サービスルーム（S）とは？メリット・注意点や活用方法を解説

部屋の間取り図を眺めているとき、リビング（L）やキッチン（K）と並び、「（S）」という表記が気になったことはありませんか？「（S）」は「サービスルーム」のことを指しますが、あまり聞き慣れず、どのような空間なのか想像しづらいという方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、サービスルームについて、メリットや注意点をお伝えします。また、サービスルームの特性を活かした活用方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

サービスルームとは？

物件情報で見かける「2LDK＋S」のような表示の（S）は「サービスルーム」を表しており、居室とは区別された空間があるときに使用されます。

窓がついていたり、ある程度の広さがあったりする空間ですが、居室とは明確な違いがあります。

建築基準法による「居室」の定義

「居室」とは、リビング・寝室・ダイニングルーム・書斎などを指し、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する前提の部屋と定義されています。

一方で、サービスルーム（納戸）のほかトイレ・浴室・玄関などは想定されている使用時間が短く、居室として認められません。

また、サービスルームが非居室とされている理由は、建築基準法に定められた居室としての条件を満たしていないためであり、居室とサービスルームでは以下のような違いがあります。

一見居室と同じような広さがある部屋でも、居室としての条件を満たしていない場合はサービスルーム（S）として物件情報等に記載されます。

サービスルームと納戸に明確な違いはない

サービスルームと同じようなものに納戸が挙げられます。この2つは表記の仕方は異なるものの、明確な違いはありません。

納戸もサービスルームと同様、建築基準法による居室の定義を満たしていない空間です。間取り図では「（N）」と記載されていることが多くあります。

どちらも居室として認められていない空間には変わりなく、洋室ならサービスルーム、和室は納戸というように、イメージによって使い分けされていることがほとんどです。

サービスルーム付きの賃貸物件に住むメリット

サービスルームは居室ではありませんが、通常の部屋と同じように活用できるスペースがあります。お得に思えるサービスルーム付きの賃貸物件には、以下のようなメリットがあります。

1.収納スペースとして使える
2.設備次第では収納スペース以外の用途にも使える
3.同じ専有面積の物件と比較した場合、家賃が安い可能性がある

上記3つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

収納スペースとして使える

1つ目のメリットは、広い収納スペースとして活用できることです。押入れよりも広く、物件によっては居室とほぼ同じような広さを持つサービスルームは大きなもの、かさ張るものの収納スペースとしても使えます。オフシーズンの衣類・寝具から扇風機やヒーターなどの家電、キャリーケース・ゴルフバッグなどの大きな荷物など、クローゼットに収まりきらないものも収納可能です。

また、サービスルームは窓がなかったり日光が部屋に入りにくい場合が多いです。そのため、日焼けをしやすい絵画や重要書類、常温保存の食材のストックや音楽機材の収納スペースにもおすすめです。

設備次第では収納スペース以外の用途にも使える

2つ目のメリットは、収納空間以外の使い方ができる可能性がある点です。
サービスルームは居室ではないため、コンセントや空調設備がない場合がほとんどです。
しかし、なかにはコンセントがありエアコンのほか電化製品の使用が可能な場合もあります。シアタールームや書斎、趣味や作業用の部屋など、収納スペース以外の用途にも使えるため、まずは部屋の設備を一度確認したうえでどのように活用できるかを考えましょう。

同じ専有面積の物件と比較した場合、家賃が安い可能性がある

3つ目のメリットは、広い用途で使える空間があるにもかかわらず、安く借りられる可能性がある点です。
たとえば、同じくらいの専有面積の物件で、「1LDK＋S」「2LDK」の2つの間取りを比べた場合、「1LDK＋S」の家賃は低めに設定されていることが少なくありません。部屋の状況によって活用の範囲が限定される面もあるため、必ずしも得するとは言い切れませんが、場合によっては安めの家賃でお得に収納スペースを確保できるかもしれません。

サービスルーム付きの賃貸物件に住む際の注意点

うまく利用できればメリットもたくさんあるサービスルーム付きですが、一方で2つの注意点があります。

1.居室ほど設備が整っていない
2.換気しにくく、湿気が溜まりやすい

それぞれ解説していきますので、入居前にチェックしてみてください。

居室ほど設備が整っていない

先述のとおり、サービスルームは居室ではないため、多くの場合空調設備などがありません。人が長く過ごすための部屋ではないため、サービスルームを活用して居室のように過ごしたいと考えている人は、問合せや内見の際に設備について確認をしておきましょう。

