部屋の掃除をしているとき、「いつのまにかカビが生えていた」という経験がある方も多いのではないでしょうか?
カビは湿度が高くなることで発生するものですが、湿度以外の原因でカビが生えることも珍しくありません。
今回は、カビが生える原因と有効な掃除方法・湿気対策について解説します。
目次
賃貸物件でカビが生えてしまう原因とは
カビが生える原因として、代表的な要因は以下の3つです。
- 湿度が高い
- 気温が高い
- カビのエサとなる汚れやホコリがある
湿度だけに気をつけていてもカビが生えるおそれがあるため、まずは自分が住んでいる部屋の状況を確認してみましょう。
湿度が高い
一般的に、湿度が60%を超えるとカビが生えやすいといわれています。
梅雨の時期は特に湿度を感じやすいため、意識的に対策をする方が多いですが、実は乾燥する冬でも注意が必要です。室内と外気の温度差が大きい冬は、窓ガラスの結露により、窓辺に湿気が溜まりやすくなります。
こまめに水滴を拭き取ったり、必要に応じて湿度計を設置して40~60%の湿度を保つように意識したりしましょう。
気温が高い
カビは20~35℃前後の温度を好むため、室内はカビが発育するのに適した環境といえます。特に夏場は高温多湿になりやすいため、エアコンの設定にも気を配りましょう。
カビのエサとなる汚れやホコリがある
カビが発育するためには養分が必要です。パンや菓子などの食品類だけでなく、人の垢やホコリも栄養源にして発育します。
部屋を清潔に保つことがカビの発生を抑制することにも繋がるため、日々こまめに清掃することを心がけましょう。
部屋探しの前に確認!カビが生えやすい物件の特徴
どんな賃貸物件でも清掃を怠ればカビは生えてしまうものですが、特にカビが生えやすい条件が揃った物件もあります。
- 日差しが入りにくい
- 風通しが悪い
- 1階にある部屋
- 鉄筋コンクリート造
- 標高が低い位置にある
- 近くに畑や草むらがある
上記6つの中で複数当てはまるものがあれば、カビが発生しやすい可能性があります。
内見日の天気や時間、季節などによって見落としてしまうこともあるため、当日チェックするべき箇所を事前にメモしておき、不安に思ったことは不動産会社の担当者に質問しましょう。
次項では上記の6つのポイントそれぞれについて説明します。
日差しが入りにくい
部屋に日差しが入る時間が短い、北向きであるなど、陽当たりが悪い物件は湿気が溜まりやすくなります。
また、南向きの物件であっても、物件のすぐそばにに大きな建物があるなどの場合、陽当たりが悪くなるケースもあります。写真だけでなく実際に内見して確認することが重要ですが、日当たりについては内見する時間帯や季節によっても印象が変わるため、慎重に検討するようにしましょう。
風通しが悪い
こまめに換気をすることもカビ対策になります。風通しが悪いと湿気が溜まりやすくなるため、窓が複数あるなど、換気しやすい条件が整った部屋をおすすめします。
内見の際には窓を開けて風通しの良し悪しをチェックすることも大切です。
1階にある部屋
1階は地面からの湿気を取り込みやすく、また上層階と比べて風通しや陽当たりが悪い可能性が高いため、カビが生えやすいといわれています。
見落としがちですが、内見の際にクローゼットの中の壁を触ってみるなどして、湿気を帯びていないか確認してみましょう。
鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリートは木造などと比べて気密性が高く、室内の湿気がこもりやすい構造です。そのうえ、コンクリートは完全に乾燥するまでに数年かかるため、特に築年数が浅い場合は、より湿度が高くなりがちです。
また、コンクリート打ちっぱなしの壁はおしゃれな印象を与えますが、湿気を帯びたコンクリートの場合、壁材の部屋に比べてよりカビが生えやすい状態になります。
気密性が高いコンクリート造に住む際には築年数をチェックしつつ、湿気対策について考えておくようにしましょう。
標高が低い位置にある
物件の前の道路より低い位置、くぼんだ地形、標高が低い場所は風通しが悪く、湿気が溜まりやすくなるため気をつけましょう。
標高は、電柱や看板などを見てチェックする他、インターネットでも調べることができます。
【標高の調べ方】
- 「国土地理院地図」をネットで検索
- 上部の空欄に調べたい住所を入力
- Enterを押すと検索結果が出るので、出てきた住所をクリックする
