、失敗しない不動産会社を選びましょう。