一人暮らしの電気代、平均いくら? すぐにできる節約術も説明!

一人暮らしの電気代、平均いくら? すぐにできる節約術も説明!

一人暮らしの場合、毎月の家賃やスマホ代などの固定費がかかります。そのなかでも、電気代の高さに悩んでいる人は多いのではないでしょうか。日々の生活に欠かせない電気は、生活費の大きな割合を占めるため、節約したい固定費のひとつといえます。

今回は、一人暮らしの電気代の平均額と、節約術についてお伝えしていきましょう。

一人暮らしの電気代の平均額

2020年の総務省の家計調査によると、単身世帯の1ヶ月あたりの平均電気代は5,791円でした。

2018年5,582円
2019年5,700円
2020年5,791円

同居する人数が増えると電気代も上がっていきますが、1人あたりの電気代は安くなります。つまり一人暮らしの場合は、1人あたりの電気代の負担がもっとも大きいといえるでしょう。

【豆知識】「電気代」と「光熱費(水道光熱費)」の違い

「電気代」は、電力を使用した分の料金です。対して「光熱費」は、電気・ガス・灯油など生活に必要なエネルギーを購入する費用のことを指します。そして光熱費に水道代を含めたものが、「水道光熱費」です。

電気代が高くなってしまう要素

電気代が高くなるのは、以下の3つの要素が関係しています。

1.季節によるもの
2.地域によるもの
3.生活スタイルによるもの

ひとつずつ解説していきましょう。

①季節によるもの:夏や冬は高い

電気代は、季節によっても異なります。2020年における、時期別の電気代の平均額は以下のとおりです。

1月〜3月6,535円
4月〜6月5,916円
7月〜9月5,330円
10月〜12月5,135円

一般的に、冷房を使う夏と暖房が必要な冬は、電気代が上昇する傾向です。なかでも特に冬は電気代が高くなります。2020年の家計調査では、春から秋は5,000円代に対し、1月〜3月の冬は6,000円代に上がっています。

冬に電気代が上がる理由のひとつは、外気温と室温の差です。たとえば、夏の外気温が35℃の場合、室温は25℃に下げれば快適な温度になるでしょう。一方で冬の外気温が1℃の場合、冬の快適な室温とされる22℃まで上げなければなりません。外気温と室温の差が夏は10℃に対して、冬は20℃以上もあるため、その分電力を消費します。

そのほかの理由として、冬にはホットカーペットやこたつなど、複数の暖房器具を使うことも挙げられます。また、夏と比べて日照時間が短いことから、洗濯物を乾かすために衣類乾燥機や浴室乾燥機を使用する機会が増えるのも理由のひとつです。

②地域によるもの:気温と電気代の差

電気代が高くなる2つ目の要素は、地域によるものです。2020年における、各地方の電気代の平均額を見てみましょう。

北海道地方10,382円
東北地方10,048円
関東地方8,533円
北陸地方10,324円
東海地方9,300円
近畿地方8,598円
中国地方9,548円
四国地方10,140円
九州地方8,412円
沖縄地方8,247円

夏は暑く冬は寒い盆地や、暖房器具を使う時間が長い地域は、電気代が高い傾向です。なお、電気代は地方によって料金設定が異なるので、地域によって差が出ます。

③生活スタイルによるもの:家にいる時間が長いほど高い

3つ目は、生活スタイルにより電気代が高くなることです。とくに自宅で仕事をしている在宅勤務者は、出社する人に比べて家にいる時間が長くなり、必然的に電気代が上がります。

さらに、コロナ禍によりテレワークが浸透したことから、電気代が増えました。2019年と比べて、2020年は約6割の世帯で電気代が上がっており、平均1,700円増額しています。

また、テレワークをしていなくても、自粛により自宅にいる機会が増えたことから、平均1,300円増加したという調査結果があります。

※出典:株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ「新型コロナ対策によるテレワークと電気代の関係性に関する調査」

電気代が決まる仕組み

毎月届く検針票には、自分が払っている電気代が記載されています。しかし、検針票の詳しい見方について知らない人も多いのではないでしょうか。一人暮らしの電気代がどのように決まるのかを説明していきます。

一般的に普及されている電気料金プランは、「従量電灯」です。「従量電灯」は、電気の使用量に応じて電気代が決まる方式で、多くの電力会社が採用しています。

以降では、電気代が決まる仕組みについて、詳しく説明していきましょう。

電気代の計算方法

東京電力を例に、電気代の計算方法をお伝えします。

■電気料金:基本料金+電力量料金+再エネ賦課金
■電力量料金:電力量料金単価×使用電力量±燃料費調整額

電気料金の内訳については以下の通りです。

・基本料金
使用していなくても必ず発生する一定の料金

・電力量料金
使用した電力量に応じた料金。「電力量料金単価」は、お使いの電力会社のHPから確認できる。「燃料費調整単価」とは、「燃料費調整制度」に基づき決められる燃料費のこと。原油価格の高騰は電力会社の経営に大きな影響を与えるため、燃料費の変動を電気料金に反映するために設けられた。

