仲介手数料無料の物件はおすすめできる?無料になる仕組みや注意点を解説

賃貸物件について必要な費用や項目をチェックしている様子

「仲介手数料無料」と謳った賃貸物件を目にした際、「なぜ無料になるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。仲介手数料が無料であればそのぶん初期費用も安くなりますが、なにかデメリットはないのか気になってしまいますよね。今回は、仲介手数料が無料になる仕組みと注意点について解説していきますので、引越しを検討している方は参考にしてみてください。

そもそも仲介手数料とは?

仲介手数料は、不動産会社に物件を紹介してもらった対価として支払うお金です。不動産会社は物件を紹介するだけでなく、内見や契約にいたるまでの手続き、大家さんとの交渉などの業務をおこなっています。仲介手数料はそれらの業務に対して支払う報酬で、相場は家賃の0.5ヶ月〜1ヶ月分が一般的です。

賃貸物件における仲介手数料の相場は?

国土交通省の「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」では、以下のように書かれています。

第四:貸借の媒介に関する報酬の額
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の一・〇八倍に相当する金額以内とする。(以下略)

第五:貸借の代理に関する報酬の額
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の代理に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)は、当該宅地又は建物の借賃の一月分の一・〇八倍に相当する金額以内とする。(以下略)

出典:国土交通省 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(建設省告示第千五百五十二号)
最終改正:平成二十九年十二月八日国土交通省告示第千百五十五号
通省告示第千百五十五号
※令和元年の消費税引きあげに伴い、現在は貸借の媒介・代理報酬ともに「借賃一月分の一・一〇倍に相当する金額以内」となっています

これを見ると、仲介手数料の上限は家賃の1ヶ月分+消費税と決められていることがわかります。なお、現在は消費税が10%のため、1ヶ月分の家賃に1.1をかけて計算します。次に、家賃価格帯ごとの相場を見ていきましょう。

家賃0.5ヶ月分の仲介手数料1ヶ月分の仲介手数料
50,000円27,500円55,000円
80,000円44,000円88,000円
110,000円60,500円121,000円
150,000円82,500円165,000円
200,000円110,000円220,000円

※(消費税10%)

仲介手数料を家賃の1ヶ月分ではなく、0.5ヶ月分に設定している不動産会社も少なくありません。家賃5万円の場合、0.5ヶ月分の25,000円+消費税10%で27,500円、1ヶ月分では50,000円+消費税10%で55,000円の仲介手数料となります。

仲介手数料が無料になる仕組みは?

仲介手数料は、物件紹介の対価として支払うものですが、なぜ無料にできるのでしょうか。無料にできる理由として、おもに以下の3つが挙げられます。

①.貸主が仲介手数料を全額負担している
②.不動産会社が自社で保有している
③.貸主と直接取引をする

ここからは、仲介手数料が無料となる理由について詳しく解説していきます。

パターン①:貸主が仲介手数料を全額負担している

まずは、大家さん(貸主)が仲介手数料を全額負担しているパターンです。例えば、駅から徒歩30分かかる、日当たりが悪いなどの理由で入居者希望者がなかなか見つからない物件もあります。長期間空室になると、物件が傷む可能性が高まったり収入が途絶えたりと、大家さんにとってデメリットとなってしまうのです。そういった場合、仲介手数料を全額負担してでも空室を埋めたいと考える大家さんも少なくありません。

パターン②:不動産会社が自社で保有している

2つ目は、賃貸物件を保有しているのが不動産会社というパターンです。不動産会社が自社物件を保有している場合も、空室期間が長引いてしまうと不動産会社にとって大きなデメリットとなってしまいます。そのため、空室対策の1つとして仲介手数料を無料にしているケースも少なくありません。

パターン③:貸主と直接取引をする

3つ目は、仲介手数料について大家さんと交渉をするパターンです。不動産会社をとおさずに大家さんと直接賃貸契約を結ぶ場合は、仲介手数料が無料になります。しかし、そもそも大家さんと直接交渉できる物件数は数が限られるうえ、契約までの手続きをすべて自分でする必要があり、手間がかかったりトラブルにつながる可能性も考えられるため、この方法はあまりおすすめできません。

仲介手数料無料物件の注意点

仲介手数料が無料になれば初期費用を抑えられるというメリットもありますが、注意しておきたい点が2つあります。

①.ほかの費用にしわ寄せがくる可能性がある
②.違約金などの契約条件にも注目しよう

仲介手数料だけに目がいってしまうと、入居後に後悔するおそれがあります。上記2点について、それぞれ見ていきましょう。

①ほかの費用にしわ寄せがくる可能性がある

仲介手数料が無料でも、家賃や共益費、敷金・礼金などが相場よりも高くなっている可能性があります。そういった場合、初期費用が安くなっても、長く住めば住むほどより多くの支払いを続けることになる可能性もあります。

