管理物件とは?一般物件との違いやメリット・デメリットを詳しく解説

集合住宅(マンション)の模型とグラフ

賃貸物件を探しているとき、物件情報などで「管理物件」という言葉を目にしたことはないでしょうか。

賃貸物件の管理形態はそれぞれ異なり、誰が所有・管理しているかでその呼び名が変わります。管理物件には一般的な賃貸物件と異なる特徴があるため、内容を知ったうえで選ぶことをおすすめします。

今回は、管理物件の特徴やメリット、注意点などを解説していきますので、現在賃貸物件を探しているという方はぜひ参考にしてください。

管理物件とは?

管理物件とは、不動産を所有している所有者自身が仲介・管理業務を行っている賃貸物件のことです。仲介業務と管理業務を違う組織・人が行っている場合、管理物件とはいえません。

不動産会社には、入居希望者に物件を紹介する仲介会社と、大家さんの代わりに管理を行う管理会社の2つの種類があり、それぞれ業務内容が異なります。

このとき、仲介と管理の両方を1つの不動産会社で行っていることもあり、そのような不動産会社が所有している賃貸物件が、管理物件に該当します。

管理物件は、1つの組織が賃貸物件の紹介から入居後の管理までを行っているため、入居前後のサポートを一括して任せることが可能です。

一般物件との違い

仲介業務と管理業務を異なる組織・人が担当している賃貸物件が一般物件です。

たとえば、入居の手続きまでが不動産会社、入居後の管理は指定の管理会社になる場合などです。

一般物件の場合、管理業務は他の不動産会社や管理会社に委託するか、大家さん自身が行うかの2パターンがあります。仲介業務を行った不動産屋は、入居が決まればその後のサポートをすることはほとんどありません。

大手不動産会社の多くが仲介会社の側面しか持っていないため、入居が決まった後のサポートは管理会社や大家さんが行うのが一般的です。

管理物件には3種類ある

管理物件には、大きく分けて3つの種類があります。

・自主管理(自己管理)物件
・委託管理物件
・サブリース

これら3つは管理形態が異なり、それぞれ特徴に違いがあります。ここからは、3つの管理物件について詳しい内容を見ていきましょう。

①自主管理(自己管理)物件

自主管理物件とは、賃貸物件の所有者が仲介業務から管理業務まで、一貫してすべて管理している賃貸物件のことです。このとき賃貸物件の所有者は、管理会社や個人の大家さん、企業などさまざまです。

所有者が大家さんの場合、同じ建物内や賃貸物件のそばで暮らしている可能性も大いにあります。このような場合、入居者間でトラブルが起きてもすぐに相談でき、早期解決がしやすいです。

ただし自主管理物件でも、大家さんが遠方に住んでいる可能性もあるので、事前に確認しておきましょう。

②委託管理物件

委託管理物件とは、賃貸物件の所有者が不動産会社に管理業務を委託している賃貸物件のことです。

賃貸物件の所有者が自分で管理できない場合、不動産会社に相談して管理を委託します。管理業務の範囲は、契約内容によってさまざまです。

たとえばすべての管理業務を管理会社に任せている場合、賃貸物件の所有者は入居者と直接やりとりすることはなく、すべて管理会社を通して行われます。

一方、管理会社の委託範囲が物件管理のみの場合は、入居者管理は物件所有者自身で行う必要があります。

そのため、もし入居者間のトラブルで対処が必要となった場合、物件所有者と入居者でやりとりをすることとなります。

③サブリース

サブリースとは、不動産会社が大家さんから賃貸物件を借り上げ、入居者に又貸しして家賃収入を得る契約形態・システムのことを指します。

サブリースを活用することで、大家さんはすべての管理業務を不動産会社に任せられます。また、空室があっても定額の家賃収入を得ることができ、空室対策としても有効な手段です。

一方で、サブリース契約は、満室になっても大家さんに満額の家賃収入が入ることはありません。

また、入居者についても大家さんが口出しすることができないため、モラルの低い人が入居したときの対処がむずかしいというデメリットがあります。

管理会社の業務内容

賃貸物件の管理業務は多岐にわたり、どこまで管理会社に任せるかは管理を任せる不動産会社・大家さんによって変わります。

委託する内容が多ければ多いほど、管理会社に支払う管理費用は高くなります。

■建物の保守点検
エレベーターや電気設備など、賃貸物件の共有部分に不具合がないか、定期的にメンテナンスを行う必要があります。
保守点検を行わないと建物の状態がわからず、場合によっては設備の劣化によるトラブルが生じてしまうかもしれません。

■修繕工事の手配
賃貸物件の共有部分だけでなく、入居者の部屋に故意的でない何らかの不具合が生じた場合は、管理会社が修繕工事の手配をする必要があります。
部屋の設備に不具合が生じると大きなクレームを招く可能性もあるため、できるだけ迅速に対応しなければいけません。

