賃貸解約の基本とは?気になる途中解約や違約金などを徹底解説!

契約書に署名と捺印をしている様子

賃貸契約では、一定の期間で契約期間が終了するため、賃貸物件を解約するタイミングが訪れます。

その際、滞りなく退去の手続きを進めるには、解約の基本を押さえておく必要があります。基本のルールを知っておかないと、余計なトラブルが起きて対処に困ってしまうかもしれません。

今回は、賃貸物件の解約手続きの基本や途中解約の方法、違約金について解説していきますので、お悩みの方はぜひ参考にしてください。

【賃貸解約の基本】手続き方法

まずは、基本である賃貸解約の手続き方法から紹介していきます。賃貸借契約を解約したい場合は、以下のステップで解約を行いましょう。

STEP1:賃貸借契約期間を確認する
STEP2:解約したい旨を伝える
STEP3:必要書類を用意する
STEP4:立ち会いを行う

通常、契約期間は契約書に記載されています。契約期間の満了日を迎えての解約か、それとも契約期間内に解約するかで手続き方法が変わるため、解約のタイミングに合わせてそれぞれの手続き方法を知っておきましょう。

契約期間満了で解約する場合

賃貸借契約を結んで入居する場合、原則1〜2年ほどの契約期間が設けられています。

スムーズに解約手続きを行うには、この契約期間満了日に合わせて退去するのがおすすめです。契約期間の満了とともに解約する場合、契約更新の通知書が届いたら大家さんや不動産会社に、契約更新をせず退去する旨を早めに伝えましょう。

また、賃貸物件の中には、契約更新が自動的に行われるケースもあります。自動更新の場合、解約の意思を伝えないとさらに1〜2年ほど契約期間が延長されるため、忘れずに意思表示をすることが重要です。

契約期間中に解約する場合

賃貸期間が満了になっていなくても賃貸契約を解約したい場合、以下2点いずれかの対応をしましょう。

・退去1ヶ月前までの解約通知
・解約通知日から1ヶ月分の家賃支払い

ただし契約期間中に解約する場合、契約書に解約条項が記載されていること、または大家さんに合意を得ることが必須です。賃貸契約期間中の解約と解約条項については、次項からで詳しく解説していきます。

【賃貸解約の基本】途中解約をする方法

賃貸借契約の期間中に解約する場合、大家さんから合意を得るほか、解約条項が記載されておりそれに従えば途中解約が可能となっています。のちほど詳しく解説しますが、解約条項とは、賃貸借契約期間内でも解約をする権利が認められるルールのことです。

途中解約をする場合は、以下2ついずれかの手続きを行いましょう。

・予告期限までに申し出て解約する
・違約金を支払ったうえで解約する

それぞれの詳しい内容は、以下のとおりです。

解約方法①:予告期限までに申し出て解約する

一般的なのは、大家さんや不動産会社が定めている解約予告期間内に、賃貸物件の解約を申し出るという方法です。多くの賃貸物件では、基本的に1ヶ月間の解約予告期間が設けられています。たとえば7月10日に退去したい場合は、6月10日より前に解約通知をしておく必要があります。

契約内容によっては、解約予告期間内に解約通知を行わなければ、希望通りの時期に解約できないことも少なくありません。

また、物件によっては解約予告期間の1ヶ月より前に解約通知を行わなければならないケースもあります。定められた解約予告期間は賃貸借契約書に記載されているため、事前に確認しておきましょう。

解約方法②:違約金を支払ったうえで解約する

解約予告ができなくても、そのぶん必要な費用を支払えば、賃貸契約を解約することが可能です。途中解約に必要な費用として、多くの賃貸物件で採用されているのが、家賃1ヶ月分相当の違約金の支払いです。

ただし、基本的には解約予告期間分の家賃が違約金となっているため、もし解約予告期間が1ヶ月以上の場合、そのぶん追加で違約金を支払わなければいけません。

また、入居時に敷金を支払っている場合、この敷金で違約金を賄うというケースもあります。ただし、原状回復費用が高額だったり敷金がゼロ円だったりすると、違約金は別途支払う必要があるので注意が必要です。

【賃貸解約の基本】違約金が発生するケース

解約において違約金が発生するのは主に以下の3つのケースです。

ケース1:解約予告期間以外に解約通知を行う場合
ケース2:契約期間内の短期解約の場合
ケース3:契約書に違約金の支払いが記載されている場合

ケース1については、前述した内容のとおりです。違約金を支払いたくない場合は、解約予告期間内に解約通知を行いましょう。

ケース2は、おおよそ1〜2年で設定されている賃貸契約期間よりも短い期間で解約をする場合です。もちろん、賃貸契約期間内の解約でも解約予告期間を守って解約手続きをすれば違約金は発生しないケースもあり、すべての賃貸物件にこの条件が設けられているわけではありません。
しかし、初期費用が少なめに設定されている物件や、数ヶ月分の家賃が無料になるフリーレント物件では、事前に取り決めた契約期間よりも短期の解約であれば、違約金の支払いが定められていることも多くあります。

ケース3は、賃貸借契約書に違約金の発生有無が記載されている場合です。ケース1・ケース2に当てはまらなくても、賃貸借契約内に「○○の場合は必ず違約金を支払う」などの記載があり、それに当てはまる状況の場合は従わなければいけません。自分が住んでいる賃貸物件にはどんなルールが設定されているのか、解約通知を行う前に事前に確認しておきましょう。

違約金の金額交渉はできる?

