一人暮らしで貯金はいくらあればOK?貯金できない理由、効率的な貯め方を解説

一人暮らしの女性が貯金をしている様子

一人暮らしを始めると支出が多くなるので、お金の管理を適切に行わなければうまく貯金ができません。「思うように貯まらない」「友人や同僚は貯金があるけど自分にはない」といった人は、日々の生活において、お金への意識を変えるだけで貯金ができるようになるかもしれません。

今回は、貯金できない理由や効率的な貯め方のほか、お金を「増やす」ための資産運用について解説します。また、ケース別に一人暮らしの貯金シミュレーションも紹介していきますので、自分の生活と照らし合わせながらチェックしてみてください。

一人暮らしで貯金はいくらあればOK?

一人暮らしで貯金はいくらあればOKなのか、まずは世論調査のデータをもとに解説していきます。

一人暮らしの平均貯金額は「653万円」、中央値は「50万円」

金融広報中央委員会「知るぽると」が行った世論調査によると、一人暮らしの平均貯金額は653万円、中央値は50万円でした。平均値と中央値で大幅な差が出る理由は、算出方法が違うためです。

※出典:金融広報中央委員会「知るぽると」 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)

<各数値の算出方法の違い>
・平均値:すべての値を足して、データ数で割った数値
・中央値:全データを順に並べ、その真ん中を割り出した数値

平均値の場合、極端に大きいor小さい数値があれば、算出される数値にも影響がでます。たとえば、平均653万円を大幅に超える貯金額の人が10人中2人いた場合、残りの8人は平均値に届いていなくとも、貯金額の平均が653万円になることがあります。そうなると、10人中8人の人が「自分の貯蓄額は少ない」と感じるかもしれません。

一方、中央値は他の数値との差に影響されないので、貯金額として算出した場合は中央値の方が現実的な数字として感じられます。そのため、世間一般の貯金額と自分の貯金額を比較したい場合は中央値を参考にするのがおすすめです。

このように世論調査で平均値と中央値に大きな開きがある原因は、平均値を算出する際、貯蓄額が極端に多い人や少ない人のいる影響がでているためです。

では、具体的な貯金額をイメージしやすいよう、世代別の貯金額(平均値・中央値)を見ていきましょう。

【世帯別の貯金額】

年齢平均値中央値
20代113万円8万円
30代327万円70万円
40代666万円40万円
50代924万円30万円
60代1,305万円300万円

※出典:金融広報中央委員会「知るぽると」 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)

手取りの1~2割は貯金しておくのが望ましい

金融広報中央委員会「知るぽると」の世論調査によると、毎月の貯金額は手取りの1~2割程度が目安です。では、世代別ではどのくらいの貯金額が適正なのか、平均年収とともに見ていきましょう。

【世代別の貯金額】

年齢平均年収貯金額(収入に対する割合)貯金額
20代217万円18%約39万円
30代298万円16%約48万円
40代310万円13%約40万円
50代279万円12%約33万円
60代227万円8%約18万円

※出典:金融広報中央委員会「知るぽると」 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)

一人暮らしでなかなか貯金ができない原因は?

一人暮らしでなかなか貯金ができない原因は主に、下記の3つなことが多いです。

①一人暮らしはそもそもお金がかかる
②流動費の管理が難しい
③余ったお金を貯金するという習慣がついてしまっている

どの原因の影響が大きいかは人によって異なりますが、主な原因を把握しておくことで無理のない対策をし、貯金に回せるお金が増えるようになるかもしれません。

①一人暮らしはそもそもお金がかかる

一人暮らしには、生活するうえで必要な出費がいくつもあります。以下は一人暮らしでかかる費用の内訳です。

<一人暮らしでかかる費用の内訳(費用は1ヶ月あたり)>

内訳費用の目安
家賃50,461円
食費38,257円
水道・光熱費11,686円
家具や家事用品などの購入費5,293円
衣類などの購入費4,692円
保険医療費7,029円
交通・通信費18,217円
その他28,932円
合計164,567円

