賃貸物件における更新料とは?値下げや支払い拒否は可能?相場料金なども確認

お金と賃貸物件の模型

賃貸物件に住むためには、家賃の他に更新料がかかります。しかし、「更新料ってどんな費用?」「支払う必要はあるのか」など、疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。更新料について把握しておけば、入居後のお金にまつわるトラブルを回避できるかもしれません。

今回は、更新料の基本的な部分に加え、相場料金や値下げ・支払い拒否に関する部分について解説します。また、最後はQ&A方式で紹介していきますので、疑問がなかなか解消しない人はぜひチェックしてみてください。

賃貸物件の更新料とは

賃貸物件の更新料とは、賃貸契約更新の際に大家さんへ支払う費用のことです。基本的に、賃貸物件には契約期間が設定されるため、満期に達しても住み続ける場合は更新手続きを行います。このとき、家賃とは別に更新料が求められるのです。

法律で義務付けられた費用ではありませんが、賃貸借契約書に、契約更新時には更新料が必要といった旨が記載されていた場合は、更新料を支払わなければなりません。更新料の有無は物件ごと違ったり地域差があったりするので、賃貸契約時には契約更新の項目にも目を通しておきましょう。

更新料の相場料金

更新料の料金相場は家賃の1~2ヶ月分です。更新月には、賃貸契約の更新料のほかに家賃・家賃保証更新料・火災保険更新料・更新事務手数料などが発生する可能性もあります。

実際にいくら必要になるのか、以下の表で支払う費用の総額をシミュレーションしてみましょう。

【更新月に支払う費用】

費用内訳支払い額
家賃70,000円
更新料70,000円
更新手数料10,000円
火災保険更新料20,000円
家賃保証更新料20,000円
合計190,000円

※家賃70,000円としてシミュレーション

火災保険・家賃保証の更新手数料は契約会社・内容によって異なるため、契約内容を一度確認しておきましょう。

賃貸物件の更新料を支払うタイミングと方法

賃貸物件の更新料を支払うタイミングは「2年に一度」というのが一般的です。法律上で更新のタイミングに関する明確な決まりはないものの、「借地借家法 第29条」には「期間が1年未満の賃貸借は期間の定めがない」と記されています。これは、1年未満の更新期間を定めたとしても、契約期間に関しては法的効力がないという意味です。

一方、2年より長い期間では、入居者のライフスタイルに合わない可能性があるため、更新は2年ごとに行うのが一般的になりました。ただし、すべての賃貸物件が同じ更新時期というわけではないので、契約書の内容は事前に確認しておいてください。

また、支払い方法も賃貸物件によって異なります。指定口座への振り込み、引き落とし、手渡しなど指定される方法で支払いを済ませましょう。

賃貸物件における更新料の値下げや支払い拒否は可能?

ここからは、賃貸物件における「更新料の値下げ」や「支払い拒否」は可能なのか、それぞれ詳しく解説します。

支払い拒否・・・契約書の記載内容を確認しよう

支払い拒否に関しては、まずは契約書の内容を確認しましょう。前述したように、更新料の支払い義務は法律で定められていませんが、契約書に支払いの旨(一義的かつ具体的に)が記載されていれば、原則支払いが必須です。

しかし、あまりに高額すぎる更新料が提示された場合、支払いを拒否できる可能性があります。「高額すぎる」とは、1年更新の契約で家賃約3ヶ月分を超える額です。

平成24年の大阪高裁判例によると、家賃の3.12ヶ月分に相当する更新料(1年更新)は適切と判断されています。つまり、1年更新かつ家賃約3ヶ月分の更新料は「高額すぎない額」とみなされ、支払い拒否できないかもしれません。

値下げ交渉・・・ハードルが高め

ハードルは高いですが、更新料の値下げ交渉そのものは可能です。ただし、契約書内へ具体的な額や更新時期などが記載されている場合、値下げ交渉は難しいといえます。入居後であれば、契約書内に記された内容を承諾したことになるため、交渉そのものができない可能性もあります。

そのため、更新料の値下げ交渉は契約前に行いましょう。

また、更新料が「家賃の○ヶ月分」と記されている場合、家賃の値下げ交渉を行うことが更新料の値下げにも繋がります。必ずしも値下げ交渉が成立するわけではありませんが、契約前に一度、値下げできるかどうかを確認・相談してみましょう。

交渉をする際、繁忙期は物件が埋まりやすいことや不動産会社が立て込んでいることもあり、上手くいきにくいかもしれません。契約内容についてなにか大家さんと交渉したい場合は、閑散期を狙うのがおすすめです。

更新料なし賃貸物件もある!確認すべき注意点も紹介

更新料ありの賃貸物件が多いなか、更新料なしで住める賃貸物件も存在します。ただし一部注意点もあるため、契約前に把握しておきましょう。

注意点①:家賃が高い可能性がある

更新料がないことで、家賃を相場よりも高く設定している可能性があります。この場合、支払い総額がより高くなるおそれもあるので、居住期間に対していくらくらいの費用が発生するのか確認しておきましょう。

家賃相場を70,000円、居住期間を2年間として、更新料の有無で居住費の支払い総額がどう変わるのかシミュレーションしてみます。

<更新料あり+家賃が70,000円の場合>
・家賃:70,000円
・更新料:家賃1ヶ月分
合計:24ヶ月×70,000円(家賃)+70,000円(更新料)=1,750,000円

