賃貸物件の築年数は何年を目安に選べばいい?築古物件のメリット・注意点も解説

築年数が古い集合住宅の外観

賃貸物件を選ぶ際、間取りや駅からの距離のほか、「築年数」も重要な条件のひとつです。

新築や築浅を希望される方が多いかもしれませんが、物件によっては築古でも快適に住めるうえに、選び方のポイントを抑えれば魅力的な物件に出会える可能性が広がります。

今回は、築古物件のメリットや注意点について解説します。また、築古物件を見るときにチェックするべきポイントも紹介していきますので、引越しを検討している方はぜひ参考にしてみてください。

賃貸物件の「築年数」とは?

築年数とは、その建物の建設工事の完了から経過した年数のことを指します。
また、完了後1年以内で、かつまだ一度も人が住んでいない物件のことを「新築」と呼びます。(住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条第1項、第2項

誰も住んでいない物件であっても、築1年を超えた場合は新築とは呼べず、「未入居物件」として扱われるのが一般的です。

なお、明確な規定はありませんが、比較的築年数が浅い物件のことを「築浅物件」、築年数が古いものを「築古物件」と呼びます。

「新築」と異なり法律で具体的に定義されているわけではないため、年数の基準は不動産会社によって異なるものの、一般的には築2~5年以内の物件なら築浅物件、築30年以上の物件なら築古物件として扱われることが多いです。

賃貸物件の築年数は何年を目安に選べばいい?

築年数は見た目だけでなく、設備や建物の耐震基準、耐用年数にも関わってきます。

ここでは、以下の3つのポイントで築年数について説明していきます。

①設備の充実度を重視するなら「築10年以内」
②耐震基準への適合を重視するなら「築21年以内」
③耐用年数を重視するなら「築47年以内」

築年数を一つの目安として賃貸物件を選ぶ方も多いので、築年数がどれくらいであれば自分の理想に近いのか、次項で詳しくチェックしていきましょう。

設備の充実度を重視するなら「築10年以内」

宅配ボックスや温水洗浄便座、IHコンロなどといった設備面を重視する方には築10年以内の物件をおすすめします。

築10年超でも温水洗浄便座やIHコンロを備えた物件もありますが、改装していない場合は設置から10年以上経過した古い設備のままです。

そういった場合、物件情報だけで確認するのではなく、実際に内見して設備の状態や性能面において問題がないかをチェックしておくことが大切です。

耐震基準への適合を重視するなら「築21年以内」

地震が多い日本において、建物の耐震性は重要なポイントです。賃貸物件の耐震性は見た目ではわかりません。そこで判断基準となるのが、「新耐震基準」で建てられた建物であるか否かです。

2000年6月以降に建てられた建物は、震度6強~7レベルの大地震が発生してもすぐには倒壊せず、非難するための時間が確保できるレベルの強さである「耐震等級1」の取得が必須とされています。
建物の耐震性が気になる方は、築21年以内(2022年時点)の物件をおすすめします。

参考:国土交通省 「建築基準法制度概要集

耐用年数を重視するなら RC:「築47年以内」木造:「築22年以内」

建物の耐久性の側面から検討するのであれば、構造別の耐用年数を基準に考える方法もあります。

1998年の税制改正によって、鉄筋コンクリート(RC)の耐用年数は47年、木造は22年と定められました。もちろんこれは一般的な耐用年数であり、賃貸物件の状態によってそれぞれ異なるため、あくまでひとつの目安として頭に入れておくようにしましょう。

築年数が経過した物件(築古物件)のメリット

築年数がある程度経過した賃貸物件でも、快適に住める物件はあります。ここからは、築古物件を選ぶメリットについて詳しく解説していきます。

①家賃が安めに設定されている
②物件の選択肢が多い
③お得なりリノベーション物件がある

上記の3つのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

家賃が安めに設定されている

新築や築浅の物件に比べ、築古物件は1~2割ほど家賃が安めに設定されているケースが多いため、家賃を安く抑えたい方におすすめです。

また、広さや駅からの距離など他の条件を優先したい場合、築年数を譲歩することで予算的に合う物件が見つかりやすくなります。

物件の選択肢が多い

新築・築浅物件はそれほど数が多いわけではないため、賃貸物件を探す際にそれらの条件で絞ってしまうと、候補物件が少なくなりがちです。
築年数の幅を広げ候補を増やすことで、より多くの選択肢から希望に合った部屋を選ぶことができます。

また、選択肢の幅が広がれば、築年数以外の条件にこだわる余裕ができるかもしれません。
ロフト付きやインターネット完備など、生活の質を高める設備・条件はたくさんあるので、特定の条件だけにこだわらず、広い視野をもって快適な住まいを見つけてみてください

お得なリノベーション物件があることも

築年数が古くなると、部屋の内装や設備を直すためにリノベーションをするのが一般的です。

リノベーションの程度や範囲は物件によって異なり、設備や部屋の一部を回収する程度の物件もあれば、大幅な改修を行うフルリノベーションをしている物件もあります。

室内は新築のようにきれいなのに、家賃は新築や築浅物件に比べて安いなどお得な物件が見つかることもあります。また、壁を取り除いて大きな空間を作り出しているものや、個性的な内装であるなど魅力的な物件もたくさんあるので、ぜひリノベーション物件も選択肢のひとつに入れてみてください。

