一人暮らしにかかる固定費といえば、主に家賃・電気代・ガス代・水道代・通信費ですが、そのなかでもガス代に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
ガス代は日常の使い方だけでなく、使用しているガスの種類によっても変わるため、節約をしたい方は現在使っているガスを見直すことから始めるのがおすすめです。
今回は、一人暮らしのガス代が高く感じる5つの原因と6つの節約術について解説していきます。
一人暮らしのガス代の平均額は「3,021円」
毎月払っているガス代ですが、今の使用料が高いのか低いのかイマイチわかりづらいですよね。
総務省統計局の『家計調査 / 家計収支編 総世帯 詳細結果表』によると、2020年の単身世帯(一人暮らし)における毎月のガス代の平均額は3,021円、勤労者世帯に絞ると2,914円となりました。
この金額より高い場合は、使い方を見直す必要があるかもしれません。
ガス代は地域やガスの種類によって異なる
ガス代は、エリアや種類によって料金が異なるのをご存じでしょうか。
家庭で利用されているガスは、「都市ガス」「プロパンガス」の2種類があります。
都市ガスは、地下にあるガス管を通して各家庭に供給されます。インフラが整ったエリアで普及しており、地域によっては都市ガスを利用できません。
一方プロパンガスは、LPガスが入ったボンベを事業者がそれぞれの家庭やアパート・マンションまで配送します。そのため、外にガスボンベが設置されているならプロパンガスを使用しているといえます。
続いて、都市ガスとプロパンガスの2020年度の平均額をエリア別に見ていきましょう。
エリア | 都市ガス | プロパンガス(5㎥) |
---|---|---|
北海道/東北 | 2,983円 | 5,734円 |
関東 | 3,115円 | 4,586円 |
北陸/東海 | 2,789円 | 4,834円 |
近畿地方 | 2,959円 | 4,819円 |
中国/四国 | 2,858円 | 5,035円 |
九州/沖縄 | 3,210円 | 5,008円 |
出典:総務省統計局『家計調査 家計収支編 1世帯当たり1か月間の収入と支出』
出典:一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター
どのエリアでも都市ガスの方が安く、関東地方で比べるとプロパンガスより1,500円ほど安いことがわかります。
都市ガスが安い理由は主に2つです。
まず、プロパンガスは業者が各家庭へ配送するため配送コストがかかります。一方、都市ガスはガス管を通して自動的に供給されるため配送費がかからず安くなるのです。
2つ目の理由は、ガス小売全面自由化により、お得なガス会社・料金プランが提供されたためです。
これまで都市ガスは公共料金として扱われていたため、料金の設定には政府の許可が必要でした。
しかし、2017年にガス自由化が始まってガス会社が自由に料金を決められるようになり、価格競争が激しくなったのも理由のひとつです。
一人暮らしでガス代が高く感じる原因
一人暮らしのガス代が高く感じる理由は、主に以下の5つです。
①一人暮らしは費用の負担額が大きくなりやすい
②冬場はガス代が高くなりやすい
③ガスの無駄使いが多い
④賃貸物件では高めになる場合がある
⑤ガス漏れが発生している
それぞれについて見てみましょう。
①一人暮らしは費用の負担額が大きくなりやすい
一人暮らしは、2人以上の世帯に比べ一人当たりのガス代が高くなります。
世帯人数 | ガス代平均額(2020年度) |
---|---|
1人 | 3,021円 |
2人 | 4,354円 |
3人 | 4,960円 |
4人 | 5,202円 |
人数が増えるとガス代も高くなりますが、一人当たりの支払い負担額は減ります。このような理由から、一人暮らしは収入に対するガス代の負担額が大きくなり、支払いが苦しく感じやすいのです。
②冬場はガス代が高くなりやすい
2つ目は、冬場のガスの使い方によるものです。
冬は夏よりもお風呂に入る頻度が増えたり、給湯温度を高く設定したりします。
さらに暖房器具を使う頻度も増えるため、ガス代が高くなりやすいのです。
また、水の温度が低いのも理由のひとつです。