※出典:政府統計の総合窓口 e‐Stat 家計調査
※出典:全国賃貸管理ビジネス協会 全国家賃動向

住んでいるエリアや生活スタイルによって差はあるものの、おおよそ上記のような費用が毎月発生します。

各費用、自分は毎月いくらくらいかかっているのかを把握しておくと、遣いすぎていないかや節約ができているかを月ごと比較することができます。「気づかぬうちに遣いすぎていた」ということがないよう、大体でもいいので1月当たりの出費を把握しておくことが大切です。

②流動費の管理が難しい

一人暮らしでは、流動費の管理をおろそかにしてしまうと貯金が難しくなります。流動費とは、食費や趣味に使うお金など、毎月変動する可能性が高い費用のことです。

流動費の上限を決めて生活していれば、遣いすぎ防止となり、毎月安定した貯金がしやすくなります。しかし、上限を決めていないと無駄遣いが多くなり、貯金に回すお金がなくなってしまうかもしれないので、想定通りに貯金できない人は月々の流動費を見直してみてください。

③余ったお金を貯金するという習慣がついてしまっている

「余ったお金を貯金する」という習慣が身についてしまった場合、貯金への意識が強くならず、思うように貯金できない可能性があります。

まずは毎月の貯金額を決めて、収入が入った際は最初にお金を取り分けておきましょう。こうしておくことでお金をすべて使い切ることなく、毎月安定して貯金を続けられます。

一人暮らしの人が効率よく貯金する方法は?

ここからは、一人暮らしの人の効率的な貯金方法を9つ解説していきます。

①貯金額の目標を設定する

貯金額の目標を設定して、毎月、貯金に向けて確保しなければならないお金+出費額を管理しましょう。前述のとおり、貯金額の目標は収入の1~2割が目安です。

毎月の収入が20万円であれば、毎月2~4万円を貯金として確保します。残りの16~18万円は生活に必要なお金として残しておき、どこへ・いくら使うのかを管理しましょう。出費額は固定費(家賃や光熱費、通信費など)から計算すると、管理が行いやすくなります。

また、目標額を決めてもモチベーションが保てない場合は、貯金する目的も一緒に考えてみてください。旅行や結婚などの目的があれば、無駄にお金を使ってしまう気持ちにブレーキをかけやすくなります。

②月々の固定費・流動費を節約する

貯金の目標額を決めたあとは、月々の固定費・流動費を節約します。出費を抑えて生活に余裕が出てくると、貯金への負担が軽減されます。では、固定費・流動費を抑える具体例を見ていきましょう。

<固定費を抑える具体例>
・契約している電力会社や水道会社、通信会社などの料金プランを見直す
・家賃の低いエリアに引越す
・賃貸物件への入居時は家賃交渉を試みる

<流動費を抑える具体例>
・外食の頻度を減らす
・衣類や趣味などにかける費用は、買いもの前に予算を決める

固定費のなかでも大きなウェイトを占めているのが家賃です。家賃を抑えることで、目標とする貯金額を確保しやすくなります。

また、上記の具体例に関して、家賃の値下げ交渉は必ずしもうまくいくとは限らないので注意してください。一方、家賃の低いエリアに関しては、お部屋探しサイトや不動産会社などを利用して探すことができます。

③先取り貯金をする

先取り貯金を実践して、余計な出費を防ぎましょう。先取り貯金とは、毎月の給料が入った時点で別の貯金用口座などへお金を移して貯金を行う方法のことです。先に貯金用のお金を確保できるので、貯金する予定のお金を使ってしまうリスクが軽減されます。

<先取り貯金を行う方法>
・新しい口座を作って自動振替を設定する
・定期預金を申し込む

まずは実践してみて、生活に支障がないかを確認してください。生活に余裕がないと感じたときは、固定費・流動費の節約→貯金額の見直しの順で対応しましょう。このとき貯金額の見直しから始めてしまうと、ほかに余計な出費があることに気づかず貯金額を減らしてしまう可能性があります。

④ボーナスを貯金に回す

ボーナスが出た際は、先に貯金する額を決めるか、もしくは全額貯金に回します。ただし、ボーナスは会社の経営状況や国内の経済状況によって左右されるものなので、ボーナスをあてにして貯金するというのはおすすめできません。

