最近の木造アパートの防音性は?内見で確認すべきポイントや対策方法など

木造の賃貸住宅が建てられている様子

木造アパートは防音性が低いという特徴があり、部屋探しの際は希望条件から外している方も多いかもしれません。築年数が経っている昔の木造アパートは生活音が気になるケースもありますが、最近の木造アパートではどうなのでしょうか。

そこで今回は、木造アパートの防音性について詳しく解説します。また、内見の際に確認すべきポイントやすぐに実践できる防音対策方法も紹介していきますので、木造アパートの賃貸物件を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

木造アパートについておさらい

木造アパートとは、骨組みや壁など建物の主要部分に木材を使って建築されたアパートのことです。一般的には、木材建てかつ2階建て以下の集合住宅を「木造アパート」と呼びます。

また、賃貸物件の建築構造には、木造以外にも3種類の建築構造があります。以下の表で、それぞれの違いについて確認してみましょう。

建築構造の種類特徴
鉄骨造(S造)・鉄骨を用いた建築構造
・重厚鉄骨造と軽量鉄骨造の2種類があり、軽量鉄骨造の防音性は木造よりやや高い
鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄筋とコンクリートを用いた建築構造
・木造よりも防音性や耐震性に優れている
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)・鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた建築構造
・防音性や耐震性、耐火性がもっとも優れている

防音性は木造(W造)→鉄骨造(S造)→鉄筋コンクリート造(RC造)→鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の順で高くなります。
防音性のほか、耐震性や耐火性などの性能も同様の順番で高くなりますが、性能が高い構造ほど建築費用もかかるため、木造と鉄骨鉄筋コンクリートでは家賃の面でも差が生じます。

次に、木造アパートのメリットと注意点について見ていきましょう。

メリット注意点
・家賃が抑えられる
・通気性が高く調湿性がある
・デッドスペースが少ない
・音が響きやすい
・冷暖房の効率が悪い

木造アパートは、他の建築構造よりも建築費用が安いため、家賃を抑えられる点がメリットです。エレベーターが設置されていないことも多く、その場合はメンテナンス費用がかからないため、管理費・共益費も安めな傾向にあります。

また、木造アパートは通気性や吸湿性に優れているため、熱がこもりにくく湿気が溜まりにくい点も特徴です。じめじめした季節でも過ごしやすく、カビやダニが発生しづらい環境でもあります。

さらに、木造アパートは部屋に梁がないため、デッドスペースが少ない点も見逃せません。部屋が広く感じられるうえにレイアウトもしやすいため、インテリアにこだわりたい人におすすめです。

一方で、木造アパートは音が響きやすい点に注意が必要です。次項から詳しく説明しますが、木造建築は他の建築構造よりも防音性が低くなります。近隣からの生活音で困ったり、反対に自分の生活音がトラブルに発展したりする可能性があることを忘れてはなりません。

また、木造アパートは気密性が低いため、冷暖房の効率が悪くなります。エアコンが効きにくいため、電気代が高くなりやすい点も注意が必要です。

木造アパートの防音性はどのくらい?

木造アパートの防音性は、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)と比べてやや低いとされています。気密性が低いため音や振動が伝わりやすく、隣室から話し声が聞こえてくることもめずらしくありません。

反対に、自分の生活音が原因でトラブルを招く可能性もあります。近隣住民と生活パターンが真逆の場合、就寝時間が異なり、より騒音トラブルが起こりやすい環境といえるでしょう。木造アパートの中でも築年数が古い木造アパートであると、とくに防音性が低い傾向にあります。

木造アパート以外の構造の防音性

一方で、木造以外の防音性はどうなのか、他の建築構造についても確認しておきましょう。

■鉄骨造(S造)
先述のとおり、鉄骨造には「重厚鉄骨造」と「軽量鉄骨造」の2種類があります。この2つは素材の厚さが違い、軽量鉄骨造の場合は木造よりやや防音性が高い程度です。

■鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は、鉄の骨組みにコンクリートを流し込んでおり密度が高いため、木造よりも防音性に優れています。このような特徴から、話し声などの生活音が響くことはほとんどありません。

上記のように、防音性についてはどうしても他の構造に軍配が上がってしまうため、木造アパートで防音性を求める方は、築年数が浅いかどうかをチェックするようにしてください。

