家賃の値下げ交渉はできる?タイミングや気をつけるべきポイントなど

家計簿をつけて節約を試みる様子

「家賃が安くなれば日々の生活に余裕ができるのに…」と思った経験はありませんか?

賃貸物件で暮らしていると、家賃が負担になり生活が苦しいと感じる人も少なくありません。しかし、値下げ交渉をしたくても、実際に交渉するとなると躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。

今回は、家賃の値下げ交渉のタイミングや気をつけるべきポイントについて解説します。念入りに準備し、難しいとされる値下げ交渉を成功させましょう。

家賃の値下げ交渉はしても問題ない?

入居前・入居後に限らず、家賃の値下げ交渉はいつでもできます。

しかし、値下げ交渉を行ったとしても、必ずしも家賃が安くなるわけではありません。タイミングを見極め、ポイントを押さえたうえで値下げ交渉に臨む必要があります。

また、値下げ交渉をしたからといって管理会社や大家さんと気まずくなることは、丁寧な対応をしている限りはほとんどありません。家賃交渉するかどうか悩んでいる場合、まずは不動産会社の担当者に一度相談しましょう。

そもそも賃貸物件の家賃はどう決められているの?

賃貸物件の家賃は、積算法と賃貸事例比較法の2種類によって決定されています。

積算法とは、大家さんが元手に対しどれだけの利益を得られるか考え、適正な家賃を算出する方法です。しかし、精算法は不動産売買取引額を決める際に用いられるのがほとんどのため、通常の賃貸物件の家賃を決めるときにはあまり使われていません。

一般的に、通常の賃貸物件の家賃を決めるときは、賃貸事例比較法が使われています。賃貸事例比較法とは、周辺エリアの家賃を比べて家賃を決める方法です。所有する賃貸物件とできる限り条件が近い物件の情報を集め、立地や設備の違いを考慮しつつ家賃を算出します。

家賃の値下げ交渉を行うベストなタイミング

勢いに任せて値下げ交渉をすると、大家さんを困らせてしまい望む結果が得られません。ベストタイミングを把握し、慎重に準備したうえで値下げ交渉に踏み切りましょう。

賃貸物件の更新時期

大家さんは、短い期間で部屋を退去されてしまうと家賃収入が減ってしまう他、再度入居者を募集する手間もかかるため、このまま住み続けてほしいと考える方が多い傾向にあります。そのため、すでに入居しているのであれば契約の更新時期が狙い目です。

賃貸経営をしている大家さんにとって、空室期間が増えるのはリスクとなり、さまざまな手段を使って入居者を募ります。家賃を下げるデメリットより、継続的に契約してもらえるというメリットをとって家賃交渉に応じる大家さんも少なくありません。

5~9月に入居を決める(申し込みをする)場合

物件の契約前に家賃の値下げ交渉をするなら、5~9月の閑散期がベストタイミングです。特に、長い期間空室が続いていた物件などは、家賃を下げてでも入居してもらいたいと考える大家さんも少なくありません。

一方、新生活が始まり多くの人が引越しをする1~4月は、空室が埋まりやすいため値下げ交渉に向いていません。交渉を持ちかけても、成立しないケースがほとんどです。

特に単身用や学生向けの部屋は、新生活が始まる4月頃に入居者が決まっていないと半年先の10月頃まで空室になってしまうケースも珍しくありません。そのため、5~9月に入居を申し出れば値下げ交渉がしやすいといえます。

家賃の値下げ交渉を行う前に確認すべきポイント

家賃交渉において重要なポイントは、「この入居者なら家賃を値下げしても良い」と大家さんや不動産会社に思ってもらえるかどうかです。以下のポイントに注意しましょう。

ポイント①:態度に気をつける

家賃交渉において入居者の態度は重要なポイントです。値下げ交渉をする前に、不動産会社や大家さんの立場で考えてみましょう。

「部屋を借りるのだから家賃は下げて当たり前」といった態度でいると、不動産会社の担当者の方も大家さんも不快に感じ、望む結果が得られなくなるかもしれません。

家賃の値下げ交渉を行うときは、謙虚な姿勢を心がけ、お願いベースで話してみましょう。

ポイント②:理由や根拠を明確にする

家賃を値下げしてほしい理由や、根拠を明らかにするのも大切なポイントです。

やみくもに「家賃を値下げしてください」と伝えても、応じてもらえる可能性は低いといえます。理由があいまいだったり、はっきりした根拠がなかったりすると「何かトラブルを抱えているのかも…」と勘繰られてしまうおそれがあるからです。

