フリーレント物件とは?家賃が無料になる仕組みやメリット・注意点を解説

「¥0」の文字を見つめる女性

お部屋探しの際「家賃を抑えたい」「引越しにかかる費用を節約したい」といった人は、「フリーレント物件」への入居を検討してみましょう。フリーレント物件に住むと家賃が一定期間無料になるため、引越し時にかかる初期費用を抑えられます。

ただし、フリーレント物件はメリットばかりではなく、仕組みや注意点を理解しておかないと後からトラブルに発展する可能性があります。
今回はそんなフリーレント物件について、家賃が無料になる仕組みや入居することで得られるメリット、押さえておくべき注意点について解説していきます。引越しの際にかかる初期費用を抑えたい人は、ぜひチェックしてみてください。

フリーレント物件とは?

フリーレント物件とは、賃貸物件への入居後、一定期間の家賃が無料となる賃貸物件のことです。無料期間は賃貸物件ごとに異なりますが、1~2ヶ月程度に設定しているところが一般的です。まずは家賃が無料になる仕組みや、フリーレント物件が出やすい時期について見ていきましょう。

家賃が無料になる仕組み

そもそもどうしてフリーレント物件があるのかですが、その理由は、大家さんが入居者を集めることに注力しているためです。他の賃貸物件と差別化しフリーレント期間(家賃が無料の期間)を設けることで、入居希望者の増加を図っています。

たとえば、同じワンルームで設備なども似たような賃貸物件が2つある場合、一方がフリーレント物件であれば、入居希望者はそちらに大きなメリットを感じます。大家さんにとっても、フリーレント期間が過ぎれば毎月安定した家賃収入を得られるので、さほど大きな問題にはなりません。

また、家賃を下げて入居希望者を募る方法もありますが、家賃を下げると賃貸物件の資産価値も低下してしまうおそれがあるのです。その対策としてフリーレント期間が設けられることも少なくありません。このように、フリーレント物件は入居希望者・大家さん双方にメリットをもたらすと言えます。

フリーレント物件が出やすい時期はある?

フリーレント物件が出やすい時期は、不動産業界における閑散期です。5月後半~7月、11~12月などは不動産業界の閑散期にあたり、この時期になると賃貸物件の成約率が落ちます。転職や進学など、引越しを伴うイベントが少なく、入居希望者(引越しを検討する人)が集まらないためです。

不動産会社や大家さんは、物件が空室となる期間を少しでも減少させるため、一部の賃貸物件をフリーレント化している可能性があります。閑散期である11月にフリーレント物件を探し始め、12月中に契約して春からの新生活に備えるという方も少なくありませんので、スケジュールを調整しながら早めに行動しましょう。

フリーレント物件を契約するメリット

数ヶ月分の家賃が抑えられるなど、フリーレント物件には魅力的なメリットが多数あります。ここからは、フリーレント物件を契約するメリットについて解説していきます。

二重家賃の発生を避けられる

フリーレント物件であれば、旧居と新居の二重家賃を防げます。引越しの際、賃貸契約日の調整がうまくいかないと旧居+新居、両方の家賃を同時に支払う必要が出てきてしまい、これを二重家賃といいます。
たとえば、現在住んでいる賃貸物件の解約日が2月1日で新居の契約が1月15日に決まった場合、契約が重なっている1月15日~2月1日まで旧居分と新居分、家賃を二重に支払わなければなりません。

しかし契約した新居がフリーレント物件の場合、入居後の一定期間は家賃を支払う必要がなく、二重家賃が発生する心配もなくなります。契約日の細かな調整も必要なくなり、手間や時間がかからないのもメリットと言えます。

<おすすめの人>
・二重家賃により引越し時の費用負担が重くなる人
・解約日、契約日の調整が難しい人

初期費用を抑えられる

フリーレント物件は一定期間の家賃が無料なので、引越しにかかる初期費用を抑えることにも繋がります。引越しの際は敷金・礼金や仲介手数料など、家賃5~7ヶ月分程度の初期費用が必要です。フリーレント物件は1~2ヶ月程度(物件により期間は異なる)の家賃が無料となるので、大きな節約が叶います。

