賃貸の初期費用はクレジットカード払いできる?費用を抑える3つの方法も解説

クレジットカードを受け取る不動産会社の社員

賃貸物件を探すときには家賃の予算を決めておくのが一般的ですが、家賃自体は予算内であっても初期費用を払うのが厳しいという方も多いのではないでしょうか。賃貸契約にかかる初期費用は、家賃の約4~5倍が相場となっており、家賃によっては大きな費用がかかってしまいます。

今回は、初期費用を支払う際にクレジットカードを使うメリットや注意点、初期費用の抑え方などについて紹介するので、お悩みの方は参考にしてみてください。

賃貸の初期費用とは

賃貸の初期費用とは、賃貸物件を借りるときに発生する費用のことです。賃貸物件では毎月家賃や管理費などを払いますが、入居が決まった際には家賃などのほかに「初期費用」を払わなければなりません。初期費用の金額や内訳は物件ごとに異なりますが、ここでは基本的な初期費用の内訳を紹介します。

【初期費用の内訳】

敷金目安は家賃1ヶ月分。
退去する際に、原状回復費用にあてられる。
原状回復にかかった金額が敷金より少なかった場合は基本的に返還される。
礼金目安は家賃1ヶ月分。
大家さんに部屋を借りるお礼として支払うもので、退去時にも返還されない。
仲介手数料目安は家賃0.5~1ヶ月分。
物件を扱っている不動産会社に仲介の報酬として支払う。
前家賃目安は家賃1~2ヶ月分。
入居する月+翌月分の家賃の前払いで、月途中で入居する場合は日割りになることがある。
火災保険目安は5,000~15,000円。
賃貸物件では損害保険に加入することが必須となっており、加入後は加入証明を提示する必要がある。

このほか、任意で鍵交換費用や消毒費用、家賃保証をしてくれる保証会社に払う保証料などが発生することもあります。なお、最近は入居率を上げるために礼金なしの物件も増えていますが、基本的にこれだけの初期費用が必要になることは覚えておきましょう。

賃貸の初期費用はクレジットカードで支払い可能?

賃貸物件の初期費用は高額になるため、現金が用意できないということもあるかもしれません。現金がないとき、もしくは現金での支払いを避けたいときに役立ってくれるのがクレジットカードです。では、賃貸の初期費用はクレジットカードで支払い可能なのかを見ていきましょう。

不動産管理会社・物件によっては可能

初期費用の支払先は大家さんや不動産会社、保険会社など多岐にわたりますが、いずれの場合にも不動産管理会社が窓口となり、一括で払うのが一般的です。そのため、不動産管理会社や物件を扱っている会社がクレジットカード払いに対応していれば、初期費用もクレジットカードでの支払いが可能となります。しかし、個人で火災保険などを契約した場合の保険料は、不動産管理会社ではなく保険会社に直接支払うことになるため注意してください。

分割払いやリボ払いも選択できる

利用しているクレジットカード会社によっては、一括決済をしたあとでも、分割払いやリボ払いに変更できるサービスを提供しています。決済をした月の利用金額が高額になった場合、クレジットカード会社から分割やリボへの変更可能のお知らせが来ることもありますし、自分から申請をして変更することも可能です。

家賃をクレジットカードで支払える物件もある

物件によっては、家賃もクレジットカードで支払うことができます。家賃の支払い方法には指定口座への振り込みや自動引落しなどがありますが、振り込みには手間がかかる、自動引落しの銀行口座を作らなければならないケースもあるなど、支払い方法のせいで入居率が下がることもあります。そのため、空室対策の1つとして家賃のクレジットカード払いOKとしている物件が増えているのです。

家賃もクレジットカードで支払いたい場合は、対応しているかどうかしっかりと確認するようにしましょう。

賃貸の初期費用をクレジットカードで支払うメリット

賃貸の初期費用をクレジットカードで支払うメリットは2つあります。現金で払う余裕があれば、カードを使う必要はないと思うかもしれません。しかし、カードを使うことによってポイント還元が受けられたり、まとまった額の現金がなくても引越しできたりするというメリットがあるのです。

