家賃の二重払いとは?引越し費用をお得に抑えるコツを7つ紹介します

電卓と複数枚のお札

敷金・礼金などの初期費用など、何かと費用がかかる引越しに気をつけたいのが家賃の二重払いです。
前住んでいた賃貸物件を良いタイミングで解約できないと、旧居と新居の契約期間が重なり、家賃が二重に発生して余計な費用を払わなければいけません。
今回は家賃の二重払いを防ぐ方法について解説していきますので、引越し費用をできるだけ抑えたいと考えている方はぜひ参考にしてください。

家賃の二重払いとは?

引越し前に住んでいた賃貸物件の家賃と新しい賃貸物件の家賃の両方が発生してしまい、それらを同時に支払うことを家賃の二重払いと呼びます。家賃の二重払いは、前の賃貸物件の退居日と新しい賃貸物件の入居日のタイミングが合わないことで起こってしまいます。

たとえば、新居の入居日が1月10日で、その日に旧居の賃貸物件の解約予告をしたケースを見ていきましょう。解約予告から契約解除までの期間は契約によって異なりますが、基本的には解約予告の1ヶ月後であることが多いです。その場合、2月10日までの旧居の家賃を支払わなければいけません。
しかし、新しく住む賃貸物件の家賃は1月10日から発生することになり、1月10日から2月10日の1ヶ月間は新居分と旧居分、家賃を二重に払う必要が出てくるのです。

家賃の二重払いが発生する理由

一般的に、賃貸物件は解約予告から1ヶ月以上経たないと退居できません。中には実際に退居する2〜3ヶ月の前に解約予告を行う必要があるケースも多く、そうなると退居日と解約予告日にはタイムラグが生じます。

一方、入居日には定められている期間はありません。たとえ他の物件の賃貸契約が継続された状態でも新しい賃貸物件の賃貸契約を結ぶことは可能であり、このケースでも二重家賃が発生してしまいます。

家賃の二重払いを抑える7つの方法

家賃の二重払いは、退居日や入居日を調整することで抑えることが可能です。ここからは、二重家賃を抑える7つの方法を解説していきます。

解約予告の後に入居日を決める

解約予告日から実際の退居までは最短で1ヶ月の期間が必要なため、最低でも1ヶ月の期間を空けた上で入居日を設定しましょう。物件によっては解約予告期間が1ヶ月以上の場合もあるため、前もって契約書などで解約予告期間を確認しておくことが重要です。

解約予告期間が2ヶ月の物件の場合、1月10日に解約予告をすれば、3月10日以降に入居できる賃貸物件では二重家賃が発生しません。新しい賃貸物件を探す前に、まずは今住んでいる物件の解約予告期間を確認し、余裕をもって解約予告を行い、やっかいなタイムラグを防ぎましょう。

入居可能日まで期間がある賃貸物件を選ぶ

たとえば、空室でクリーニングなども済んでいる賃貸物件の場合、契約日と入居可能日が同じ日になるのが一般的です。しかし、以下のようなケースではすぐに入居することは叶いません。

・リフォームが必要な賃貸物件
・入居中の賃貸物件

入居可能日は賃貸物件ごとに異なるため、事前にチェックが必要です。できるだけ入居可能日が解約予告よりもあとの物件を選ぶようにしましょう。

しかし、上記に挙げた入居可能日まで期間のある賃貸物件では内見ができない可能性もあります。そのような場合、同じマンションで別の空いている部屋などを代わりに見せてもらえるかどうか、不動産会社の方に聞いてみましょう。日当たりなどが気になる際には、実際に入居したい部屋に近い階数・向きの部屋を見せてもらうようにしてください。

新居の家賃の支払い開始日を遅くしてもらえるよう交渉する

賃貸物件の家賃発生日は、交渉次第で調整できる可能性もあります。特に不動産会社の閑散期である6〜8月は交渉しやすい時期だと言われているため、二重家賃が発生してしまう場合はその旨を伝えて一度交渉してみてください。

交渉が成立するかどうかは、不動産会社・管理会社・大家さんなどによって大きく異なります。交渉がうまくいかなければ二重家賃が発生するので注意が必要です。

日割り家賃の賃貸物件を探す

日割り家賃とは、1ヶ月分の家賃を1日ごとに割って出す家賃のことです。実際に住んだ日数の分のみ家賃を支払うため、月の途中で退去するときも余計に支払う心配がありません。

契約を結んでいた賃貸物件が月割り家賃の場合、不動産の契約終了日が2月10日であっても2月28日まで家賃を支払う必要があります。しかし、契約終了月に日割り家賃対応可能であれば、2月10日以降の家賃は支払う必要がなく、その分の費用を抑えられるのです。ただしこの場合も、解約予告から契約解除までは物件ごとに一定期間が必要なため、注意が必要です。

月割り家賃か日割り家賃かは、契約時にチェックする契約書に記載されています。契約終了月だけ日割り家賃になる賃貸物件もあるため、自分が住んでいる物件はどうなのか解約前に契約書をよく読んでおきましょう。

短期賃貸マンションを活用する

短期賃貸マンションとは、賃貸物件を数日・数週間単位で借りられるサービスのことです。多くの短期賃貸マンションでは敷金・礼金などの初期費用が発生しないため、低コストで借りることができます。

短期賃貸マンションを賢く活用すると、二重家賃を防ぐことが可能です。退去日から入居開始日までの空白期間を短期賃貸マンションに住むことで、家賃の二重払いをすることなく暮らすことができます。

