部屋探しで気になるポイントのひとつに、気に入った部屋を誰かに先に契約されてしまうことがあります。候補の物件を他の人に先行申し込みされないために、複数の物件を同時に申し込みたいと考えたことはないでしょうか。
今回は、一度に2つ以上の賃貸物件の入居申し込みができるのか、複数申し込みのメリット・デメリット・注意点などについて解説していきますので、お困りの方はぜひ参考にしてください。
目次
【結論】賃貸物件を複数申し込みすることは可能ではあるがおすすめはしない
特別なことがない限り、一度に2つ以上の賃貸物件を申し込むことは可能です。不動産屋で入居申し込みできる数は、法律などによって制限されていないためです。
しかし一度に複数の申し込みを行うのは、不動産会社や大家さんからすると決して良いことではありません。賃貸借契約の申し込みをすると、当然ながら他の人は申し込みができなくなります。もし申し込みがあったのにキャンセルをされると、その間に受け入れられたはずの見込み入居者を逃す形になり、不動産会社や大家さんの不利益に繋がるからです。
また、不動産会社によっては複数の申し込みを断っているケースもあります。物件を2つ以上申し込むことは違法ではありませんが、不動産会社や大家さんの事情を考えるとおすすめではありません。
賃貸物件を複数申し込みする2つのメリット
複数の賃貸物件を申し込むことはおすすめではありませんが、いくつかのメリットが得られます。
・審査落ちした場合のリスクヘッジになる
・気に入った物件を他の人に取られない
上記2点のメリットについて、詳しく見ていきましょう。
審査落ちした場合のリスクヘッジになる
賃貸物件の入居申し込みを行ったとしても、入居審査で落ちる可能性があります。入居審査に落ちるとまた一から物件探しをしなければならず、手間と時間がかかってしまいます。
入居審査では数日の期間を要するので、その間は連絡を待たなければならず、時間を無駄にしてしまうこともめずらしくありません。そのため、複数の物件を一度に申し込むことは、入居審査に落ちるリスクヘッジとして有効です。
しかし、2つ以上の賃貸物件を申し込んでいること自体が入居審査に落ちやすくなる要因にもなり得るので注意しましょう。この内容については、のちほど詳しく解説します。
気に入った物件を他の人に取られない
賃貸借契約は一般的に早い者勝ちです。たとえば気に入った賃貸物件が3つある場合、すべてに入居申し込みをすることで、他の人からの申し込みを防ぐことができます。3つの賃貸物件に入居申し込みをした後で、キープしながらどの部屋にするか考えることも可能です。
条件が良い賃貸物件は、空き部屋が出てもすぐに埋まってしまう可能性があります。そのような部屋を前もって申し込んでおくことで、心理的な安心を得ることができるでしょう。
しかし、気に入った物件をずっとキープし続けることはできません。1つの物件をキープできるのは、審査を含めて2週間前後です。その間に入居するかしないかを決めないと手続きが進んでしまうため、一時的なキープだということを頭に入れておきましょう。
賃貸物件を複数申し込みする3つのデメリット
複数の賃貸物件を申し込むことがおすすめできない理由として、以下の3つのデメリットがあるからとされています。
・不動産会社や大家さんに迷惑がかかる
・入居審査に落ちる確率が高まる
・余計な出費が増える可能性もある
気に入った賃貸物件で暮らすために申し込んだのに、複数申し込みをしたことが原因で賃貸契約が結べない可能性もあります。デメリットを理解したうえで、2つ以上の賃貸申し込みをすべきかどうかを考えましょう。
不動産会社や大家さんに迷惑がかかる
先述したとおり、賃貸物件の申し込みは先着順のため、先行申し込みをすれば他の人が申し込めなくなります。
しかし、2つ以上の賃貸物件を申し込んでも最終的には1つに決めなければなりません。複数申し込みされた中でキャンセルとなった物件を取り扱っている不動産会社や大家さんは、契約をえられないだけでなく、申し込みされていた期間の機会損失にもなり、不利益が生じます。
このような理由から、キャンセルを繰り返すと不動産会社や大家さんとの関係が崩れてしまう可能性があり、場合によっては新たな契約が結べなくなるかもしれません。キャンセルを告げると一部の不動産会社からは強く引き留められる可能性もあり、断るのに苦労するおそれがあります。
また、迷惑をかけるのは不動産会社や大家さんだけに限った話ではありません。先述したように、入居申し込みをすると他の人が申し込めなくなるため、賃貸物件を探している他の人にも迷惑をかけることになります。特に1〜3月繁忙期は多くの人が部屋探しをしており、貴重な選択肢の1つを減らす形になるため、何か事情がない限り複数の申し込みを行うのは控えましょう。
入居審査に落ちる確率が高まる
入居審査は複数の賃貸物件と並行して行われるのが一般的です。同じようなタイミングで申し込みをした物件の入居審査が行われた場合、同じ人物が2つ以上の部屋を申し込んでいることがわかってしまいます。