築年数が経過した物件(築古物件)の注意点

ここまで築古物件の良い面についてお伝えしてきましたが、もちろん注意すべき点もあります。

①設備面で見劣りする場合が多い
②建物の耐久性・耐震性が低い場合がある
③防音・防熱の性能が低い場合がある

上記3つの注意点について、詳しく見ていきましょう。

設備面で見劣りする場合が多い

新築や築浅物件に比べると、築年数が経過している分、設備の仕様が古いことも珍しくありません。
特に以下のような設備は、入居前に確認しておくことをおすすめします。

【注意したい設備の例】
・インターフォン
・ネット回線
・キッチン、浴室などの水回り

セキュリティ対策として取り入れたいと考える方も多いインターフォンですが、TVモニター付きと音声のみのものがあるため、どちらのタイプが備え付けてあるのか確認しておきましょう。

また、インターネットの回線工事を考慮して建築していない物件では、希望の回線を利用できないケースもあります。

そのほかにも、キッチンや浴室、トイレなどの水回りの設備が清潔であるか、もしくは新しいものに交換されているかなども気になるポイントです。

もちろんリノベーションをして改善されていることもあるので、自分が必要としている設備が備わっているかどうか、一度内見をして確認することをおすすめします。

建物の耐久性・耐震性が低い場合がある

当然のことながら、建物は建築当時の耐震基準で建てられています。

あまりにも築年数が古い物件の場合、当時の基準を満たしていても、現在の基準を満たしていない可能性があります。不安な箇所があれば、契約前に不動産会社の担当者に確認しておきましょう。

防音・防熱の性能が低い場合がある

築古物件の場合、新築や築浅の物件に比べ、防音・断熱性能が劣っていることがあります。

内見時に上下・左右の部屋から生活音や話し声などが聞こえてこないかなどをチェックすることが重要です。また、外気との温度差についても確認し、自分にとって住みやすい物件かを検討してみてください。

管理が行き届いていれば築古でも快適に住めることも!物件の注目すべきポイント

最後に、築古物件を検討する際に注目してもらいたいポイントを4つご紹介します。いずれも大事なポイントなので押さえておくようにしましょう。

注目ポイント①建物のメンテナンス体制は十分か

建物は、年数の経過とともに劣化します。劣化しても修理や改修をしていれば問題ありませんが、メンテナンスが十分になされていない物件も少なくありません。

たとえば屋根の雨漏りや外壁のひび割れなどがないか外観と内装を細かく確認してみましょう。屋根の修理や外装工事がなされていれば、メンテナンスに関して問題ないと判断できます。

ただし、素人の目では判断がしづらいものもあるため、不安なことがあれば大家さんや不動産会社のスタッフに質問しましょう。

注目ポイント②RC造またはSRC造であるか

賃貸物件の物件情報で、「RC造」「SRC造」などの表記を目にすることも多いでしょう。一般的なマンションは、この2つの構造のどちらかであることが多いです。

RC造は鉄筋コンクリート構造の意味で、鉄筋とコンクリートによって柱や壁、梁を作り、すべての部分を一体化した構造のことを指します。

一方、SRCは鉄骨鉄筋コンクリート構造の意味で、鉄筋コンクリートに鉄骨を内蔵させた構造をいいます。

いずれも木造や軽量鉄骨造に比べて堅固な構造で、防音効果も比較的高いという特徴があります。また気密性が高く、断熱性能に優れているため、プライバシー面や暖房効率を重視している方は、RC造やSRC造のマンションをおすすめします。

注目ポイント③10年以内に大規模な補強工事がされているか

昭和56年以前に建築された「旧耐震基準」によって建築された建物に対し、国は耐震診断・耐震改修を推奨しています。そのため、地方公共団体による支援制度が充実しており、すでに補強工事が完了している賃貸物件も珍しくありません。

築年数が古い物件であっても、補強工事などがなされている建物は安心感が違います。築年数だけでなく、工事履歴も見ながら自分に合った賃貸物件かを検討してみてください。

参考:国土交通省 「建築:住宅・建築物の耐震化について

注目ポイント④エントランスなどの共用部分や建物全体がきれいか

「マンションの価値は管理によって決まる」といわれているほど、マンションの管理体制は重要です。管理が行き届いている物件は、雨漏りなどのトラブルが起こるリスクも低いといえます。

内見の際は、エントランスなど共用部分がきれいに清掃されているか、庭木が枯れたままになっていないかなどを確認する他、管理体制などについては直接担当者に尋ねてみましょう。

築年数以外の面に目を向けて賃貸物件を探してみよう

近年は、SDGsの観点から古いものを手入れして使うことの重要性が注目されています。
賃貸物件も同様で、築古であってもきれいにリフォームされ、メンテナンスが行き届いていれば快適に過ごすことができます。

物件の選択肢の幅も広がるため、新築・築浅にこだわりすぎず、築古物件も視野に入れて部屋探しを進めてみてください。

ふどサーチ編集部