初めての部屋探しにおいて、「間取り」の違いは気になるポイントのひとつです。聞きなれた言葉であっても、具体的にイメージできなければ自分のライフスタイルに合うかどうかがわかりません。
今回は、部屋探し初心者の方が混同しやすい「ワンルーム(1R)」と「1K」の違いについて解説します。それぞれ部屋の広さや住みやすさなどについて疑問を持つ方はぜひ参考にしてみてください。
目次
「ワンルーム」とは?メリットと注意点、おすすめの人
ワンルームとは、キッチンと居室の間に扉や仕切りがないタイプの部屋を指し、物件情報においては1RやStudioなどと表記されることもあります。
まずはワンルームのメリットを見ていきましょう。
ワンルームのメリット
コンパクトな印象から敬遠されることもあるワンルームですが、様々なメリットがあります。
<ワンルームのメリット>
・家賃が安い傾向がある
・家事動線が良い・1部屋しかないため手軽に掃除できる
・間取りによってはキッチン周りのレイアウトを工夫できる・冷暖房効率が良く、室温を保ちやすい
同じ専有面積の場合、1Kと比較するとワンルームの方が家賃が安い傾向にあります。そのため、家賃の安さを重視して賃貸物件を探す際は、ワンルームも候補に入れて検討してみてください。
都内の以下のエリアでも、ワンルームの方が家賃相場が安く、また都内では比較的手ごろといえる6万円以下の物件もワンルームの方が多いという結果になりました。
エリア | 家賃相場 | 6万円以下の物件数 |
---|---|---|
新宿区 | 1R:7.50万円 1K:8.80万円 | 1R:約200件 1K:約40件 |
江東区 | 1R:8.35万円 1K:9.30万円 | 1R:約80件 1K:約30件 |
中野区 | 1R:6.40万円 1K:7.80万円 | 1R:約870件 1K:約330件 |
杉並区 | 1R:6.20万円 1K:7.40万円 | 1R:約1,000件 1K:約780件 |
参考:CHINTAIネット2022年7月時点
生活環境に関して、ワンルームは居室とキッチン一緒になっているため、1つの空間に家具・家電などが収まっています。
家事動線が良く、炊事・洗濯などをスムーズに行いやすい間取りも多いです。掃除についても、一部屋だけで済むという点では1Kよりも気軽にできるのではないでしょうか。
さらに、冷暖房効率が良く室温調整も行いやすいです。キッチンまで冷風・温風が届き、空間内の温度差を抑えられます。
また、ワンルームはキッチンと居室が区切られていないため、キッチン周りのスペースにも余裕がある場合も多く、部屋のレイアウトを工夫できるというのもメリットです。
ワンルームの注意点
ワンルームを選ぶ際は、以下の注意点についても理解しておきましょう。
<ワンルームの注意点>
・広さの表記はキッチンも含む
・玄関から部屋の中が見える場合がある
・居室に料理中のにおいが漂ってくる
・家電の稼働音が気になる場合がある
ワンルームの賃貸物件を探す際、人によっては間取りの表記よりも実物の方が狭く感じることもあるかもしれません。
1Kの場合、物件情報にある広さが6畳であれば、居室の広さは表記の通り6畳です。
しかし、ワンルームの場合、廊下から居室までやキッチンも含めて6畳であるため、実際に居室として自由に使得る広さは6畳よりも狭くなります。
物件情報や間取り図で見た印象と実際の広さが異なる場合もあるため、一度内見をしてみるのがおすすめです。
さらに、ワンルームの多くは玄関から居室までの間に仕切りやドアがありません。
そのため、間取りによっては玄関の来訪者から部屋のの中が見えてしまうこともあります。プライベートな空間を見せたくない人は、契約前に部屋の構造もチェックしておきましょう。
また、ワンルームは1つの空間にキッチンや居室などが収まっているため、におい・音にも注意が必要です。
キッチンとの仕切りがないワンルームでは、料理中に生じるにおいの他、生ごみの入った袋などのにおいも居室まで漂って来ることがあります。
洗濯物を部屋干しする場合においが移る可能性もあるので、換気についても意識しましょう。