違約金の有無や金額は、法律で決められているわけではありません。そのため、大家さんや不動産会社、管理会社によっては、違約金の減額を交渉できるケースもあります。

ゼロ円にするのはむずかしいかもしれませんが、あまりにも大幅でなければ交渉次第で減額できる可能性はあります。違約金の支払いがむずかしい人は相談してみましょう。

【賃貸解約の基本】解約条項の有無

賃貸借契約書には解約条項が記載されていることもあります。解約条項とは、賃貸借契約期間内でも解約をする権利が認められるルールのことです。

賃貸契約を途中で解約するには、入居者と大家さんの双方で合意し賃貸借契約を終了させる合意解約と、解約条項に基づいた解約の2種類があります。

契約期間中に解約したい場合、大家さんの合意を得られないと、解約条項なしでは入居者から解約を申し込むことができません。

また、そもそも解約条項の内容が「賃貸契約期間内で賃貸解約できない」といった内容の場合も、契約期間中に入居者から解約を申し込むことはむずかしいでしょう。特に以下の2つのケースは途中解約が困難とされています。

・契約方法が「定期借家契約」の場合
・退去時期が急すぎる場合

上記2点の場合は特に注意が必要なため、確認すべきポイントを詳しく解説していきます。

ケース①:契約方法が「定期借家契約」の場合

定期借家契約とは、大家さんの許可がない限り更新することができない賃貸借契約のことです。

まず賃貸借契約には大きく、「定期借家契約」と「普通借家契約」の2種類があります。契約期間ごとの更新ができる普通借家契約に対して、定期借家契約は契約時から入居できる期間が定められており、それ以降住み続けることは原則できません。

定期借家契約普通借家契約
契約期間原則1年以上制限なし(1年未満も可能)
契約方式書面or口頭書面のみ
更新ありなし
途中解約原則できない契約内容によって異なる

上記のとおり、定期借家契約は原則途中解約ができません。ただし、転勤や療養、親の介護などのやむを得ない事情がある場合は、賃貸借契約の途中解約が認められるケースもあります。また、賃貸借契約書に途中解約に関する特約が記載されている場合も途中解約が可能なため、定期借家契約を結ぶ際は契約書を必ずチェックしておきましょう。

ケース②:退去時期が急すぎる場合

解約条項がある場合、解約予告期間が定められているケースが一般的です。退去時期が急すぎて解約予告期間を守れない場合、希望の時期に退去できないこともめずらしくありません。急な転勤などのやむを得ない事情であれば容認されるかもしれませんが、私的な理由での解約は原則できないと考えておきましょう。

しかし、解約条項に残りの契約期間分の家賃を支払えば途中解約できる旨の記載がある場合、退去時期が急でも退去できる可能性があります。解約条項の内容次第ではありますが、困ったときは大家さんや不動産会社などに相談して指示を仰ぎましょう。

【賃貸解約の基本】事前に確認すべきポイント

賃貸借契約を解約する際は、契約書に記載されている以下の2点を確認しておきましょう。

・期間の定めの有無
・解約条項の有無

これらの条件が揃っていない場合、希望通りの解約ができないかもしれません。それぞれの内容は以下のとおりです。

確認事項①:期間の定めの有無

先述のとおり、賃貸借契約には原則1〜2年ほどの契約期間が設けられています。解約条項がなければ、基本的に賃貸借契約の期間満了日に解約をする必要があるため、契約期間の確認は必須といえます。

しかし、なかには契約期間が定められていない賃貸物件もあり、退去の手続きで困ってしまう方もめずらしくありません。このような場合、賃貸解約の3ヶ月前に解約を申し入れておくことで解約が可能です。ただし、解約条項に解約申し入れ期日の記載があれば、それに従わなければいけません。

なお、契約期間が1年未満の賃貸借契約も期間の定めがないとみなされます。そのような場合も、解約条項に指定がなければ解約3ヶ月前の告知が必要です。

確認事項②:解約条項の有無

先ほど詳しく解説した解約条項も、賃貸契約の解約を考えた段階で、最初に目を通しておきたい項目です。前述の【賃貸解約の基本】手続き方法で述べた、以下のような解約条項がなければ、契約期間の満了を迎えるまで解約ができません。

例1:賃貸借契約期間が2年でも、1ヶ月前までに解約告知をすることで賃貸解約ができる
例2:賃貸借契約期間に関わらず、1ヶ月分の家賃を支払うことで賃貸解約ができる

解約できないとなると、引越しや退去など今後のスケジュールが狂ってしまうため、わからないことがあれば担当者に連絡して聞いておくと良いでしょう。

賃貸解約は契約内容によって手続き方法が異なる

賃貸物件の解約手続きを行う場合は、期間と解約条項の有無によって手続き方法が異なります。途中解約可能の解約条項が記載されていれば、契約期間内でも解約できますが、契約内容によっては違約金が発生するケースもあるので注意しましょう。

途中解約ができない場合は、契約期間満了日まで解約を待たなければなりません。また、契約の種類や時期によっても途中解約ができないケースがあるので、事前に確認しておくことが重要です。

ふどサーチ編集部