- 対象住所の地図が出てくるとともに、左下に出てくる標高の表示をチェックする
参考:国土地理院 「地理院地図/GSIMaps」
気になる方は一度確認してみてください。
近くに畑や草むらがある
土や植物は水分を溜め込む性質があるため、畑や草むらに囲まれている賃貸物件の場合は湿度が高くなりやすいです。
賃貸物件を内見する際は、室内だけでなく建物の周辺の状況を確認することをおすすめします。
カビが生えやすい賃貸物件の湿気対策
カビが生えやすい物件であっても、状況に合わせた対処法を実践することにより、不快な湿気を防ぐことができます。
- こまめに換気する
- 扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
- 除湿剤を活用する
- エアコンや除湿機を活用する
- 窓に結露防止シートを貼る
- 換気口を開けておく
- 物をたくさん置かないようにする
上記7つの対処法はどれも実践しやすいため、自分に合ったものを試してみてください。
こまめに換気する
まずは定期的に換気しましょう。特別な道具も不要で、手軽に実践できるのがポイントです。
このとき、複数の窓を開けると風が通りやすくなるため、家の中にある窓やドアをなるべくすべて開け、風の通り道を作るようにしましょう。
扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
扇風機やサーキュレーターで空気を循環させることで、換気の効率が上がります。
これらの家電は消費電力も低めであり、電気代もそれほどかかりません。同時に窓を開けて、外の新鮮な空気を取り入れましょう。
ただし設置・収納のスペースが必要であることは頭に入れておきましょう。
除湿剤を活用する
クローゼットや押入れの中など、狭い範囲の場所を除湿したい場合におすすめですまた扇風機やサーキュレーターとは違い、コンセントがない場所でも除湿可能です。
主なデメリットは、除湿剤を交換する手間と費用がかかることです。商品によって交換時期の目安は異なりますが、1~2週間に一度など定期的に確認しておくとよいでしょう。
エアコンや除湿機を活用する
エアコンの除湿機能を使えば、室温を下げつつ部屋全体を除湿できます。雨の日の部屋干しにもぴったりで、よく利用しているという方も多いのではないでしょうか。
手軽に除湿できる方法のひとつですが、扇風機に比べて消費電力が高く、電気代がかさみます。電気代が気になる方は、消費電力が比較的少ない除湿機を使うのも良いでしょう。
窓に結露防止シートを貼る
結露は気づいた時点で拭き掃除をするのが一番ですが、毎日のこととなると手間に感じます。
窓が結露する場合、結露防止シートを貼るのがおすすめです。特に冬場は結露しやすいため、早めに対策を講じておくのが良いでしょう。
給気口を開けておく
住宅の壁や天井には給気口があるのをご存じでしょうか?高断熱・高気密の住宅は快適な一方で、シックハウス症候群の原因となりうる化学物質などが室内にこもりやすくなります。
これの対策として、2003年に建築基準法が改正され、部屋の空気を強制的に換気する24時間換気システムの設置が原則的に義務化されました。
丸・四角などの形状をしており、窓を開けていなくても換気をすることができます。気がつかず閉じたままにしている方いるかもしれませんが、カビ対策としても有効で、基本的に開けておくようにしましょう。
物をたくさん置かないようにする
室内の物が多いと空気の循環が悪くなり、空気の流れが悪いと湿気が溜まりやすくなります。不要品を処分しておくなど、あらかじめ物の数を減らしておくのも有効です。
また、家具などは壁から5㎝程度離して置くと良いでしょう。家具の裏側にカビが生えることを防ぐ他、害虫の発生抑制効果もあります。
賃貸物件でカビが生えやすい場所・掃除方法
カビ対策をしていても、カビが生えてしまった場合はどのように掃除したらいいのでしょうか?カビが生えやすい場所それぞれに適した掃除方法をご紹介します。
お風呂場・脱衣所
ピンク色のカビは、浴室用洗剤をスプレーし、スポンジなどでこすると落ちる場合がほとんどです。
黒カビの場合は、カビ取り剤や塩素系漂白剤をスプレーし、表記通りの時間放置しましょう。その後、シャワーなどで水をかけて洗い流せば完了です。
パッキンに黒カビが発生した場合はジェルタイプのカビ取り剤がおすすめです。使い方もそれほど難しくはないため、パッキンの黒カビが気になる方は一度試してみてください。
