風呂なしアパートはおすすめ?浴槽がない物件のメリットや注意点、物件の探し方を解説します

銭湯のロッカー前に立つ女性の様子

ドラマや小説等で目にする「風呂なしアパート」は、最近ではあまり見られなくなりました。この風呂なしアパートは、家賃が安いなどのメリットがある一方、多くの注意点があります。もし風呂なしアパートを検討している場合、それぞれ把握したうえで契約しましょう。

今回は、賃貸物件探しが初めての人に向けて、「風呂なしアパート」のメリットや注意点を解説します。「湯船に浸かる習慣がないから大丈夫」と考えている人も、ぜひ一度目を通してみてください。

風呂なしアパートには2種類ある

賃貸物件における「風呂なし」という条件には2つのパターンがあります。それぞれの特徴を押さえて、自分のライフスタイルに合った方を選べるようにしましょう。

シャワールーム物件

シャワールーム物件とは、浴室内にシャワーのみを備え付けてある物件を指します。浴槽がないため、浴室内はコンパクトな造りです。物件情報には「シャワールーム」「風呂なし・シャワールーム付き」などと記載されています。

特にワンルームや1Kといった単身者向けの間取りで採用されていることがあります。

風呂もシャワーもない物件

「風呂なしアパート」は浴室(浴槽+シャワー)そのものがない物件も含まれています。このような物件の場合、日常的に近隣の銭湯などを利用しなければなりません。

浴室そのものがない物件については決して需要が高いわけではないため、以降ではシャワールーム物件にフォーカスして解説していきます。

風呂なしアパート(シャワールーム物件)のメリット

ここではシャワールーム物件のメリットを5つ解説します。シャワールーム物件に対するネガティブなイメージが軽減されれば、物件の候補も増えるかもしれないので、一度チェックしてみてください。

家賃が比較的安い

浴室や浴槽がない物件は「家賃の適正化」を図るために、家賃が安めに設定されている傾向があります。賃貸物件の家賃は立地や設備、間取りなど複数の条件を総合的に見て設定されます。駅からの距離や専有面積等が同程度の賃貸物件であっても、「風呂・トイレ別」「ユニットバス」「シャワールームのみ」「風呂なし」などの設備の充実度合いによって、設定される家賃に差があります。

快適な住環境を求める人は、設備の充実した賃貸物件を希望するため、浴室や浴槽がない物件は入居希望者が集まりにくい傾向にあります。そのため、相場よりも低めの家賃に設定することで価格の面でメリットを創出し、入居者を集める工夫をしています。

浴室の掃除の手間が軽減される

浴室や浴槽がない物件では、当然のことながら掃除の手間が軽減されます。

浴室は石鹸カスや皮脂、湿気などが原因で汚れ・カビが発生しやすく、定期的に掃除や対策などを行わなければ、浴室内の清潔が保てません。

風呂なしアパートの場合はそもそも掃除の必要がなく、また浴槽がないシャワールームの場合も掃除の時間や労力を減らすことができます。もちろん、浴室から漂ってくるカビのにおいに悩まされる心配もありません。

水道光熱費を節約できる

浴室自体がない物件や、浴槽にお湯をためることができないシャワールームのみの物件では、結果として水道光熱費の節約に繋がります。以下では、毎日お風呂へ浸かる場合の水道料金をシミュレーションしています。

<水道料金のシミュレーション>
・水道料金の単価:0.24/1l
・1回あたりの浴槽のお湯の量:約200l
・1回あたりの水道料金:48円/回
・毎日浴槽にお湯を入れた場合の月の水道料金:約1,440円/月

※参考:東京都水道局の生活用水実態調査

居住地域によって水道料金の単価は異なりますが、毎日浴槽にお湯を溜めた場合、1か月で約1,440円かかります。家庭内において、お風呂での水の使用量は全体の約40%を占めるともいわれており、浴槽がない物件であれば必然的にその分を節約できます。生活費をなるべく抑えたいと考えている人は風呂なしアパートの賃貸物件も候補に入れてみましょう。

トイレと浴室が分かれている場合が多い

シャワールームのみの物件の場合、トイレと浴室が分かれている場合が多いです。3点ユニットバスのようなトイレと浴室が一緒になった構造を避けたいと考えている方は、「シャワー付き」「シャワーのみ」も選択肢として検討してみてください。

ただし、空間が分かれているだけで、シャワールームとトイレが隣り合う形で設計された賃貸物件も少なくありません。間取り図や写真をチェックするだけでなく、実際に内見して構造を確認しておくと、想定と違ったという事態も起こりにくいです。