ここからは、それぞれのメリットについて解説していきます。

①クレジットカードのポイント還元を受けられる

クレジットカードを使うメリットの1つは、ポイント還元を受けられることです。初期費用は通常の買い物ではありませんが、ポイントは使った金額に対して付与されるため、初期費用の支払いにカードを使えばポイントを貯めることができるのです。賃貸契約にかかる初期費用は通常の買い物と比較して高額なことも多いため、そのぶん大量のポイントがもらえます。

ポイントの還元率は1%が相場ですが、還元率が高めのカード会社なら3~5%のポイント還元がされる場合もあります。また、カード会社によっては使用金額に応じて会員ランクが設けられており、会員ランクがアップすると還元率も高まるため、よりポイントが貯めやすくなるというメリットもあるのです。

②まとまった現金がなくても引越しできる

クレジットカードを使えば、まとまった現金がなくても引越すことができます。現金で支払う場合は分割できませんが、カードを使えば分割で支払えるので、手元に初期費用分の現金がなくても引越せるのです。たとえば、仕事や家庭などの事情で急に引越さなければならないという方に重宝されています。

賃貸の初期費用をクレジットカードで支払う注意点

賃貸の初期費用をクレジットカードで支払う場合、6つの注意点があります。カード払いのメリットは魅力的ですが、金利手数料が上乗せされたり、利用限度額が圧迫されたりすることで、予算をオーバーしたりカードが使えなくなったりする可能性もあるのです。カード払いは便利な反面、使い方に気をつけなければならないので、事前に注意点をチェックしておきましょう。

①指定のクレジットカード会社しか利用できない可能性がある

業者によって異なりますが、指定のクレジットカード会社しか利用できない可能性があります。いくらカード払いに対応している物件であっても、手持ちのクレジットカードが使えなければ支払いはできません。「いざ契約」となったときにクレジットカードが使えないと困るので、カード払いができるかということだけでなく、どこのカード会社のものが使えるのかも確認しておきましょう。

ただし、手持ちのクレジットカードが使えない場合、指定されている会社のカードを作るという方法があります。家賃もカード払いができる場合、光熱費や水道代なども一緒にカードで支払うことで住居関連費用を管理しやすくなるので、新しくカードを作るという選択肢も検討しておくようにしましょう。

②クレジットカードの利用限度額を確認しておく必要がある

初期費用というのはまとまった金額になるのが一般的なので、クレジットカードの利用限度額をあらかじめ確認しておくことが必要です。クレジットカードには利用限度額が設定されており、1ヶ月で使える金額が決まっています。そのため、初期費用の支払いと同じ月に大型家電を購入したり、旅行に行ったりしている場合は利用限度額を超えてしまう可能性があります。

また、初期費用はカード払いができたとしても、限度額に余裕がないと、引越しで家電や家具が必要になった際にクレジットカードが使えないこともあるので注意してください。

③決済手数料が上乗せされる可能性がある

クレジットカードで支払った場合、決済手数料が上乗せされる可能性があります。本来であれば、決済手数料というのは加盟店が負担するものなので、初期費用の支払いの場合には不動産管理会社など決済する会社が支払わなければなりません。しかし、初期費用の決済手数料は高額になるため、不動産会社によっては「システム手数料」や「事務手数料」の名目で初期費用に上乗せすることがあるのです。

もちろんこういった不動産管理会社は少数ですが、明細をしっかりと見て、もし初期費用の名目におかしな点があったり手数料が高額だったりする場合は、どういった趣旨の費用なのかを事前に確認しておきましょう。

④分割払いやリボ払いの場合、金利手数料が発生するケースがある

分割払いやリボ払いの場合、金利手数料が発生するケースがあるので注意してください。

金利手数料が発生しない決済方法・一括払い
・2回払い
・ボーナス一括払い
金利手数料が発生する決済方法・(3回以上の)分割払い
・リボ(リボルビング)払い

この表からわかるように、3回以上の分割払い、もしくはリボ払いを選択してしまうと金利手数料が発生します。手元に現金を残せるという点では分割やリボ払いにするのはベストな選択といえますが、金利手数料の分だけ支払い金額が増えてしまうので注意してください。