夏場は水が温まるまでさほど時間がかかりませんが、冬場になると水の温度が低いため、お湯になるまで時間が必要になります。
そうなるとガスの消費量も増え、ガス代が高くなってしまうのです。
③ガスの無駄遣いが多い
3つ目の原因として、日々の生活のなかでガスを無駄遣いしていることが挙げられます。
たとえば、シャワーを出しっぱなしにしていたり、追い焚きの回数が多かったりすると、当然ガス代は高くなります。
ガス代が高いと感じたら、普段自分がどのようにガスを使っているか見直し、節約を意識しましょう。
なお、ガス代の節約方法についてものちほどご紹介するので、参考にしてみてください。
④賃貸物件では高めになる場合がある
プロパンガスを使用している賃貸物件の場合、料金設定によってガス代が高くなることも少なくありません。
はじめにお伝えしたとおり、プロパンガスは事業者が自由に料金を決められます。最初に契約した際に決められた料金を変えることは難しく、高くてもそれに従うのが一般的です。
また、顧客獲得のため、大家さんに給湯器などの設備を無償貸与して契約を結んでいるガス会社もあります。無償貸与で負担した設備代は回収しなければならず、そのためにガス代を高く設定していることも珍しくはありません。
⑤ガス漏れが発生している可能性も
異常にガス代が高いと感じる場合、ガス器具や配管などでガス漏れが発生している可能性もあります。
ガス漏れの警報器がある場合は感知して気づけますが、設置してない場合はガスメーターが点滅してないか、ガス栓とガス機器のホースに亀裂がないかを確認してください。
また、こういった余計な出費を防ぐことに加え、事故防止のためにもガス漏れの警報機は設置しておくことがおすすめです。
一人暮らしのガス代を節約する6つの方法
ガス代が高くなる原因がわかっても、実際に節約するにはどのようにすればいいのか困ってしまいますよね。ここからは、一人暮らしでガス代を節約する方法を紹介していきます。
①お風呂やキッチンでの節約術を試す
②クレジットカードで支払う
③ガスの料金プラン・契約内容を見直す
④ガス会社を切り替える
⑤都市ガスに切り替えると安くなる可能性が高い
⑥ガス管の点検を依頼する
上記6つの方法についてひとつずつ見ていきましょう。
①お風呂やキッチンでの節約術を試す
生活においてガスを使うのは、主にお風呂とキッチンです。日々の何気ない使い方がガス代を上げている原因かもしれません。自分に合った節約術を実践し、無駄な出費を抑えていきましょう。
◇お風呂でできる4つの節約方法
お風呂の節約方法を4つご紹介します。
⑴シャワーを流しっぱなしにしない
まずはシャワーを流す時間を少しでも短くしましょう。
たとえば45℃のお湯の使用時間を1分短縮した場合、年間のガス代は約2,070円節約が叶います。
ガス代だけでなく水道代の節約にもつながるため、身体や髪を洗っているときはシャワーを止めるなど、お湯を流しっぱなしにしないようにすることがポイントです。
⑵節水タイプのシャワーヘッドに変える
シャワーヘッドを節水タイプに変えると、出てくるお湯の量が減るため、ガス代だけでなく水道代も節約できます。
⑶追い焚きの回数を減らす
お湯を沸かしたあとにテレビを見たり、うたた寝したりすると入浴までに時間が空き、追い焚きをする必要が出てきます。この追い焚き回数を1日に1回減らすと、年間で約6,190円の節約が叶います。
お湯が冷めにくいよう湯船にふたをしたり、お湯が溜まったらすぐに入浴したりして、追い焚きの回数を減らすように工夫しましょう。
また、余計なガスを使わないように適温でお湯張りをすることも忘れてはいけません。
⑷一人暮らしならシャワーにする
一人暮らしの場合、湯船にお湯を張るよりもシャワーの方がお得な場合があります。
一般的な浴槽は200Lお湯を溜められ、シャワーは1分間で約12Lのお湯を使います。冬場は厳しいかもしれませんが、シャワーのみの方が節約にはなるということを頭に入れておきましょう。
◇キッチンでできる4つの節約方法
続いては、キッチンでの節約方法を4つご紹介します。
⑴中火で調理する
料理の際、早く沸騰させたい気持ちから、鍋底から炎がはみ出るほどの強火にしていないでしょうか。