また、入浴後にはお風呂場の壁にシャワーをかける習慣をつけましょう。
カビのエサとなる汚れを洗い流すことができるので、カビの抑制に繋がります。その後、タオルなどで水滴を拭いておくとより効果が高まります。
クローゼット・シューズボックス
クローゼットやシューズボックスは、着用時の湿気が残っている状態で収納するとカビが生えやすくなります。衣類や靴は一度乾燥させてから収納しましょう。
それでもカビが生えてしまった場合は、エタノールや消毒用アルコールを浸み込ませた布で、建具などの表面のカビを拭き取ります。
カビの胞子が残っていると再びカビが生えてくるため、上記の作業を繰り返してカビの発生を防ぎましょう。
窓の近く
窓の周辺にあるパッキンやコーキング材などの黒カビには、次亜塩素酸塩など、ある程度強力な漂白剤を使う必要があります。
漂白剤を使った後は表記通りの時間放置し、乾いた布やキッチンペーパーなどで拭き取ります。薬剤が残らないよう、その後水拭きもしておきましょう。
なお、木材の部分に薬剤がかかると劣化してしまうため、木材などの部分は消毒用アルコールなどで軽く拭き取る程度にしましょう。
キッチン
キッチンは食べ物を扱う場所なので、人体に優しい薬剤を使用しましょう。
クエン酸と重曹を2:1の割合で混ぜ、発生した泡(二酸化炭素)でカビを浮かせてからこすってください。その後乾いた布などで拭き取り、最後に水拭きをして完了です。
また、シンク下は湿気が溜まりやすいうえに、物を収納したままにすることが多いため、除湿剤を使用したり、定期的に換気や掃除したりするように心がけましょう。
エアコン
エアコンは、掃除の前にコンセントを抜いてから作業をしましょう。フィルターは掃除機でホコリを吸い取ってから水洗いをし、日陰で干します。吹き出し口や見えるところは、水を含ませた布で拭き掃除をすると効果的です。
エアコン内部は、間違った方法で掃除をすると故障する可能性がありますので、清掃業者に依頼することをおすすめします。
壁
壁のクロスなどに発生した黒カビは、消毒用アルコールをスプレーし、乾いた布で拭き取ります。強い薬剤を使用するとクロスを傷め、変色させてしまうことがあるので注意が必要です。
賃貸物件のカビ汚れは、誰の責任になる?
賃貸物件に住んでいる際にカビが生えてしまった場合、誰の責任になるのでしょうか?
原状回復については、入居者と大家さんでトラブルになるケースが多いため、国土交通省がガイドラインを設けています。
通常の使用をしていても経年により劣化・損耗するため、そのような場合は大家さんの負担で修理します。一方、入居者の故意・過失によるものであれば、入居者の負担で原状回復するべきであると定めています。
判断が難しい場合もありますが、ポイントは入居者の故意や過失があったかどうかです。
入居者の責任になるケース
先述のガイドラインから、入居者の責任となるケースを見ていきましょう。
・結露した状態を放置し、窓の周りにカビを発生させた
・床にジュースなどをこぼしたまま放置し、床にカビを発生させた
・風呂場の掃除をしなかったことにより、壁一面がカビだらけになった
上記のように、入居者の過失によって住まいを損傷・劣化させて場合、入居者が原状回復の費用を負担します。
大家さんの責任になるケース
入居者ではなく、大家さんの責任になるケースは以下のとおりです。
・冷蔵庫を壁から5㎝程度離して置いてあったが、クロスにカビが生えた
・定期的に掃除をしていたものの、長年の使用によりカビが生えた
・換気を心がけていたが、押入れ内部の木部にカビが生えた
善管注意義務を守っていたうえでの経年劣化や損耗であれば、入居者ではなく大家さんが修繕費用を負担します。
不要な費用を支払わないためにも日ごろからカビの対策や清掃を怠らないようにし、万が一カビが発生した場合も状況を説明できるように準備しておきましょう。
カビ対策は賃貸物件探しのときから始まっている
賃貸物件でカビを発生させないためには、まず物件を探す際に、風通しや日当たりの良さも考慮しましょう。
構造や周辺環境によってはカビが生えやすい状態になるため、内見時に十分なチェックが必要です。
また、入居後もこまめな換気や除湿機の活用など、日ごろからカビの対策をしておくことも重要です。
もしカビが生えてしまった場合でも、適切な方法で掃除することにより改善できます。カビを放置してしまうと退去の際の原状回復費用が高額になるケースもあるため、部屋の状況を定期的にチェックして清潔に保つよう努めましょう。