⑤引き落とし日までに口座に入金しておく必要がある

当然ですが、口座には引き落とし日までに入金をしておく必要があります。入金が確認できなかった場合、たとえ次の日に慌てて入金をしても「滞納」となってしまうため、カードの信用情報にキズがつきます。信用情報にキズがつくと、新規のクレジットカードを作れなかったり利用限度額が上がらなくなったりするなど、カードの使い勝手が悪くなるおそれがあるため、口座への入金は忘れないよう十分に注意しましょう

⑥キャンセルまでに手間がかかる

初期費用をクレジットカードで払った場合、あとから支払方法を変更したくなってもキャンセルまでに手間がかかることを覚えておきましょう。カード払いをキャンセルした際は、不動産管理会社が返金処理の手続きをおこないます。その月のカード利用額が決定していないタイミング、もしくは決済後すぐにのキャンセルであればそれほど手間はかかりませんが、支払い処理が完了している場合、一度引落しをされてからの返金となるので手間がかかります。

返金も、引落し後すぐにされるのではなく、翌月に払い戻される形になるので、急な出費がないようにお金の使い道を考えておくことが大事です。

賃貸の初期費用そのものを抑える3つの方法

初期費用の支払いは、不動産会社・物件によってクレジットカードや分割払いで対応してもらえることもあるので、まとまった現金がなくても引越しはできます。しかし、カード払いに対応している物件に絞ると条件の範囲が狭まり物件数も限られるため、お部屋を探す段階では初期費用を現金で払える物件も一緒に探すようにしてみてください。ここからは、賃貸の初期費用そのものを抑える3つの方法を紹介していきます。

①敷金・礼金なしの物件を選ぶ

初期費用を抑えるには、敷金・礼金なしの物件を選ぶという方法がおすすめです。敷金・礼金はそれぞれ家賃1か月分が目安となっており、初期費用のなかでもウエイトが大きいので、この2つがなくなると大幅に費用を削減できます。両方なしという物件が見つからない場合は、敷金か礼金のどちらかがないという物件を探してみてください。

ただし、敷金は退去時に原状回復費用にあてられるものです。そのため敷金なしの物件を選んでしまうと、退去時にクリーニング費用やクロス・床の張替え費用などを請求される可能性があります。退去するときにまとまったお金が必要になるリスクがあるので、その点を踏まえて検討してみてください。

②仲介手数料の低い不動産管理会社を選ぶ

仲介手数料の安い不動産管理会社を選ぶというのも費用を下げる方法です。仲介手数料は、上限が家賃1ヶ月分と法律で決まっていますが、下限は決まっていません。そのため、不動産管理会社によっては0.5ヶ月分と設定していることもあります。

たとえば家賃10万円の物件で、仲介手数料が0.5ヶ月分の会社であれば5万円となり、1ヶ月分で10万円かかってしまう会社と比べると5万円の差が出てきます。これだけの差が出るのですから、物件探しを依頼する不動産管理会社を選ぶときは仲介手数料もチェックが必要です。

③フリーレント物件を選ぶ

フリーレントというのは、一定期間家賃が無料になる物件のことです。こういった物件であれば家賃分の費用を抑えられるので、結果的に初期費用を抑えることができます。フリーレント期間は物件によって違いがありますが、平均1~3ヶ月、空室期間が長い物件だと6ヶ月というところも少なくありません。

ただし、共益費・管理費が家賃に含まれていない物件の場合、フリーレント期間中も共益費・管理費は支払う必要があるため注意しましょう。

クレジットカード払いの特徴を知って、賃貸の初期費用を賢く払おう

クレジットカード払いにはメリットがあるものの、注意点もあるため、特徴を十分に把握しておくことが重要です。注意点で引っかかることがあれば現金払い、メリットの方が大きい場合はカード払いというように、自分にとってベストな方法を考えて、賢く賃貸の初期費用を支払いましょう。賃貸の初期費用は物件によって幅がありますが、いずれにしても支払う金額としては高額なので、支払い方法の選択を間違えないようにしてくださいね。

ふどサーチ編集部