換気しにくく、湿気が溜まりやすい

メリットの項目で説明したとおり、サービスルームの特徴として部屋に入る日光が少ない、もしくは窓がない場合があります。そのため、サービスルームで作業をする際にはサーキュレーターを用いたり、除湿機を設置したりといった湿気対策が必要です。

サービスルームの活用方法

使用に制限があるサービスルームですが、工夫次第で自由な使い方ができるのが魅力です。それでは、具体的にどのように使えるのか、5つの活用方法をご紹介します。

1.書庫・書斎
2.コレクションルーム
3.子どものプレイルーム
4.仕事（作業）部屋
5.趣味部屋

サービスルームの使用イメージが湧かない人は参考にしてみてください。

書庫・書斎

太陽の光が入りづらいサービスルームは、日焼けしやすい書籍の保管に向いています。本棚を設置して書庫として利用すれば、居室に本棚を置いて空間が圧迫されるということもありません。多くの本好きの方があこがれるような、壁一面を本棚にした部屋にすることも叶うでしょう。

また、書斎として活用するのもおすすめです。リビングやダイニングとは別に書斎を設けることで、プライベートな時間を楽しんだり、集中して作業することもできます。サービスルームにテーブルや椅子を設置すれば、本を読んだり、お茶を楽しんだりしながら落ち着いた時間を過ごすことができます。

コレクションルーム

サービスルームはある程度の広さがあることが多いため、コレクションルームとして活用することも可能です。

好きなものを集めて眺めたいけど、一人暮らしの狭い部屋では難しいという方も多いのではないでしょうか。
また、小さなお子さんがいる家庭では、誤飲などの事故も考えられるため、プラモデルやフィギュアをリビングに飾るのを控えたいと考える方も多いでしょう。
ほかにも、場所を取るギターやアウトドア用品などを集めている場合、倉庫を別に借りて保管しているケースもめずらしくありません。

サービスルームをコレクションルームとして活用すれば、好きなときにコレクションを眺めることができます。コレクターにとっては使いやすい空間です。

子どものプレイルーム

サービスルームが居室と変わらないほどの広さであれば、子どもの遊び場として使うことができます。おもちゃの収納場所を確保できるうえに、子どもが部屋を散らかしてもプレイルームと割り切れば気になりません。また、プレイルームと分けることでリビングが片付くのもうれしいポイントです。

ただし、窓や空調設備がないサービスルームでは、子供を長時間遊ばせるのは危険です。適度に換気をしたり、扇風機やサーキュレーターを設置したりして環境を整え、安全に遊ばせましょう。

仕事（作業）部屋

サービスルームは仕事部屋としても使えます。リモートワークをしている人の中には、プライベート空間との区別を付けられず、集中しにくいと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

サービスルームを仕事部屋にすれば、プライベート空間と分けることができ、さらに家族の存在も気にならないため集中して仕事ができます。また、Web会議の途中に子どもが入ってくるといったトラブルも防げます。なお、絵を描いたり手芸をしたりする人は、収納も兼ねた作業スペースとしての使用も可能です。

趣味部屋

部屋に入る光の少ない特性を活かし、オーディオルーム、シアタールーム、ゲームルームとして使うのもおすすめです。プロジェクターを用いて映画鑑賞をしたり、ゆっくりと音楽を楽しんだりと、工夫次第で理想に描いていた部屋づくりができるのもサービスルームならではです。

サービスルームを上手に活用して理想の暮らしを！

サービスルームは、通常の部屋と変わらない広さでありながら、採光や換気の観点で非居室として分類されます。利用方法の範囲が限定される面もありますが、居室ではなくサービスルームであることを理由に家賃が抑えられる可能性があります。活用方法としては、映画や音楽鑑賞の専用部屋、あるいは日焼けさせたくないものの保管部屋として役立ちます。

一方で、コンセントなど居室用の設備がなく、窓が小さい・ないといった点には注意が必要です。工夫次第でさまざな活用の仕方が可能なので、趣味や仕事部屋が欲しいとお考えの方は、サービスルーム付きの賃貸物件も候補にいれて検討してみてはいかがでしょうか。