■空室対応
賃貸物件の新規の入居者を募集するのも、管理会社の重要な業務内容です。空室対策における広告費用などの経費も、管理会社が負担するのが一般的です。

■家賃の管理
入居者に家賃の未払いがあった場合、未払いを伝える書類の送付などの業務を行う必要があります。
何度催促しても家賃を滞納する入居者がいる場合は、連帯保証人や家賃保証会社に連絡して、家賃の督促を続けなければいけません。

■入退去の手続き
入退去における賃貸借契約には、契約書のやりとりや重要事項の説明などさまざまな業務があります。入退去における手続きも、管理業務の一部です。

■入居者のトラブル対応
建物に関するクレームや入居者同士のトラブルなど、さまざまな問題が発生する可能性があります。
入居者が多ければ多いほどトラブルが発生する可能性があり、できるだけ誠実かつ迅速に対応しなければいけません。

管理物件を借りる3つのメリット

管理物件に住んだ場合、以下の3つのメリットが得られます。

・初期費用を抑えやすい
・サポートが充実している
・物件に関する情報を詳細に教えてもらえる

上記のメリットに魅力を感じた方は、管理物件を中心に賃貸物件を探してみることがおすすめです。

初期費用を抑えやすい

管理物件は、初期費用を抑えられる可能性が高いです。

通常、賃貸物件を紹介してもらう際には仲介会社に仲介手数料を支払います。しかし管理物件の場合、不動産会社が仲介業務を兼任しているため、仲介手数料が不要になるケースもめずらしくありません。

また管理物件は、できるだけ早く空室をなくすために、敷金や礼金を相場より安く設定している可能性もあります。

今後の生活にもゆとりが出るようになるので、初期費用を節約したいなら管理物件がおすすめです。

サポートが充実している

管理物件は、賃貸物件の所有者か管理を委託されている不動産会社が窓口です。

もし物件設備や隣人との間でトラブルが起きても、仲介会社を挟まず直接やりとりができ、スムーズな対応に期待できます。

また、仲介会社と管理会社が同じなので、信頼関係が築きやすいこともメリットです。

一般的な物件の場合、賃貸物件探しが終われば不動産会社との関係は終了します。しかし管理物件の場合はそのまま関係が続き、連絡も定期的に行われるため、強固な関係を築くことができます。

物件に関する情報を詳細に教えてもらえる

管理物件の所有者は、当然ながら所有している賃貸物件に対する知識が深いです。部屋の中はもちろん、共有部分の設備に関する性能や内装まで、細かい内容を聞くことができます。

また、所有者が建設から関わっている場合は、床や壁に使われている建材についても詳しい知識を持っています。

建物に関して詳しく知りたい人にとって、詳細部分まで知ることができるのは大きなメリットです。

管理物件を借りる2つの注意点

管理物件には魅力的なメリットがある一方、デメリットもあります。

・物件数が少ない
・価格、条件の交渉が難しい

上記2つのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

物件数が少ない

入居者にメリットの多い管理物件ですが、物件の数が少ない点に注意しましょう。

場所や予算、広さなど賃貸物件に対するこだわりが強い人は、希望の条件を満たす管理物件が見つからないかもしれません。

また、管理物件を多く扱っている不動産会社で部屋探しを行った場合、管理物件しか紹介されないケースもありえます。

管理物件は不動産会社にとって直接の利益になるので、条件にそぐわない管理物件を強くプッシュされてしまうおそれもあるため注意しましょう。

管理物件に強いこだわりがなく、さまざまな選択肢から賃貸物件を選びたい人は物足りなさを感じるかもしれません。

価格・条件の交渉がむずかしいこともある

賃貸物件の所有者は、建物に対して強い思い入れを持っていることもあり、マイナス部分を例に出して価格や条件の交渉を行うのはむずかしい場合があります。

どうしても交渉したいという場合は、閑散期などの交渉しやすいタイミングを狙いましょう。

また、空室が目立ってきたタイミングで交渉をするのも有効です。

管理物件の見つけ方

数が少ない管理物件は不動産ポータルサイトで探すとスムーズです。

条件を入れて検索し、それでも目当ての賃貸物件が見つからなかった場合は、不動産会社に直接尋ねるのもひとつの手です。

さまざまな不動産会社に尋ねることで、希望条件に合った管理物件が見つかるかもしれません。

数が少ないけれど管理物件にはさまざまなメリットがある

管理物件とは、所有者が賃貸物件の仲介から管理までを行う物件のことです。

この管理物件にはさまざまなメリットがある一方、注意点もいくつかあり、入居の前に確認しておく必要があります。

<メリット>
・初期費用を抑えやすい
・サポートが充実している
・物件に関する情報を詳細に教えてもらえる

<注意点>
・物件数が少ない
・家賃、条件の交渉がむずかしいこともある

費用面で困っている、または契約だけでなく住んでからのサポート面が不安という場合には、管理物件がおすすめです。

ただし、管理物件は数が少なく、希望の条件を満たす物件が見つからないことも多いため、不動産ポータルサイトを上手に使いながら探しましょう。

ふどサーチ編集部