間取りによっては、冷蔵庫や洗濯機などの家電の稼働音が居室まで聞こえてしまう可能性もあります。就寝時などに家電の稼働音が気になる方は、音が静かな家電を探したり、ベッドを置く位置を工夫したりするなど対策が必要です。
ワンルームがおすすめの人
前述したメリットと注意点を踏まえて、ワンルームがおすすめの人を解説します。
<ワンルームがおすすめの人>
・家賃を抑えたい人
・生活空間を一つにまとめたい人
・家事(掃除や洗濯など)のしやすさを求める人
ワンルームは家賃が安い他、キッチンと居室が一体となっているので空間が広く確保されている場合もあります。そのため、家賃を抑えつつ、部屋の広さにもこだわりたい人にはおすすめです。
また、ワンルームは1つの空間に家具・家電などが収まっているため室内の移動距離が短く、家事の負担も少なく済みます。一人暮らしで広さよりも効率性を重視する方は、ワンルームの賃貸物件も検討してみてください。
「1K」とは?メリットと注意点、おすすめの人
1Kとは、居室とキッチンが扉などで区切られているという点でワンルームと区別されます。キッチンの広さは4.5畳未満とされており、それよりも広い場合は1DKや1LDKに区分されます。
1Kのメリット
単身者向けの物件に多い間取りである1Kですが、特徴を踏まえたうえでメリットについて見ていきましょう。
<1Kのメリット>
・キッチンと居室が分かれており、生活にメリハリを出せる
・玄関から居室が見えない
・家電や水回りの音が響きにくい
・物件によっては設備が充実していることも
・間取りのレパートリーが豊富
キッチンと居室が仕切られていることで、ワンルームに比べ生活にメリハリが出せます。料理中のにおいが居室内にまで漂うことも防ぎやすいです。
そして、玄関から居室までの間にドアがある間取りが多いため、来訪者が来ても玄関から居室は見えません。生活音に関しても、居室のドアを閉めていれば、キッチンの家電の稼働音などを抑えられ、就寝時なども気になりにくくなります。
また、1Kは物件数も多く、物件や間取りのレパートリーが豊富です。
キッチンスペースが広く取られている物件や、キッチン+和室という物件があるほか、設備が充実した物件も多くあります。選択肢が広がるため、自分の条件にマッチした賃貸物件を見つけやすいというのもメリットです。
1Kの注意点
1Kに住むうえでの注意点についてもチェックして、入居後の後悔がないようにしましょう。
<1Kの注意点>
・賃貸物件によってはキッチンスペースが狭く感じる
・ワンルームより空調の効きが悪い
・ワンルームより家賃が高く設定されやすい
1Kで多くみられる造りとして、キッチンが廊下に配置されている物があります。このような場合、キッチン周りにスペースがないことも多く、食器棚や食洗器などの家具・家電の設置が難しい場合もあります。
さらに、キッチンに通じる仕切り(ドア)を閉めている場合、エアコンの冷風・温風が届きにくくなります。ワンルームに比べると冷暖房効率はやや悪くなり、夏・冬ともに室内全体の温度調整が難しいため、ドアの開け閉めや風通しに関して工夫が必要かもしれません。
また、ワンルームと同じ専有面積の場合1Kの方が家賃が高くなる傾向にあります。賃貸物件探しの際は、専有面積や設備、家賃のバランスを考えて条件を考えましょう。
1Kがおすすめの人
メリットと注意点を踏まえたうえで、1Kがおすすめの人を解説します。
<1Kがおすすめの人>
・キッチンと居室を分けたい人
・家電などの稼働音を抑えたい人
・来訪者が多い人
・賃貸物件探しの選択肢を増やしたい人
1Kはキッチンと居室が区切られているため、生活スペースを分けたい人におすすめです。洗濯機や冷蔵庫なども居室以外のスペースにまとめられる間取りもあり、自分のライフスタイルにあわせて間取りを選ぶのがおすすめです。
さらに、来訪者から居室というプライベートな空間を見られたくない人も、1Kを検討してみてください。居室とキッチンを区切るドアを閉めていれば、玄関先の来訪者に居室内をのぞかれる心配がありません。
また、先述したように1Kは物件数も多く間取りのレパートリーが豊富なため、希望条件に合う候補物件も多く見つかるかもしれません。
コンパクトな1R・1Kでも快適に過ごすコツ