<おすすめの人>
・初期費用が高額で引越しを悩んでいる人
・引越し後の予算に余裕を持たせておきたい人

フリーレント物件を契約する際の注意点

ここではフリーレント物件を契約する際の注意点について解説します。お得なフリーレント物件ですがメリットだけではないので、注意点も把握した上で契約の手続きを進めましょう。

仲介手数料はかかる

フリーレント物件でも「すべて無料」とはなっておらず、賃貸物件契約時の仲介手数料はかかります。仲介手数料とは、賃貸物件の紹介や契約手続きを行ってくれた仲介業者へ支払うお金のことです。家賃とは関係のない費用なので、フリーレント物件であっても支払う必要があります。

<注意が必要な人>
・家賃も含め、賃貸契約時の初期費用を少しでも抑えたい人
・敷金、礼金や仲介手数料などの費用が無料の物件を探している人

管理費・共益費は初月からかかる場合が多い

フリーレント期間、家賃は無料になりますが、管理費や共益費は基本的に別途必要なので注意しましょう。管理費・共益費は、集合住宅の共有部分を維持するために使われる費用です。
あらかじめ管理費や共益費が初月から発生するのかどうかを確認し、発生する場合は予算に組み込んでおきましょう。

短期で解約すると、違約金がかかる可能性あり

フリーレント物件を短期で解約する場合、違約金が発生する可能性もあるので注意しましょう。フリーレント物件では、契約期間を設定しているのが一般的です。この契約期間内に解約を申し出た場合、違約金としてフリーレント期間中の家賃を請求される可能性もあります。

大家さんは、基本的に長期の入居を条件としてフリーレント期間を設けており、その場合は契約内容にも期間の設定が含まれています。そのため短期解約をすると違約金を支払う必要があるのです。契約期間や短期違約金などは契約書に記載されているため、契約前にしっかりと確認しましょう。

また、「短期」とは1年以内を指すケースが多いです。違約金を支払うことになると、結果的にトータルコストは増えてしまうので、フリーレント物件を選ぶ際は入居期間についても検討しておいてください。

<注意が必要な人>
・1年未満などの短期的な入居を希望する人
・転勤などで居住エリアが定まらない人

家賃が適正価格より高い可能性あり

フリーレント物件であっても、家賃が相場価格より高い場合もあるため注意しなければなりません。フリーレント期間終了後、無料とした家賃を補填するため、通常の家賃よりも高くするといったケースもあります。以下のような家賃設定の場合、トータルコストがどうなるかを見てみましょう。

【フリーレントの有無を比較】

A:フリーレント物件(1ヶ月家賃無料)B:相場通りの賃貸物件
初月の家賃0円70,000円
初月以降の家賃74,000円70,000円
2年間の家賃合計1,702,000円1,680,000円

結果的に、Aのフリーレント物件の方がトータルコストは22,000円高くなりました。もちろん上記はあくまでも例なので、必ずしもフリーレント物件の家賃が高くなるというわけではありません。事前に同じエリアかつ似た条件の賃貸物件を調査し、相場と比較しながらトータルコストを計算してみましょう。

<注意が必要な人>
・フリーレント期間以降も家賃の安い物件を選びたい人
・トータルコストを重視して賃貸物件を選びたい人

フリーレント期間・家賃発生日を確認する

フリーレント物件は家賃が無料となる期間に限りがあるので、契約前にフリーレント期間・家賃発生日を確認することが大切です。賃貸物件によってフリーレント期間は異なります。たとえば、入居後の1ヶ月分、月途中であれば月末までの日割り分などです。

「気がつかないうちにフリーレント期間が終わっていた」という場合、家賃を滞納してしまう可能性があるので注意しましょう。フリーレントの詳細は契約前に、契約書の内容や大家さんなどから確認することを忘れないようにしましょう。