しかし、短期賃貸マンションを借りるにもコストがかかります。引越しの荷物が多い場合は、短期賃貸マンションだけでなくトランクルームの手配も必要です。二重家賃と短期賃貸マンション、どちらの方がコストを抑えられるかを比較検討することが重要です。

ゼロゼロ物件を借りる

ゼロゼロ物件とは、初期費用のなかで多くの割合を占める敷金・礼金が無料の賃貸物件のことを指します。ゼロゼロ物件を選んでも、二重家賃は発生してしまうことに変わりはありませんが、浮いた費用を二重家賃の支払いに充てることは可能です。敷金・礼金はそれぞれ家賃の1〜2ヶ月分が相場となっており、ゼロゼロ物件を選べば初期費用の大幅な節約に繋がります。

ただし、敷金無料の賃貸物件にはいくつか注意する点があるため気をつけましょう。
敷金とは、主に退居時におこなう原状回復やクリーニングの費用として入居者が大家さんに預けるお金です。そのため、原状回復やクリーニングが必要ない場合や全額使われなかった場合は退去時に返還されます。

しかし敷金が無料の賃貸物件は、退居時に原状回復費用をすべて負担しなければいけない場合があります。場合によっては退去時に大きな出費に繋がることもあるので、不安なことがあれば契約前に確認しておきましょう。

フリーレント物件を借りる

フリーレント物件とは、一定期間家賃がかからない契約形態の賃貸物件です。期間は1~2ヶ月程度に設定しているところが一般的ですが、物件によって異なるため事前に確認するようにしましょう。2000年から徐々に登場し始めたフリーレント物件は、特に都心部で多く見られるようになりました。

フリーレント物件を活用すると、二重家賃を抑えることが可能です。たとえば解約予告日が1月10日で退居日が2月10日の場合、1月10日に期間2ヶ月のフリーレント物件を契約することができれば、3月10日まで家賃がかかりません。仮に前の賃貸物件が月割り家賃であっても、2月28日に家賃の支払いは終わるため、二重で家賃を支払うことなく引越すことができるのです。

万が一フリーレントの期間が短くて二重支払いが完全になくならなくても、その分の費用は抑えることができます。浮いた費用を二重家賃の支払いに充てることができるため、困ったときはフリーレント物件を検討してみてください。

家賃の二重払いを防ぐために「賃貸借契約書」を確認しよう

二重家賃を防ぐためには、前の賃貸物件・新しい賃貸物件の双方で契約時に交わされる「賃貸借契約書」を確認することが重要です。契約内容を正しく把握することで、二重家賃を抑えることができます。ここからは、特に確認が重要な事項について解説していきます。

解約予告期間

家賃の二重払いを防ぐために、まずは解約予告期間を押さえておきましょう。解約予告期間は不動産会社や賃貸物件によって異なります。解約予告期間を知らずに新しい賃貸物件を契約してしまうと二重家賃のリスクが高まるため、引越しの予定があれば早めに確認しておきましょう。

解約予告期間が2~3ヶ月と長期の場合は、新しい賃貸物件を見つける前に解約予告をすることもひとつの方法です。万が一その間に新しい賃貸物件が決まらなければ、短期賃貸マンションに仮住まいするなどといった方法で、退去日から次の入居日までの空白期間を凌ぐこともできるからです。

解約予告期間の変更は原則できません。解約予告期間を確認した段階で新しい賃貸物件探しをはじめ、賃貸物件の候補が絞れた段階で解約予告を行いましょう。

家賃の計算方法

家賃が月割り家賃か日割り家賃かは、賃貸物件ごとに変わります。前の賃貸物件と新しい賃貸物件双方の家賃の計算方法を把握し、実際に支払う費用を用意しておきましょう。

月割り家賃の場合は、できるだけ月末に退居、月初に入居をするのがおすすめです。たとえば月割り家賃の物件で4月5日に退居した場合は、4月30日まで前の賃貸物件の家賃を支払わなければいけません。3月31日に退居すると、前の賃貸物件の家賃は3月31日までで済みます。

また旧居の契約書に、契約終了月の家賃が「日割り」と記載されている場合、退去した日から月末までの家賃は日割り計算で戻ってきます。このような情報を知っておくことでお得に引越しできるタイミングがわかるので、家賃の発生・返金条件についても頭に入れておきましょう。

急な転勤で二重家賃が発生した場合は会社に相談してみよう

引越しが原因の二重家賃は、貸主側に手違いがあった場合を除き、原則借主に返金されることはありません。

ただし、会社側の都合で急な転勤をして二重に家賃を支払う必要がある場合、まずは会社に相談してみましょう。会社の制度や交渉次第では、会社に二重家賃を負担してもらえるケースもあります。

家賃の二重払いの仕組みを理解してお得に引越しをしよう!

家賃の二重払いを防ぐには賃貸借契約書で解約予告日や家賃の支払計算方法を確認することに加え、以下の7つの方法が有効です。

・解約予告期間が長ければ、解約予告をしてから入居日を決める
・入居可能日まで期間がある賃貸物件を選ぶ
・新居の家賃の支払い開始日を遅くしてもらえるように交渉する
・日割り家賃の賃貸物件を探す
・短期賃貸マンションを活用する
・ゼロゼロ物件を借りて新居の初期費用を浮かす
・フリーレント物件を借りる

何も知らないと余計な費用が発生し、引越しの予算をオーバーしたり、新居で必要な家具・家電などが揃えられなくなってしまったりするおそれもあります。上記の方法を参考に、自分に合ったものを選び、お得な引越しを叶えましょう。

ふどサーチ編集部