ここからは、コンパクトなワンルーム・1Kでも快適に過ごすコツを3つ解説します。快適に生活できるよう、引越しを控えている方はもちろん、すでに住んでいる方もぜひ参考にしてみてください。
快適に暮らすコツ①:脚付き家具でスッキリ見せる
脚付き家具を置くことで、空間全体をスッキリした印象に見せられます。具体的には、以下のポイントを意識してみてください。
<部屋をスッキリ見せるコツ>
・床が見える面積を広くするため、足つきの家具を選ぶ
・壁が見えるよう、家具は低いものを選ぶ
・壁や床の色とあわせて家具を選ぶ
狭い部屋ではなるべく背の高い家具や大きい家具を避けるのが無難です。
背の低い家具や足つきの家具を用いると、部屋全体の奥行きを感じやすくなったり、圧迫感が軽減されたりします。空間を広く見せるには効果的です。
また、大きな家具・背の高い家具を置く場合は壁紙や床の色に合わせるなどを意識すると、圧迫感を抑えることができます。
快適に暮らすコツ②:収納棚や収納ボックスを活用する
収納棚や収納ボックスを活用して、快適な生活環境を整えましょう。物が多く整理整頓されていない部屋は、動線が遮られたり落ち着かない印象を与えたりします。
快適に生活するためにも、以下のポイントを押さえて物を整理整頓しましょう。
<整理整頓のコツ>
・壁面に収納棚を設置する
・収納スペースや用途に合わせた収納ボックスを用意する
・収納棚やボックスは規格を合わせる
収納棚の中には、壁面に設置できるタイプも販売されています。このタイプは部屋が狭くても設置しやすく、物によっては天井付近まで収納スペースを作ることも可能です。
収納ボックスを使う際は、サイズだけでなく用途に合わせた素材やデザインを選びましょう。
たとえば、水回りで紙製のボックスを使ってしまうと湿気で形が崩れてしまいます。価格やデザイン面だけでなく、用途も考慮してボックスの素材やサイズを選びましょう。
また、収納棚や収納ボックスは幅や高さといった規格を合わせることでスッキリ収まりやすくなります。規格が異なるものを複数並べると統一感がなくなる他、空間に余白が生まれて効率的な収納ができません。
そのため、なるべく同じメーカー・ブランドの収納棚・収納ボックスを揃え、スッキリとした収納を意識しましょう。
快適に暮らすコツ③:部屋の広さや間取りに合わせて家具を選ぶ
部屋の広さや間取りに合わせて家具を選び、実用的な空間を作りましょう。家具選びの際にチェックすべきポイントは次のとおりです。
<家具選びでチェックすべきポイント>
・部屋の間取り
・部屋のコンセントの位置との兼ね合い
・部屋と家具のサイズのバランス
・搬入口のサイズ
部屋の間取りを確認せずに家具を選んでしまうと、使い勝手が悪くなり日常生活で小さなストレスが溜まる恐れがあります。
狭い部屋ではサイズの都合でテレビとソファーを向き合うように置けないなどという場合もあります。テレビ台やソファー、ベッドなどの大きめの家具は、間取りや寸法をよくを確認し、設置する位置をシミュレーションしたうえで購入を検討しましょう。
また、家電製品の設置場所については部屋のコンセントの位置もかかわるため把握して置くようにしましょう。
ソファーやテーブルといった家具のサイズについては、部屋のサイズや搬入口の大きさを考えて選びましょう。部屋のサイズに合わない家具をおくと、動線を妨げてしまう場合もあるため、人が通れる幅を考慮したうえで家具のサイズを選びましょう。
また、引越し時に搬入・搬出ができるサイズであるかどうかも確認が必要です。
気に入った家具があっても、部屋の広さや間取りに合わなければ快適な生活を送ることは難しくなるため、上記のポイントを意識したうえで家具を選ぶようにしましょう。
ワンルームと1Kの違いを押さえて自分に合った部屋を探してみよう
ワンルームと1Kは一見似ているようですが、間取りや家賃のほか入居語の生活環境にも違いがあります。
人によってはストレスになってしまうおそれがあるので、それぞれの違いを理解したうえで自分の条件に合った賃貸物件を選びましょう。
また、コンパクトな間取りであっても、使い方次第で快適な生活が送れます。狭い部屋での暮らしに不安を感じている方は、引越しの前に今回ご紹介したポイントを一度復習し、家具や収納の選び方について考えてみてはいかがでしょうか。