木造アパートで暮らす際に実践したい防音対策

気に入った物件が木造だった方や、すでに木造アパートで暮らしているけどやはり防音性が気になるという方は、防音対策をしてみましょう。ここからは、木造アパートにおすすめの防音対策を紹介していきます。

1.家具の配置場所を工夫する
2.音が出る家電は壁から離して設置する
3.床にカーペットやラグを敷く
4.遮音性能の高いカーテンを利用する
5.隙間テープや遮音フィルムを活用する

すぐに実践できる対策もあるので、参考にしてみてください。

防音対策①:家具の配置場所を工夫する

話し声やテレビの音は空気音と呼ばれており、空気を伝い、壁などを通じて聞こえてきます。
空気音は間に障害物があると小さくなる性質があるため、自室と隣室との壁の間に、背の高い本棚や収納棚を置くだけで防音効果が期待できます。さらに、棚には厚い本や厚手の衣類を詰めておくと、より効果的に防音ができます。

防音対策②:音が出る家電は壁から離して設置する

2つ目の対策方法は、テレビやパソコンなど、音が出る家電を壁から離すことです。
最初の防音対策でお伝えしたように、空気音は壁を通じて聞こえてしまうため、音が出る家電を壁から離すだけでも効果があります。

防音対策③:床にカーペットやラグを敷く

先ほど解説した空気音に対し、足音や椅子を引いたときの音は固体音と呼ばれています。
固体音とは、床や壁に衝撃が与えられたときに発生する音で、遠くまで響く性質があるのが特徴です。

ほとんどの固体音は、床にカーペットやラグを敷くことで軽減できます。また、防音機能が強化された防音カーペットや防音マットなども販売されているので、対策のひとつとして取り入れてみましょう。

防音対策④:遮音性能の高いカーテンを利用する

4つ目は、遮音性能のあるカーテンを使う防音対策です。
防音や遮音カーテンは、特殊な織り方や素材によって遮音や吸音をします。遮音性能が高いカーテンは、振動音などの固体音よりも話し声などの空気音に効果的です。

防音対策⑤:隙間テープや遮音フィルムを活用する

5つ目は、窓やサッシに隙間テープや遮音フィルムを貼って防音対策する方法です。
隙間テープは、窓やサッシの隙間を塞いで、外から入ってくる騒音や外に漏れる音を防ぎます。ゴムやウレタン素材、サイズや厚さも多様なので、貼りたい場所に合う素材や厚さを確認してから購入することがおすすめです。

また、窓に取り付ける遮音フィルムも便利な防音グッズのひとつです。採光を取り入れながら防音できる商品もあるので、自室に合いそうなものがあれば活用してみましょう。

木造アパートの内見でやっておくべきこと

希望の木造アパートを内見するときに行っておくべきことは以下のとおりです。

1.壁を軽く叩く
2.部屋の中心で手を叩く
3.共用廊下や階段を歩く
4.隣の建物や部屋の間隔を確認する
5.注意喚起の張り紙の有無を確認する

上記5つについて、詳しく見ていきましょう。

内見でやっておくべきこと①:壁を軽く叩く

まずは、部屋の壁を軽く叩いてみてください。叩いてみて音が軽かったり響いたりする感覚がある場合は、音漏れしやすい可能性があります。
反対に鈍い音がしたら、ある程度防音性が高いと考えてよいでしょう。木造アパートの内見前に、鉄筋コンクリート造など木造以外の壁を叩いて音を聞いておくと、違いがわかりやすくなります。

内見でやっておくべきこと②:部屋の中心で手を叩く

部屋の中心で手を叩き、音が反響している感覚があれば防音性の高さが期待できます。部屋の中で音が返ってこない場合は、防音性が低く、音が外に漏れている可能性が高いです。
また、音漏れがひどい物件であると周囲の音も入りやすくなるため、できるだけ音の返りがよい部屋を選ぶようにしましょう。

内見でやっておくべきこと③:共用廊下や階段を歩く

同行者や不動産会社の人に共用廊下や階段を歩いてもらい、音が響くかを部屋の中から確認してみてください。足音やドアの音が気にならないようであれば問題ありません。
しかし、気になるほど音の響きや振動がある場合、就寝中に音で目覚めてしまう可能性もあるため注意が必要です。