2つ以上の賃貸物件を申し込んでいることが管理会社に知られると、そのうちのどれかがキープ扱いされているのは明らかです。これによって印象や信用度が悪くなり、審査に落ちる可能性が高まってしまいます。入居審査落ちのリスクヘッジとしていくつもの物件を申し込んでいても、複数の申し込み自体が審査落ちの原因になってしまうのはこのためです。
特に同じ管理会社の物件同士は、複数の申し込みが発覚しやすい傾向にあります。たとえば、申し込み手続きをした不動産会社が異なっていても、審査を行う管理会社が同じというケースもめずらしくありません。このような場合、同じ管理会社の賃貸物件では審査が通りにくく、部屋探しの幅が狭まってしまいます。
余計な出費が増える可能性もある
一部の賃貸物件では、キャンセルされないようリスクヘッジのために申込金が求められるケースもあります。申込金とは、入居の権利を確保するために支払う費用のことですが、契約成立が約束されたものではなく、申込金を払っても入居審査が有利になることはほとんどありません。
申込金は家賃の1ヶ月分が相場で、契約の前にキャンセルすると申込金は返金されます。なお、不動産会社や大家さんによっては審査が通ったのにキャンセルした場合、返金されない可能性もあるため注意が必要です。
契約していないのにもかかわらず、申込金が返金されない場合は、以下の2つの団体に相談しましょう。
契約前の申込金の未返還は原則違法のため、相談することで返金される可能性は高いといえます。しかし、このようなやりとりには時間も手間もかかってしまうため、やはり2つ以上の賃貸物件を申し込みすることはおすすめできません。
賃貸物件を複数申し込みする際に気をつけたいこと
どうしても複数の賃貸物件に申し込みしたい場合は、以下の3つに気をつけましょう。
①契約書にサインしないよう注意する
②所有者が同じ物件への複数申し込みをしない
③審査が通ったらすぐに他の物件をキャンセルする
大きなトラブルに発展して困らないよう、次項で解説する内容をチェックしてみてください。
契約書にサインしないよう注意する
契約書にサインした時点で賃貸借契約が成立します。賃貸借契約が成立すると初期費用を支払う必要があるほか、キャンセルをするのも違約金などが発生します。
賃貸借契約に関する説明は比較的時間がかかることに加え、少しむずかしい内容なこともあります。そのため、説明時に「それではここにサインをしてください」と指示があった際、よく理解していないままサインしてしまうことも少なくありません。とくに初めて賃貸借契約を結ぶという場合、説明の内容が理解できないことも多いため、わからない点がある場合はしっかりと質問や確認をしましょう。
また、契約書へのサイン・捺印は契約にマストな項目のひとつです。担当者の説明に納得できないことがあった場合には、簡単にサインしないよう気をつけましょう。
所有者が同じ物件への複数申し込みをしない
所有者が同じ賃貸物件での複数申し込みは、不動産会社や大家さんにどちらかは必ずキャンセルするといっているようなものです。法律的に問題はないものの、モラル的には失礼な行為であるため、所有者が同じ物件を2つ以上申し込むことは避けましょう。
上記のように、2つ以上の物件を申し込んでいることが判明すると、入居審査にも落ちやすくなります。同じ賃貸物件への複数申し込みは「常識がない人」と判断される要因になり、不動産会社との関係も悪化してしまうため注意が必要です。
審査が通ったらすぐに他の物件をキャンセルする
先述したように、物件をキープしている期間が長ければ長いほど、不動産会社や大家さんにとっての機会損失の可能性が高まります。そのため、1つの審査が通った後は、すぐに他の申し込みをキャンセルすることが求められます。
なかには、すべての入居審査が通ってからどれにするかを考えたい人もいるかもしれませんが、不動産会社と大家さんを不用意に待たせてしまうのはおすすめできません。入居の意思がないことを早い段階で知らせるなど、不動産会社や大家さん、他の入居希望者に迷惑をかけないよう配慮しなければなりません。自分以外にも希望している賃貸物件に関わっている人がいることを考えつつ、節度ある行動を心がけてください。
複数の賃貸物件に一度に申し込むことは可能だがおすすめではない
賃貸物件の申し込みを一度に複数おこなうことはメリットもあり可能性ではありますが、デメリットの側面が強いためおすすめとはいえません。
<メリット>
・審査落ちした場合のリスクヘッジになる
・気に入った物件を他の人に取られない
<デメリット>
・不動産会社や大家さんに迷惑がかかる
・入居審査に落ちる確率が高まる
・余計な出費が増える可能性もある
部屋探しは、不動産会社の担当者や大家さんといったさまざまな人たちと良好な関係を築くのが重要です。自分勝手な判断で、不用意に複数の賃貸物件に申し込むのはモラルのない行為と判断される可能性があります。
また、同じ時期に部屋探しをする人も多く、その方々への配慮も必要です。人の迷惑になるような行動を控えつつ、希望する賃貸物件で新しい生活をスタートさせましょう。