それでは、「共益費・管理費」「敷金」「礼金」の相場を見てみましょう。地域などによって異なりますが、一般的な相場は以下のとおりです。

■共益費・管理費:家賃の5〜10%
■敷金:家賃の約1ヶ月分
■礼金:賃の約1〜2ヶ月分

上記の相場を踏まえ、家賃価格帯ごとの費用を見ていきます。

家賃共益費・管理費
(家賃の10%)
敷金(家賃1ヶ月分)礼金(家賃2ヶ月分)
50,000円5,000円50,000円100,000円
80,000円8,000円80,000円160,000円
110,000円11,000円110,000円220,000円
150,000円15,000円150,000円300,000円
200,000円20,000円200,000円400,000円

共益費・管理費や敷金・礼金以外にも、「24時間サポート」や「消臭・消毒費」などの別口で、仲介手数料としてかかっていたはずの費用を請求される場合があります。仲介手数料以外にかかる初期費用の相場と、請求された項目内容を事前に確認することが大切です。仲介手数料だけでなく、トータルでかかる初期費用を計算しましょう。

②違約金などの契約条件にも注目しよう

賃貸物件を契約する際は、2年単位での契約が一般的です。「2年間部屋を借りる・貸す」のを条件に契約をしているため、なんらかの理由により1年未満などの短期間で退去すると、違約金が発生します。

違約金の相場は家賃の1ヶ月分ですが、物件によっては2〜3ヶ月分を支払う場合もあります。せっかく仲介手数料を抑えられても、途中解約をするとそれ以上にお金がかかってしまう物件もあるということです。違約金以外にも、特約などで費用を請求されていることもあるので、契約条件はよく注意して確認するようにしましょう。

仲介手数料以外にも安く抑えられる費用がある

引越しの初期費用では、物件契約までにかかるお金だけでなく、引越し業者への依頼費用や家具・家電の購入費用など、想像以上にお金がかかります。そのため、家賃交渉をおこなって月々にかかる家賃を安くしようと考える方も少なくありません。しかし、なにか特別な理由がない限り家賃交渉が成立することは基本的にないので、前提として家賃の値下げ交渉は難しいということを頭に入れておきましょう。

必ずしも、仲介手数料無料の賃貸物件にこだわって部屋探しを進める必要はありません。仲介手数料以外にも、初期費用を安くできる方法はいくつかあります。ここからは、初期費用を抑えるコツについて詳しく解説していきます。

敷金・礼金

敷金と礼金が安くなれば初期費用は抑えられるので、まずはこれらの費用が安いかどうかをチェックしましょう。ここで注意したいのが、敷金・礼金を無料にしている物件です。

しかし、敷金無料の物件では注意も必要です。そもそも敷金とは、部屋を退去する際に入居者の過失や故意によって生じた傷や汚れを修繕するための費用であり、敷金から修繕費用を引いた額は返金されます。そのため敷金が0円の場合、退去時に別途クリーニング代を請求されることも少なくありません。そうなると、次の引越しの際に想定よりもお金がかかる可能性もあるため気をつけてください。

初月から数ヶ月間の家賃

賃貸物件のなかには、家賃が一定期間無料になる「フリーレント物件」があります。フリーレントの期間は物件によって異なりますが、一般的には初月から家賃1ヶ月無料が相場です。なかには3ヶ月無料の物件もあり、仲介手数料や敷金・礼金分の初期費用が相殺されるためお得です。

ただし、共益費・管理費が家賃に含まれていない物件では、フリーレント期間中も共益費・管理費を支払う必要があるため注意しましょう。

閑散期はお得になる可能性もある

引越し時期には繁忙期と閑散期があります。一般的に、6〜8月と10月〜年末は引越す人が少ない閑散期です。繁忙期は交渉などにかかわらず入居者が決まることも多いのですが、閑散期は空室の物件を早く埋めるために、礼金などの値下げ交渉も応じてもらいやすくなります。、そのため、引越し時期がとくに決まっていない場合には閑散期をねらいましょう。

仲介手数料無料物件が自分に合っているのか確かめてから決めよう

仲介手数料が無料の場合、初期費用の負担が減ります。しかし、仲介手数料分の金額が、敷金・礼金やそのほかの費用に上乗せされている可能性もあります。仲介手数料無料の言葉だけに飛びつかず、初期費用や総合的にかかる費用などの相場を知り、事前に情報収集をしてから部屋探しをしましょう。

ふどサーチ編集部