<更新料なし+家賃が75,000円の場合>
・家賃:75,000円
・更新料:0円
合計:24ヶ月×75,000円(家賃)=1,800,000円

上記シミュレーションの場合、「更新料あり」のほうが50,000円安くなりました。実際に賃貸物件を探す際は、費用の総額も頭に入れて選びましょう。

なお、家賃相場は、同じエリア内にある似た条件の賃貸物件と比較することでチェックできます。契約前には更新料の有無+周辺の家賃相場も確認してみてください。

注意点②:礼金や敷金が高めに設定されている可能性もある

「更新料なし」の賃貸物件は、礼金や敷金が高めに設定されている可能性もあります。この点についても、家賃同様に総額や相場と比較して確認しなければなりません。

敷金・礼金の相場をそれぞれ家賃の1ヶ月分として、居住期間2年で総費用がいくらになるかシミュレーションしてみましょう。

<更新料あり+敷金・礼金はそれぞれ70,000円>
・家賃:70,000円
・敷金:家賃1ヶ月分
・礼金:家賃1ヶ月分
・更新料:家賃1ヶ月分
合計:24ヶ月×70,000円(家賃)+70,000円(更新料)+140,000円(敷金・礼金)=1,890,000円

<更新料なし+敷金・礼金が高額>
・家賃:70,000円
・敷金:家賃2ヶ月分
・礼金:家賃2ヶ月分
・更新料:0円
合計:24ヶ月×70,000円(家賃)+280,000円(敷金・礼金)=1,960,000円

賃貸物件やエリアにもよりますが、敷金・礼金の相場は家賃の1ヶ月分です。この相場を目安に、更新料がないぶん各費用が高額に設定されていないか確認してみましょう。

また、敷金は退去時に修繕費などを差し引いて基本的に返金されるため戻ってくる可能性もありますが、礼金は大家さんに支払う料金で返金されないため、注意しましょう。敷金・礼金について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

▼関連記事
敷金・礼金なし物件の知っておきたいデメリット!仕組みや探す方法もご紹介

注意点③:空室期間が長い物件だった

空室期間が長い賃貸物件の場合、入居者を集める目的で更新料を0円にしている可能性があります。入居者が決まらず空室だった理由としては、物件そのものに原因があることも考えられるのです。たとえば、以下のような理由が挙げられます。

<入居者が決まらない理由の例>
・駅から遠い
・設備が不十分
・周辺環境が悪い(車や電車の騒音など)

ただし、「更新料なし」だからといって必ずしも条件が悪いとは限りません。大家さんの厚意で更新料を不要にしている可能性もあるため、ほかの賃貸物件と条件や費用などを比較しながら、契約を検討しましょう。

賃貸物件の更新料でよくある質問

最後に、賃貸物件の更新料に関して、よくある質問+回答をご紹介します。更新料に対する疑問が解決しない場合は、以下のQ&Aをチェックしてみてください。

更新料の支払いをしなかったらどうなる?

更新料の支払いをしなかった場合、契約解除(強制退去)となる可能性があるので注意しなければなりません。契約解除となるかどうかは、入居時に交わした契約書の内容によって変わります。

更新料の支払いに関する明確な法律はありませんが、借地借家法第二十六条によると、入居者が更新料を支払わない場合は「法定更新(自動的に契約期間が更新される)」へ移行します。これにより、更新料を支払っていない状態でも入居者は住み続けることができます。

しかし、「法定更新へ移行しても更新料を支払う」といった旨が契約書に記載されていた場合、更新料を支払っていないと大家さん側の判断で契約を解除されてしまうかもしれません。契約は双方が合意のうえで結ぶものなので、契約前に内容をしっかりと確認し、更新料に関する具体的な記載があれば支払うようにしましょう。

更新料に消費税はかかる?

居住用として賃貸物件を借りた場合、更新料は非課税なので消費税も発生しません。そのため、契約書に記載された更新料の金額をそのまま支払います。一方、事業用として借りた賃貸物件の場合は課税対象となるので注意が必要です。

更新をせず退去する場合はいつまでに連絡すべき?

更新をせず退去する場合は、賃貸契約書や通知書に記載された期限までに更新しない旨を伝えましょう。更新時期が近づくと、更新するか否かの通知書が自宅へ届きます。この場合、通知書内に記載された期限までに退去の旨を伝えれば問題ありません。

念のため、事前に契約書の更新に関する項目へ目を通し、退去手続きはいつまでに済ませる必要があるのかを確認しておきましょう。

更新料も確認してから賃貸物件を契約しよう

賃貸物件における更新料は、家賃や共益費とは別に、大家さんへ支払う必要があります。契約書に更新料の支払い有無や具体的な額に関する記載があれば、原則として支払わなければなりません。

更新料の相場は家賃の1~2ヶ月分ですが、負担が大きいと感じる場合は更新料なしの賃貸物件も探してみましょう。ただし、更新料なしの賃貸物件にはいくつか注意点もあるので、事前に把握しておいてください。

<更新料なしの注意点>
・家賃が高い可能性がある
・礼金や敷金が高めに設定されている可能性もある
・空室の状態が長い物件の可能性がある

余計なトラブルを防ぐためにも、今回ご紹介したよくある質問と回答もチェックして、賃貸物件の更新料への理解を深めておきましょう。

ふどサーチ編集部