【喫煙者向け】賃貸物件でタバコを吸うと退去費用の負担は?壁や天井を汚さない対策も解説

賃貸物件のベランダで喫煙する男性の様子

受動喫煙を防止する取り組みや、タバコの値上がりで禁煙をする人が増えているとはいえ、まだまだ喫煙者の方もいます。喫煙者にとってタバコは息抜きやストレスの解消に有効なため、できるなら家の中でゆっくりと吸いたいものですよね。しかし、賃貸物件でタバコを吸う場合、覚悟しなければならないのが退去時の原状回復費用です。

そこで今回は、賃貸物件での喫煙をした場合の退去費用についてお伝えします。また、壁や天井の汚れの対策方法も紹介していきますので、気になる方は参考にしてみてください。

賃貸物件での喫煙による汚れは原状回復が必要

喫煙で壁紙が変色したりにおいがついたりした場合には、退去時に原状回復が必要です。原状回復とは、入居者の使用や居住により生じた汚れや傷を修繕し、入居前の状況に戻すことを指します。入居者・大家さんのどちらが何の費用を負担するのかは、国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿って決められるのが一般的です。

過失・故意の傷、汚れの原状回復費用は借主負担

家具・家電を設置していた場所のへこみ傷などは、借主(入居者)が通常の使い方をしたと考えられるため、貸主(大家さん)の負担となります。また、日光による日焼けなど経年劣化による自然損耗なども貸主側の責任と考えられます。

一方で、過失・故意によってついた傷・汚れの修繕費用は借主が負担します。壁だけでなく、場合によっては床や天井、畳などの張替え費用を請求されるケースも少なくありません。

先述のガイドラインによれば、喫煙による壁紙の変色などは通常使用の範囲を超えると判断されるため、原状回復費用は借主負担とされています。原状回復費用は入居時に払った敷金から引かれますが、状態によっては追加費用がかかることがあります。

タバコの煙は、備え付けのエアコンやフローリング、サッシや照明などにも汚れやにおいがつくため、退去時の修繕費やクリーニング費用が大幅に膨れ上がる可能性が高いです。

長く住んでいれば原状回復費用が最小限になることも

タバコの煙によって壁紙が汚れた場合、減価償却が考慮されるため、必ずしも全額負担するわけではありません。壁紙は消耗品であるため、耐用年数が6年とされています。6年を超えれば壁紙はほとんど価値がないものと判断されるため、6年以上住んでいれば退去時に壁紙の張り替え費用を請求されることはほとんどないでしょう。

ただし、物件によっては特約など退去費用について別途取り決めがある場合もあるため、契約時に十分に確認しておくことが大切です。。

なお、アパートの退去費用の相場についてはこちらの記事で詳しく説明しているので、併せてチェックしてみてください。

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アパート退去費用の相場と抑えるコツとは?原状回復の意味などについて確認しよう

賃貸物件が喫煙NGな3つの理由

最近は共用部分だけでなく、居室や敷地内なども喫煙NGの物件が増えています。

喫煙をNGとしているのは、大家さん側に主に以下の理由があるからといわれています。

1.原状回復の費用・手間がかかるから
2.近隣トラブルの可能性が減るから
3.健康志向の入居者の満足度が上がるから

上記3つの理由について、詳しく見ていきましょう。

①原状回復の費用・手間がかかるから

明らかにタバコのヤニが原因でついた壁紙の汚れは借主の責任です。しかし、汚れや黄ばみの状態によっては経年劣化と捉えることもでき、そうなれば費用負担は貸主側となります。

そもそも部屋を禁煙にしていれば、壁紙の劣化が早まることもなく、張り替えにかかる費用や手間も最小限で済みます。責任の所在の判断や、張り替え自体を面倒に感じる貸主にとってメリットが多いため、喫煙NGとしていることも珍しくありません。