内見でやっておくべきこと④:隣の建物や部屋の間隔を確認する

隣の建物や隣室との間隔も確認すべきポイントです。同じ賃貸物件内の別室から生じる騒音であれば、大家さんや管理会社に相談できますが、隣の建物から響いてくる音の場合、対処がむずかしくなります。隣の建物と距離が近すぎないか、内見のときに確認しましょう。

また、隣室と生活スペースが隣り合っていないかをチェックしてください。壁を挟んで生活スペースが隣り合っていると、お互いの生活音が聞こえやすくなります。間に収納スペースなどがあれば生活音が響きにくくなるため、隣室の構造についても担当者の方に聞いたり平面図を見せてもらったりしましょう。

内見でやっておくべきこと⑤:注意喚起の張り紙の有無を確認する

騒音に関する注意喚起の張り紙があれば、過去に騒音トラブルが起きていた賃貸物件の可能性があります。張り紙があった場合は、以前に騒音トラブルがあったかどうか不動産会社に確認してみましょう。見落としがちなポイントですが、これだけでも騒音問題が起こる可能性を確認できるので、物件の周辺にある張り紙の内容をチェックしてみてください。

また、張り紙がない場合でも騒音に関する苦情が届いている可能性はあります。住民のモラルにもよりますが、これから問題が発生することも考えられるため、騒音トラブルの有無について不動産会社に聞き、調べてもらえるよう依頼するのもひとつの方法です。

木造アパートを選ぶときに確認すべきポイント

木造アパートを選ぶときに確認すべきポイントは以下の3つです。

1.部屋の位置
2.建築年月が2000年以降の物件
3.立地が閑静なエリア

それぞれの特徴を押さえれば、防音性に不安がある木造アパートでも快適に過ごしやすくなります。

ポイント①:部屋の位置

なるべく他の部屋と面していない位置にある部屋を選ぶことで、生活音を軽減することができます。
たとえば、最上階かつ角部屋の部屋であれば、隣室と下の階にある部屋にしか接しません。そのため、両隣や上階に部屋があるよりも音の影響を受けにくくなるのです。

一方で、防音性を気にして部屋を選ぶことは重要ですが、自分が最上階の部屋の場合、下の階への配慮が必要になることを忘れてはなりません。近隣からの騒音対策も大切ですが、自分が出す生活音がクレームを受けてしまう可能性もあるので、十分に注意しながら過ごしましょう。

ポイント②:建築年月が2000年以降の物件

木造アパートで防音性を求める場合、2000年以降に建てられた物件がおすすめです。
2000年に建築法の改正があり、耐震基準や接合方法の見直しが行われたため、2000年以降に建てられた木造アパートは耐震性や防音性が向上しています。

また、築年数が浅い木造アパートは、遮音性のある素材を使用していることも少なくありません。物件によって差異はありますが、2000年以降、あるいは築年数が浅い木造アパートを選ぶのがベターです。

ポイント③:立地が閑静なエリア

隣人からの騒音だけでなく、周辺環境もチェックすることが重要です。
たとえば、近所に深夜営業をしている飲食店やスーパーが建っているなど、周辺環境から発生する騒音で悩むこともありえるでしょう。また、近くに工場がある場合も注意が必要です。

閑静なエリアにある木造アパートであれば、外からの音は気になりにくいといえます。内見の際は、日中や夜間など時間帯を変えて周辺環境を確認しておきましょう。

メリットと注意点をふまえて木造アパートも選択肢のひとつに

木造アパートの注意点として、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造と比べて防音性が低い点が挙げられます。しかし、木造は比較的家賃が安めだったりデッドスペースが少なかったりなどのメリットもあり、最近の木造アパートは遮音性が高い物件も多いため、「木造だから」という理由だけで敬遠するのはもったいないことかもしれません。

とくに2000年以降の木造アパートであれば、耐震性や遮音性もありながら家賃も安めな可能性が高く、希望の条件に当てはまる部屋が見つかるかもしれません。木造アパートのメリットや注意点、快適に暮らすためのポイントなどをふまえ、部屋探しの選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

ふどサーチ編集部