たとえば水1Lを1日3回沸騰させる場合、中火で調理すると強火よりも年間約390円のガス代節約が叶います。料理をするときは、炎が鍋底からはみ出ないように注意しましょう。
⑵保温調理をする
煮込み料理をする場合は、余熱を利用した保温調理がおすすめです。
長時間、鍋を火にかけるとガス代が上がるだけでなく、コンロにかかりっきりになるおそれがあります。火から下ろした鍋をタオルで包む他、保温調理鍋を活用して料理をしてみましょう。
⑶野菜の下茹でを電子レンジでする
野菜を下茹でするには、電子レンジを活用します。
たとえばブロッコリーやカボチャの下茹でを電子レンジでした場合、年間で約1,060円の節約ができます。時短にも繋がり、素早い調理が可能です。
⑷食器洗い乾燥機でまとめ洗い
食器洗い乾燥機で食器をまとめて洗うと、水道代を含む光熱費を年間で約8,570円節約できます。
導入の際に費用はかかりますが、光熱費の節約に加え、食器洗いの手間も軽減されるため導入を検討することもおすすめです。
また、食器洗い乾燥機がなく手洗いをする場合は、食器を洗う前にキッチンペーパーなどで汚れを拭きとり、お湯の温度を低めに設定してから洗うと節約に繋がります。
②クレジットカードで支払う
ガス代の支払いをクレジットカードで決済するとポイントが貯まります。
ガス代を節約する方法ではありませんが、ガス代を含む公共料金をまとめてクレジットカード支払いにした場合、年間数千円分のポイントが貯まるため、結果的に固定費がお得になるのです。
③ガスの料金プラン・契約内容を見直す
都市ガスを使用している場合は、現在契約している料金プランや契約内容を見直してみましょう。
先述のとおり、2017年のガス小売全面自由化に伴い、ガス会社を自由に選べるようになりました。
現在使っている料金プランや契約内容を確認し、より自分に合ったプランがないかや他のガス会社の料金・プラン内容と比較して、よりよいものがあれば切り替えも検討してみましょう。
④ガス会社を切り替える
ガスが自由化される前の2016年に、電力の小売全面自由化が始まりました。
使用中の電気会社とガス会社をまとめられれば、電気とガスがセットで割引されるプランが適用され、トータルの光熱費が下がります。
また、電気とガスのセットだけでなく、光回線やスマホ代金とセットになったプランもあります。
たとえば、九州電力では電気・ガス・インターネット(BBIQ、きゅうでん光)・スマホ(QTモバイル)がまとめてお得になるプランがあるため、ガス代以外の固定費も安く抑えられます。
ほかの固定費とのセットプランがないかや、どれだけ割引がされるのかも確認してみましょう。
⑤都市ガスに切り替えると安くなる可能性が高い
現在持ち家の戸建てでプロパンガスを使っており、都市ガスが使用できるエリアであれば、都市ガスへ切り替えるとガス代が安くなる可能性が高いです。
家にガス管を引き込む工事が必要ですが、長い目で見ると節約につながります。
一方、賃貸物件でプロパンガスから都市ガスに変えたい場合は、大家さんの承認を得なければいけません。建物全体の設備を変える必要があるため、一人では切り替えができないからです。
都市ガスに変えるには、大家さんと交渉する必要があることに加え、ほかの住人の同意を得る必要もあります。
⑥ガス管の点検を依頼する
前述のとおり、ガス代金が異常に高くなっている場合、ガス漏れが起こっている可能性があります。安全のためにもガス管の点検を依頼しましょう。
もし警報器が鳴った場合は、まず窓を開けてガス栓・メーターガス栓を閉め、発火に気をつけながら契約しているガス会社に連絡をしましょう。
一人暮らしのガス代を節約して、毎月の固定費を減らそう
一人暮らしのガス代の平均額は約3,000円です。
固定費はガス代の他にも家賃や電気代、水道代、スマホ代などがあり、できるなら節約をしたい項目です。
日々の生活では、シャワーを流しっぱなしにしない、電子レンジで下茹でするなど、簡単にできる節約方法もあるので無理のない範囲で試してみてください。
また、契約プランやガス会社を変えるのも節約術のひとつです。
ガス自由化によりさまざまなガス会社からプランを選択できるようになったため、ガス会社や契約プランを変えるという方法を実践して、出費の節約をしている方も少なくありません。
自分に合った方法でガス代を節約して、一人暮らしにかかる毎月の固定費を抑えましょう。