交渉の際は、「家賃が少し予算をオーバーしているので、相談に乗っていただけないですか」「給料が下がってしまって現状の家賃では更新が難しいため、少し値下げしていただけないですか」といったように、はっきりとした理由や根拠を述べましょう。

交渉相手に良い印象を与えないと、たとえ正当な理由でも却下されるおそれがあります。不動産会社の担当者に、「家賃交渉をしても住み続けてほしい人だ」と思わせるのも大切なポイントです。

ポイント③:家賃以外の部分で交渉を行う

家賃交渉がうまくいかなかったからといって、提示された条件のまま入居を決めてしまうのは少々もったいないかもしれません。家賃の値下げに応じてもらえなかったら、初期費用の値下げに応じてもらえないかを確認してみましょう。

他の入居者の都合や、長期的視点で損失が大きいという点からも家賃は値下げできないと判断する大家さんも多いですが、敷金や礼金といった初期費用であれば値下げに応じてくれるかもしれません。

また、限られた期間家賃が無料になるフリーレントつきの入居を交渉するのもおすすめです。他の入居者の手前、家賃を下げるのは難しくても、入居後1~2か月のフリーレントなら応じてくれる可能性があります。

フリーレントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事「フリーレント物件とは?家賃が無料になる仕組みやメリット・注意点を解説」を参考にしてください。

家賃以外の初期費用の値下げや、フリーレント物件での交渉を成功させるコツは、切り替えを早くすることです。しつこく家賃の値下げを要求すると、後々トラブルを起こしそうと思われてしまうおそれがあります。
家賃の値下げ交渉を持ちかけてうまくいかなければ、早々に初期費用の値下げの他、フリーレントで入居できないかを聞いてみるのも1つの方法です。

家賃の値下げ交渉における周辺相場料金の調査方法

家賃の値下げ交渉において、周辺エリアの家賃相場は良い交渉材料として活用できるため、事前に調べておくことが重要です。具体的には、次のような調査方法で周辺エリアの家賃相場を調べましょう。

■不動産ポータルサイトで調査

周辺エリアの家賃相場を調べるときは、不動産ポータルサイトを活用するのがおすすめです。

主に間取りやアパート・マンションなどの建物種別、市区町村ごとで家賃相場を調べられます。不動産ポータルサイトの情報は日々更新されているため、自分が入居を希望しているエリアやすでに入居しているエリアの同じ間取りの部屋の家賃相場を調べてみましょう。

■SNSで調査

最近は、広告にSNSを活用する不動産会社も増えてきました。不動産会社が運営している公式のSNSを活用し、家賃相場を調査する方法もおすすめです。

SNSでは、賃貸物件の大家さんが個人のアカウントで情報を発信しているケースもあります。しかし、SNSは不特定多数の人が情報を発信できるため、正確な情報を得づらいのがデメリットです。

雑多な情報を取捨選択するためにも、利用する際は不動産ポータルサイトと併用するようにしましょう。

■条件が似ている部屋を調査

家賃の値下げを考えている部屋と、条件が似ている部屋の家賃を調べるのも効果的です。

同じエリアであっても、間取りや部屋の設備は物件ごとに違います。オートロックや宅配ボックス、独立洗面台やウォークインクローゼットなど設備が充実している物件は、相場より家賃が高額になる可能性が高いです。

また、エリアや最寄り駅が同じであっても条件によって家賃は異なります。たとえば、築年数が古い物件や最寄り駅から遠い物件は相場に比べ家賃が安い可能性があります。

もし同じエリアの条件が似ている複数物件に比べて、入居しようとしている部屋の家賃が大幅に高いのであれば、交渉がうまくいくかもしれません。家賃交渉の際は、条件が似ている物件の相場を一度チェックしておくことをおすすめします。

家賃の値下げ交渉はタイミングと態度に気をつけて

家賃の値下げ交渉をする際は、タイミングを見極めて明確な理由と根拠を示しましょう。

また、相手に失礼のない態度を心がけるのも大切なので、横柄な態度や強引に値下げを迫るのはやめましょう。不動産会社にトラブルを起こす人と認知され、値下げ交渉はおろか契約にいたらない可能性もあります。

家賃の値下げ交渉をするなら、周辺エリアの家賃相場を押さえるのも重要です。不動産ポータルサイトやSNSを活用し、値下げをお願いしたい部屋と条件が似ている部屋の情報を集めてから交渉に臨みましょう。

ふどサーチ編集部