・再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度※」によって電力会社等が買取に要した費用を、消費者が負担

検針票のチェックポイント

毎月届く検針票は、主に以下の4つのポイントをチェックしましょう。

■ご契約種別・ご契約
契約の種類と大きさが記載されている
多くが「従量電灯B」などと書かれており、基本料金はアンペアの大きさで決まる

■ご使用量
検針期間内で使用した電力量

■請求予定額
請求予定料金が記載
基本料金・電力量料金・再エネ賦課金などの内訳が書かれている

■使用比較(増減率)
昨年と同じ月の使用量を比較

一人暮らしでもすぐできる!電気代節約術

今から一人暮らしをはじめる人や、電気代を少しでも抑えたい人のために、電気代節約術を紹介します。代表的な電気代の節約方法は、以下の5つです。

1.よく使う家電の使い方を見直す
2.待機電力を極力減らす
3.電気料金プラン(契約アンペア数)を見直す
4.電力自由化に伴う新電力会社への乗り換えを検討する
5.部屋の構造や家具レイアウトなどを見直す

ひとつずつ解説していきましょう。

よく使う家電の使い方を見直す

まずは、頻繁に利用する家電の使い方を見直します。よく使うからこそ、電気代を抑えるチャンスです。節約につなげる使い方を見ていきましょう。

・エアコン

夏と冬によく使うエアコンは、頻繁に電源をつけたり消したりしないようにします。電源を入れる瞬間がもっとも電力を消費するため、30分以内の外出であればつけっぱなしのほうが節約されます。

運転モードは自動運転がおすすめです。温度を上げ下げする消費電力が抑えられます。設定温度は、冷房は28℃、暖房は20℃にしましょう。なお、扇風機やサーキュレーターを使って空気の循環をさせると、空気がたまらずに温度のムラがなくなります。

フィルターの掃除は定期的に行い、室外機の周りには物を置かないようにしましょう。とくに冷房を使用しているときは、室外機から熱い風が出ています。室外機の周りを物でふさいでしまっていると熱が排出されず、運転効率が悪くなるので、電気代が上がってしまいます。

・冷蔵庫

冷蔵庫は、中身を詰めすぎたり食品を温かいまま入れたりするのを避けましょう。冷却効率が悪くなり、冷やそうとする力が大きくなることで、電気代が高くなるからです。

中身は全体の7割程度にし、しっかり冷ましてから入れるようにします。また、頻繁に開け閉めしないのもポイントです。必要なものだけをすぐに取り出すようにしましょう。

・洗濯機

洗濯物は細かく分けずに、まとめて回すと電気代が抑えられます。ただし反対に詰めすぎると、回転をさせるために多くの電力を使ってしまうため、注意が必要です。

・照明器具

蛍光灯の場合、一番電気を使うのは点灯時です。数分の間につけたり消したりするのは電気代を消費するため、短時間であればつけっぱなしにした方が節約になります。

また、LED電球に変えるのもおすすめです。導入にコストはかかりますが、蛍光灯よりも寿命が長く、電気代も抑えられます。

・トイレ

近年は、一人暮らしの賃貸物件のトイレにも温水洗浄便座についていることが多くあります。夏は暖房を切り、比較的暖かい時期は便座の温度を下げましょう。

また、洗浄水の温度を下げることでも電力量を抑えられます。旅行や帰省などで長期間外出をする際は、電源を切りましょう。

・テレビ

テレビを見ていないときは、こまめに電源を消すのがおすすめです。また、つけっぱなしを防止するために、省エネモードを活用しましょう。

近年販売されているテレビの機能では、自動で画面の明るさを調整したり、一定時間操作がないと自動で電源をオフにしてくれたりします。最新機能を積極的に活用して、電気代を抑えましょう。

・PCや周辺機器

テレワークにより自宅でパソコン作業をする人も多くなったので、パソコン周りの使い方も気をつけたいところです。

パソコンは、シャットダウンとスリープモードを使い分けましょう。シャットダウンは完全に電源を切るため待機電力はありませんが、起動するときにもっとも電力を使用します。スリープモードは、低消費の状態で待機をするモードです。

マイクロソフト社によると、90分以上使用しないときはシャットダウン、少しの外出や休憩などの90分以内であれば、スリープモードにすることを推奨しています。

また、パソコンのディスプレイの明るさを調整することでも、電気代は抑えられます。ディスプレイの明るさを100%から40%にするだけで、約23%の節電が可能です。ディスプレイ単体では約38%が節電されるので、大きな節約になるでしょう。