②近隣トラブルの可能性が減るから

室内でタバコを吸わない代わりに、ベランダで吸うという方も多いのではないでしょうか。しかし、タバコが苦手な人にとってタバコのにおいや煙はストレスに感じるため、近隣トラブルの原因となる場合があります。実際、洗濯物にタバコのにおいがついて困るなど、クレームに発展したケースも少なくありません。

過去には、バルコニーで喫煙を続けた住人に対し、裁判を起こした事例もあるほどです。

また、タバコの煙だけでなく、吸い殻のポイ捨てもトラブルのひとつです。トラブルの原因になりやすいタバコを禁止することで、他の入居者の生活を守ることができると考え、喫煙禁止としている大家さんもいます。

③健康志向の入居者の満足度が上がるから

先述したように、タバコを吸わない健康志向の入居者にとって、タバコのにおいや煙は大敵です。隣人が喫煙者で頻繁にタバコを吸っている場合、それを理由の一つとして別の賃貸物件に引越してしまう方もいるかもしれません。

禁煙NGの賃貸物件なら、タバコのにおいや副流煙が気になった場合に、遠慮なく大家さんに注意を促すようお願いできます。注意喚起によって解決ができれば、タバコ関係のトラブルによる短期での引越しを防げます。

賃貸で喫煙する際に室内を汚さない方法

賃貸物件で喫煙をするのは、原状回復費用や近隣トラブルなどの理由からあまりおすすめできません。しかし、「それでもタバコを吸いたい」「我慢するのは耐えられない」という人もいるのではないでしょうか。

なるべく室内を汚さない・原状回復にかかる費用を抑える方法としては、以下のようなものがあげられます。

1.ベランダで喫煙する
2.換気扇の近くでタバコを吸う
3.近くの喫煙所に行く
4.雑巾などでこまめに掃除する
5.空気清浄機を活用する

上記5つはいずれも手間や時間がかかるため、自分に合ったものを実践してみてください。

①ベランダで喫煙する

室内を汚さない方法の1つは、ベランダで喫煙することです。外で吸うため室内は汚れませんが、先述したように近隣トラブルに発生しやすいため、夏場窓を開けている時期には控えるなど周囲に十分気を配る必要があります。

また、そもそもベランダでの喫煙を禁止している賃貸物件もあるので、まずは契約書を確認しましょう。

③換気扇の近くでタバコを吸う

室内でタバコを吸うのであれば、なるべく換気扇の近くで煙草を吸うのも方法の一つです。ただし、換気扇の近くでタバコを吸うと、においが他の部屋に入ってしまうことがあります。トラブルに発展する可能性があるため、頻繁に煙草を吸う場合はあまりおすすめできません。

③近くの喫煙所に行く

室内も汚さず、クレームにもならない方法です。タバコを吸うたびに外に出るのは面倒に感じるかもしれませんが、他の入居者に迷惑をかけることがないため、トラブルを防ぐにはこの方法が良いでしょう。

④雑巾などでこまめに掃除する

原状回復費用をなるべく抑えたいのであれば、室内で喫煙した後壁紙やサッシなどをこまめに掃除をしましょう。重曹やセスキ炭酸ソーダなどを使い、雑巾で汚れを拭くことで汚れの蓄積を防ぎます。

原状回復費用を払う前提で室内で吸いたい場合には、こまめな清掃をすることで少しでも範囲や汚れの程度を減らすよう、日ごろから意識しましょう。

⑤空気清浄機を活用する

室内でたばこを吸う場合、空気清浄機を活用することでタバコのにおいは軽減されます。しかし、ヤニは取り切れずに結果として壁紙に付着してしまうため、この方法も原状回復費用を支払う覚悟が必要です。

室内の喫煙は原状回復費用の負担がかかる

2018年に行われた健康増進法の改正により、昔に比べてタバコに関する規制が強まりました。喫煙者が賃貸物件でタバコを吸うのは、退去時の原状回復費用や近隣トラブルなどのリスクがあります。どうしてもタバコを吸いたい場合は今回お伝えした方法を実践し、周囲への気配りやマナーを守ることを忘れずに、トラブルが起こらないよう心がけてください。

ふどサーチ編集部