毎月の貯金額が目標に達していない場合、それを補填するイメージでボーナスを貯金に回しましょう。もしボーナスの使い道が決まっていない場合は、そのまま貯金に回します。

大切なのは、計画性をもってお金を使う・貯めることです。無駄遣いしないという意識をもち、毎月・毎年の貯金を続けていきましょう。

⑤キャッシュレス決済でポイント還元を受ける

支払いをキャッシュレス決済へ切り替えると、ポイント還元によって節約に繋がります。公共料金や交通費、通信費、食費など生活に必要な支払いをキャッシュレス決済に変えることで、自動的にポイントが貯まっていきます。貯まったポイントを日用品の購入などへ回せば、支出を抑えることが可能です。

また、家計簿アプリと連携させれば、毎月の支出がいくらなのかを把握しやすくなります。節約へ意識を向けたい場合は、現金払いではなくキャッシュレス決済を検討してみることもおすすめです。

⑥貯金専用の定期預金口座を作って積み立てる

毎月の貯金額が決まった際は、貯金専用の定期預金口座を作って積み立てていきましょう。普通口座へ貯金していると、お金が不足した際に使ってしまうおそれがあります。定期預金であれば、毎月自動で積み立ててくれるほか、手続きしないとお金が下ろせないため簡単には使えません。

また、先述した先取り貯金をするために定期預金口座を作る方も少なくありません。無駄な支出が抑えられるので、安定した貯金を目指す人は定期預金口座の開設も検討してみてください。

⑦保険や財形貯蓄で積み立てる

保険や財形貯蓄を利用し、毎月のお金を積み立てる方法もあります。財形貯蓄とは、福利厚生の一環として従業員の資産形成を目的とする制度です。

会社が給料の一部を金融機関(銀行や保険会社など)へ積み立ててくれるので、自ら貯金へ回す必要がありません。また保険会社の場合、貯蓄型の生命保険や損害保険などの保険商品を選ぶことでお金を貯金するように積み立てられます。

⑧少額でもできる資産運用を始める

安定して貯金できるようになった際は、少額でもできる資産運用を始めて「増やす」ことも検討してみましょう。資産運用には以下の方法があります。

【資産運用の例】

資産運用の方法特徴
つみたてNISA・少額から長期、積み立て、分散投資を支援する制度
・最長20年、毎年40万円を上限に非課税投資ができる
iDeCo(個人型確定拠出年金)・任意加入の私的年金
・掛金、運用益、給付の際は税制上の優遇措置が受けられる
・掛金(月々5,000円~)は60歳になるまで拠出し、60歳以降になると老齢給付金が受け取れる
個人年金保険・生命保険の一種で、公的年金とは別に個人で契約する年金保険
・毎月の保険料を支払うことで、老後に必要な資金を確保できる
個人向け国債・国にお金を貸して(国債を購入する)、半年に1回利息が受け取れる
・月々1万円から始められる

資産運用はそれぞれ特徴が異なるので、運用目的を明確にしてから始めましょう。たとえば、将来に備えておきたい場合はiDeCoや個人年金保険を始めるといったイメージになります。運用目的とそれぞれの特徴を照らし合わせながら、自分に合った資産運用を選ぶことがおすすめです。

⑨副業で稼ぐ

本業だけで貯金を増やせない場合は、副業で稼ぐ方法もあります。以下に副業の例を挙げていきます。

<副業の例>
・データ入力
・WEBライター
・写真やイラストの販売
・翻訳
・専門スキルを活かしたレッスン業、インストラクター
・宅配ドライバー

本業がおろそかになってしまうことや、体へ負担になりすぎることがない程度の副業を選んで、毎月の貯金額を増やしていきましょう。ただし、会社によっては副業NGとされているところもあるので、社内規定に違反していないかどうか、事前に確認しておいてください。

【ケース別】一人暮らしの貯金シミュレーション!