パソコンによっては、省電力モードやバッテリーセーブ機能がついている場合があります。節約のためにも積極的に活用しましょう。

待機電力を極力減らす

待機電力は、電源の切れている状態でも消費する電力のことです。テレビの場合、リモコンのオンオフができるのは待機電力があるからです。

待機電力を節約するには、プラグを抜く方法があります。しかし、家電によってはプラグを抜くことで時計やタイマーなどの設定がリセットされたり、データへ影響を与えたりする恐れがあるので注意しましょう。

エアコンを使う機会が少ない時期は、コンセントからプラグを抜くと待機電力がなくなり、節約になります。ただし、プラグを頻繁に抜くと故障の原因にもなるため、あくまで使わない時期だけ抜いておくのがおすすめです。

電気料金プラン(契約アンペア数)を見直す

次に、今契約しているアンペア数を確認してみましょう。

「アンペア(A)」とは、一度に使える電気量のことで、数字が大きくなるほど使える量が増えます。一般的に一人暮らしの場合は20A〜30Aで契約することが多いですが、10Aや15Aでの契約も可能です。

もし、一人暮らしで40A〜60Aを契約している場合は、契約アンペア数を見直したほうがいいかもしれません。

電力自由化に伴う新電力会社への乗り換えを検討する

電力自由化に伴い、新電力会社が続々と増えています。現在利用している電気代よりも安いプランへ乗り換えることで、電気代を節約できるでしょう。

一例として、東京電力と新電力会社の「Looopでんき」の電気料金を比べてみました。

東京電力【従量電灯B】2Looopでんき【おうちプラン】
10A286.00円0円
15A429.00円
20A572.00円
30A858.00円
40A1,144.00円
50A1,430.00円
60A1716.00円
1KWhあたりの値段
最初の120kWh19.88円26.40円
120-300kWh26.48円
300kWh超過30.57円

Looopでんきの特徴は、基本料金がかからないことです。使用した電力量だけを支払う従量料金体系で、家庭向けのプランは「おうちプラン」の1種類のみを提供しています。

東京電力で40Aの従量電灯Bを利用していた場合、月の料金が約15,021円に対し、Looopでんきは約13,728円です。年間約16,000円お得になる計算です。

現在利用している電力会社の料金プランを比較し、安くなる可能性があれば乗り換えを検討しましょう。

電力自由化とは

今までは、各地域の電力会社だけが電気を販売していたため、自分で電力会社を選べませんでした。2016年4月1日以降に「電力の小売全面自由化」がはじまり、スマホのように電力会社や料金プランを選べるようになりました。これが、電力自由化です。

そのため、使用する電気量やセット割など、自分に合った料金プランのある電力会社を自由に選択できます。

冷暖房効率の良い部屋の構造・レイアウトを知る

賃貸物件選びの段階であれば、電気代の多くを占めるエアコン代を節約するために、、部屋の構造で選ぶのも方法のひとつです。

冷暖房効率の良さを重視する場合、木造よりも鉄筋コンクリート(RC造)の物件をおすすめします。一般的に、鉄筋コンクリート(RC造)は、木造よりも気密性が高く、外気が入りにくいため、冷暖房効率が良くなるのです。

ただ、断熱材が足りていなかったり、入っていなかったりすると、鉄筋コンクリート(RC造)でも冬は寒さを感じやすくなります。

また、遮熱や断熱に優れた複層ガラス付きの物件を選ぶのもおすすめです。複層ガラスを使っていれば、冷暖房効率がよくなり、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるうえに、節電にもつながります。

また、エアコンの位置にも気をつけましょう。特徴的な部屋の形だと、冷暖房の風が全体に行きわたりにくくなってしまいます。風が行きわたりにくいと、温度の上げ下げが頻繁に行われ、電気代が上がります。

ただ、現状引越しを予定していないのであれば、部屋の構造自体を見直すのは難しいでしょう。そのような場合、部屋のレイアウトを変えるだけでも、節約につなげることが可能です。夏であれば、部屋の風通しを遮らないように家具の配置を変更することで、風が通りやすくなり涼しくなります。室外に「よしず」を立てかけたり、断熱カーテンに変えたりして、室内に熱を取り込まない方法もおすすめです。冬は窓に断熱シートを貼ると、外気を通しにくくなります。

電気代を見直して光熱費を節約しよう

一人暮らしにかかる電気代は、約5,000円代と決して安くはありません。一人暮らしは家賃や食費、通信費などを支払う必要があるので、節約できる部分は節約したいものです。

電気代は、使っていない家電の電源を切るなど、日頃の使い方を見直せば節約できます。また、思い切って契約内容や電力会社を変えることも、ひとつの方法です。

電力自由化により、選択肢が多様となった今であれば、決められていたプランや電力会社を変えられます。電気代を節約して、一人暮らしにかかる費用を抑えましょう。

ふどサーチ編集部