居室が広く取られている場合もある

すべての賃貸物件に当てはまるわけではありませんが、浴室や浴槽がない部屋は居室が広く確保されている場合もあります。専有面積が同じである場合、「浴槽付き物件」よりも「シャワールーム物件」の方が浴槽のぶん居室が広くなるため、生活スペースの広さを重視している方には大きなメリットになるかもしれません。

風呂なしアパート(シャワールーム物件)の注意点

以上のようにシャワールーム物件には複数のメリットがありますが、同時に注意が必要な点もあります。入居してから後悔しないよう、ここから解説する4つの注意点にも目を通しておいてください。

脱衣スペースがないか、あっても狭い

シャワールームのみの賃貸物件は、脱衣所がない、もしくは狭い可能性があります。脱衣所がない・狭い場合、以下のようなデメリットを考慮しなければなりません。

<脱衣所がない・狭いデメリット>
・バスアイテム(バスタオルやシャンプーなどのストック)を収納するスペースが確保しにくい
・友人などの来客時にがシャワーを利用する場合、気を遣う(仕切りやカーテンなどが必要になる可能性がある)

賃貸物件の専有面積や間取りによっても異なりますが、脱衣所の有無や広さは事前に確認しておきましょう。

部屋に湿気がこもりやすい

前述したように、シャワールーム物件には脱衣所がない可能性もあるため、湿気が居室に流れやすいです。窓を締め切っていたり、換気扇をまわさずにいたりすると、部屋の中に湿気がこもるおそれがあります。適度に換気を行い、居室内の湿気を外へ出す必要があることも理解しておいてください。

また、居室内の風通しのよさについては、内見の際にチェックしましょう。窓の大きさ・数などを確認して、換気機能に問題がないか確認することが大切です。

入浴による疲労回復があまりできない

シャワールーム物件の場合、入浴による疲労回復にあまり期待できません。

毎日湯船につかる習慣がある人や、入浴へのこだわりがある人にとっては、シャワールーム物件では物足りなさを感じてしまうかもしれません。入浴の習慣がある人は、徒歩圏内に銭湯がないか確認しましょう。

冬場は寒くなりやすい

シャワーのみで入浴を済ませてしまうと、冬場は身体が冷えて寒くなりやすいです。シャワーでは、湯船につかる場合と比べて身体の芯まで温めるのは難しく、浴室から出ると身体が冷えてしまいます。風呂なしアパートを検討している人は、以下のような寒さ対策も把握しておきましょう。

<寒さ対策の例>
・首や太もも、肩甲骨など血流が盛んな部位を温める
・入浴直前に浴室内をシャワーの蒸気で温めておく
・暖房を使って居室を温めておく

シャワールーム付き物件の探し方は?

以下に、シャワールーム付き物件の探し方をいくつか挙げていきますので、自分に合ったものを実践してみてください。

<シャワールーム付き物件の探し方>
・賃貸物件情報サイトで「シャワールーム」を条件に加えて検索する
・風呂なし物件を専門に扱う賃貸物件情報サイトを利用する
・不動産会社で条件を指定して探してもらう

賃貸物件情報サイトによっては、細かな条件が指定できる場合もあります。「風呂なし」や「シャワールームあり」といった条件を指定できれば、希望するエリア内の賃貸物件を手軽にピックアップできます。

サイト内で見つからない場合は、不動産会社の担当者に要望を伝えて物件を探してもらいましょう。

風呂なしアパートでの生活は貴重な体験かもしれない

風呂なしアパートと一言に言っても、「シャワールームのみ物件」「浴室自体がない物件」の2種類があります。浴槽のないシャワールームのみの賃貸物件を選ぶ際は、以下のメリットと注意点を把握しておいてください。

<シャワールーム付き物件のメリット>
・家賃が比較的安い
・浴室の掃除が楽になる
・水道光熱費を節約できる
・トイレと浴室が分かれている場合が多い
・居室が広く取られている場合もある

<シャワールーム付き物件の注意点>
・脱衣スペースがないか、あっても狭い
・部屋に湿気がこもりやすい
・入浴による疲労回復があまりできない
・冬場は寒くなりやすい

風呂好きな方や、冷え性の方、湿気が苦手な方などは浴槽がない物件では苦労するかもしれません。メリットとデメリットの両方を理解したうえで、自分にとって心地良い物件を選べるように十分に検討してみてください。

ふどサーチ編集部