ここからは、一人暮らしの貯金シミュレーションをケース別に紹介していきます。

大学生・Aさん(20歳、仕送りあり)の場合

仕送りなしの大学生Aさんの貯金シミュレーションは以下のとおりです。

【貯金シミュレーション】

収入・支出の項目収入額支出額
アルバイト代100,000円
仕送り50,000円
奨学金30,000円
家賃50,000円
食費40,000円
光熱費12,000円
日用品・生活必需品の購入費5,000円
書籍代5,000円
交際費20,000円
通信費10,000円
その他(美容院やケア用品、嗜好品など)30,000円
合計180,000円172,000円
毎月の貯金額平均8,000円
現在の貯金額200,000円

Aさんの場合、学校の帰りや休日に行うアルバイト代+仕送りと奨学金が毎月の収入です。学校やアルバイト先が住んでいる賃貸物件から徒歩圏内なため、毎日かかる交通費はありません。このような状況であれば、毎月の貯金額は5,000~8,000円を目標額として設定できます。

大学生・Bさん(21歳、仕送りなし)の場合

次に、仕送りなしで生活をする、大学生Bさんの貯金シミュレーションをご紹介します。

【貯金シミュレーション】

収入・支出の項目収入額支出額
アルバイト代100,000円
仕送り
奨学金50,000円
家賃50,000円
食費30,000円
光熱費12,000円
日用品・生活必需品の購入費5,000円
書籍代5,000円
交際費10,000円
通信費10,000円
その他(美容院やケア用品、嗜好品など)25,000円
合計150,000円147,000円
毎月の貯金額平均3,000円
現在の貯金額100,000円

Bさんの場合、仕送りがないため奨学金の額を増やして生活しています。また、食費をはじめとする流動費を調節しつつ、節約を意識しながら支出を抑えている状況です。

このようなケースの場合、毎月約3,000円を目標に貯金できます。決して大きな額ではありませんが、長い目でみればまとまった貯金額になります。また、学生のうちから貯金する習慣を身につけておくことで、社会人となってからも安定して貯金を続けられます。

社会人3年目・Cさん(25歳)の場合

社会人3年目Cさんの貯金シミュレーションを見ていきましょう。

【貯金シミュレーション】

収入・支出の項目収入額支出額
毎月の給料230,000円
家賃60,000円
食費40,000円
光熱費12,000円
日用品・生活必需品の購入費5,000円
趣味費20,000円
交際費10,000円
通信費10,000円
生命保険5,000円
その他(美容院やケア用品、嗜好品など)30,000円
合計230,000円192,000円
毎月の貯金額平均38,000円
現在の貯金額1,200,000円
ボーナス年2回、給料1.5ヶ月分

Cさんの場合、過度な支出がなく、現在の給料に見合った生活レベルを維持しています。毎月の貯金額は収入の1~2割をキープできている他、年2回のボーナスもあります。このまま順調に貯金できれば、つみたてNISAやiDeCoなど資産運用も検討できる状況です。

中堅社員・Dさん(30歳)の場合

最後に、中堅社員Dさんの貯金シミュレーションを見ていきます。

【貯金シミュレーション】

収入・支出の項目収入額支出額
毎月の給料300,000円
家賃80,000円
食費40,000円
光熱費12,000円
日用品・生活必需品の購入費5,000円
趣味費30,000円
交際費30,000円
通信費10,000円
生命保険5,000円
その他(美容院やケア用品、嗜好品など)30,000円
合計300,000円242,000円
毎月の貯金額平均58,000円
現在の貯金額4,800,000円
ボーナス年2回、給料1.5ヶ月分

Dさんの場合、キャリアを重ねて安定した収入を得られ、毎月の貯金にも余裕があります。お金を「貯める」ではなく、「増やす」方向へシフトしても問題ない状況ともいえます。たとえば、つみたてNISAやiDeCoへ毎月2万円ずつ拠出する他、年2回のボーナスを使った分散投資も可能です。

一人暮らしの貯金は月々の貯金額・スタイルを決めて効率よく

一人暮らしの貯金は、月々の貯金額やスタイルを決めて効率よく行いましょう。まず貯金額を決めておくと、無駄遣いの防止につながり、毎月安定して貯金を続けられます。さらに、貯金に余裕が出てきたときは、つみたてNISAやiDeCoなどの資産運用でお金を増やすことも検討してみてください。

資産運用には以下のような方法があり、将来的な目標や生活スタイルに合わせて選べます。

<資産運用の方法について>
・つみたてNISA
・iDeCo
・個人年金保険
・個人向け国債

自分に合った方法を実践し、効率的にお金を貯めていきましょう。

ふどサーチ編集部