<おすすめできない人>
・仕事などで忙しく、詳細の確認が難しい人
・賃貸契約が初めてで、契約書などの確認方法に不安のある人

フリーレント物件だけに絞らずに探すのがベター

費用を抑えたい場合は、フリーレント物件だけに絞らずに探すこともおすすめします。
そもそも、フリーレント物件は数が限られており、どの賃貸物件でも導入されているものではありません。大家さんとしてもメリットはあるフリーレントですが、同時に家賃収入が減少するリスクもあり、入居希望者が集まらない状況でなければ導入されにくい仕組みです。「フリーレント物件かつ自分の条件に合う物件があればいい」くらいの気持ちで賃貸物件を探しましょう。

フリーレントのほかにも初期費用を抑える方法はあるので、気になった方は記事「一人暮らしを始めるのにかかる初期費用はいくら?安く済ませる方法も紹介」をぜひチェックしてみてください。

<注意が必要な人>
・フリーレント物件という条件が外せない人
・家賃の支払いを抑えることにこだわりたい人

フリーレントにしてもらう交渉も検討しよう

賃貸物件を探す際は、フリーレントにしてもらうために交渉することも検討してみましょう。場合によっては、フリーレント物件でない賃貸物件に適用される可能性があります。

契約する意思を先に伝えるのが重要!

フリーレント物件にしてもらう交渉では、契約する意思を先に伝えることが重要です。交渉の際、いきなりフリーレント物件の話をしても、契約しない可能性のある相手には大家さんも良い回答ができません。

「必ず契約する」ということを条件として、フリーレント物件にできないか話をすることで交渉が進みやすくなります。契約するかどうかわからない相手よりも、家賃収入を期待できる入居希望者が優先されるためです。また、交渉の際は以下のポイントを押さえながら話を進めてみてください。

<交渉時に押さえておきたいポイント>
・引越し予定日など、契約に関して具体的な話をする
・予算に余裕がないことを伝える
・申込書へサインする前に交渉する

具体的な話をすることで入居の意思を大家さんにアピールできます。さらに、見積書を見ていくらくらい予算オーバーしてしまうのかを伝えれば、条件を調整してもらえるかもしれません。

注意点として、申込書へサインしてしまうと「今の条件で問題ないことに同意した」とみなされます。サインをするとフリーレント物件の交渉ができなくなってしまうので、交渉したい場合はサインの前に相談しましょう。

また、申込書に関しては細部まで目を通しつつ、わからないところがあれば質問して確認するようにしてください。

閑散期も交渉できる可能性が高い

閑散期は入居希望者が集まりにくいため、フリーレント物件の交渉をできるチャンスが高まります。前述のとおり、閑散期は引越しをする人が少なく、入居希望者を集める対策が行われる時期です。

そのため、本来であれば受けてもらえないフリーレント物件の交渉に応じてもらえる可能性があります。さらに、不動産会社の方も繁忙期の慌ただしさがなくなり、落ちついた対応をしてもらえるかもしれません。ただし、閑散期に賃貸物件を探すのはいくつか注意点があるので、物件探しを行う前に併せてチェックしておいてください。

<閑散期に賃貸物件を探す際の注意点>
・物件の数が少ない
・好条件の物件は埋まっている可能性がある

多くの物件が繁忙期に埋まってしまうため、閑散期は不動産会社で取り扱う物件情報が少なくなります。また、条件が良い人気の賃貸物件も埋まっている可能性があるので、希望条件にマッチするところが見つかりにくいおそれもあります。自分の中での優先順位を決めて、物件を探してみましょう。

フリーレント物件を契約する場合は契約条件の見極めが大切!

フリーレント物件を契約する場合は、事前に行われる手続きや打ち合わせなどで契約内容をよく確認することが大切です。フリーレント物件は「一定期間の家賃が無料になる」という魅力的なメリットがありますが、契約期間や違約金などの条件がついていることも多いです。知らずに後からトラブルに発展する可能性もあるので、以下の注意点を押さえておきましょう。

<フリーレント物件を契約する際の注意点>
・仲介手数料はかかる
・管理費・共益費は初月からかかる場合が多い
・短期で解約すると違約金がかかる可能性あり
・家賃が相場の価格より高い可能性あり
・フリーレント期間・家賃発生日を確認する
・フリーレント物件だけに絞らず探すのがベター

不明点は不動産会社や大家さんへ確認し、申込書・契約書へサインする前に解決しておきましょう。

ふどサーチ編集部