家賃の目安は収入のうち何割が理想?家賃を決めるときの注意点、抑え方も解説

家賃の目安を計算している様子

住まいを決めるとき大きなポイントとなるのが家賃。収入に対して家賃の割合が高すぎると、生活の負担になってしまいます。家賃の目安は収入の何割くらいが理想なのでしょうか。

今回は、収入に対する家賃の目安や家賃を決める前に気をつけるべきポイント、家賃や生活費を抑えるための方法について解説します。家賃はどれくらいにすればよいのかわからない方や、家賃について悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

家賃の目安は「手取りの3分の1以内」といわれている

家賃の目安は一般的に、「手取りの3分の1以内」といわれています。なぜ家賃の目安が手取りの3分の1以内かというと、家賃がそれ以上の割合になると生活費が圧迫されてしまうからです。

グレードの高い部屋に住めたとしても、生活が苦しくなっては快適な生活が送れません。また最悪の場合、部屋を出ていくことになってしまいます。不要な引越しをしないためにも、まずは年収別の家賃相場について知っておきましょう。

年収別の手取り金額と家賃目安

最初に気をつけたいのが「手取り額」についてです。手取り額と月収は異なります。

月収とは、1ヶ月単位で決められた給与の総支給額のことを指します。基本給だけでなく、残業手当や役職手当などの諸手当も含まれた金額になります。

一方、手取り収入は実際に受けとる金額のことです。会社から支払われる給与の総支給額から健康保険料や厚生年金保険料、住民税、所得税の源泉徴収額などを差し引かれたものされたものを指します。人によって金額は異なりますが、おおよそ総支給額の75~80%が手取り額となるため、自分の正しい手取り額が知りたい方は給与明細を確認してみましょう。

以下に、年収別の手取り金額と家賃目安について表にまとめました。ここでは手取り額を総支給額の80%、また賞与がない場合の家賃目安となります。

【年収別の手取り金額と家賃目安】

年収手取り額(年)手取り額(月)家賃目安(月)
200万円160万円13.3万円4.4万円
300万円240万円20万円6.7万円
400万円320万円26.7万円8.9万円
500万円400万円33.3万円11.1万円
600万円480万円40万円13.3万円
700万円560万円46.7万円15.6万円

この表を見て、自分の年収でも意外といいところに住めるかもと思う人もいるかもしれませんが、あくまでこれは目安です。自炊しない人は食費にお金がかかりますし、旅行にたくさん行きたい人、趣味にお金をかけたい人など、さまざまなパターンがあるでしょう。

また、収入や家族構成によっても家賃に割けるパーセンテージは異なります。自分の生活スタイルとのバランスを考えて、自分に合う家賃を決めましょう。

手取りの3分の1に収まっていても厳しい場合はある

ここでは手取りが14万円、16万円、20万円の3つのケースに分けて、1ヶ月の生活費の目安を紹介します。金額は総務省統計局が出している家計調査をもとに、一般的な生活を想定して算出。使途やその金額については想定値で、実際に使う金額には個人差がありますので、あくまで目安として参考にしてください。

【手取り14万円の場合にかかる費用内訳】

項目金額
家賃46,000円
食費30,000円
水道光熱費10,000円
通信費10,000円
日用品(被服、理美容費など)10,000円
交際費・娯楽費10,000円
交通費10,000円
医療費4,000円
貯金(予備費)10,000円
合計140,000円

出典:CHINTAI情報局


【手取り16万円の場合にかかる費用内訳】

項目金額
家賃53000円
食費37,000円
水道光熱費10,000円
通信費10,000円
日用品(被服、理美容費など)10,000円
交際費・娯楽費15,000円
交通費5,000円
医療費5,000円
貯金(予備費)15,000円
合計160,000円

出典:CHINTAI情報局 

【手取り20万円の場合にかかる費用内訳】

項目金額
家賃66,000円
食費40,000円
水道光熱費12,000円
通信費10,000円
日用品・雑費15,000円
交際費・娯楽費30,000円
貯金(予備費)27,000円
合計200,000円

出典:CHINTAI情報局 

このように、家賃が手取りの3分の1でも生活することは可能ですが、実際には思わぬ費用がかかることも多いです。たとえば友達と旅行に行く、スキルアップのために資格取得を考えている、急な怪我や病気など、必要に応じて費用を捻出しなければなりません。

また、車が必要な地域なら、車のローンや駐車場代、自動車保険代などもかかります。ある程度の年齢になると、冠婚葬祭にかかる金額も増えてくるため、貯金の額を増やすことも重要です。

将来のことを考えると、手取りの3分の1の家賃では少し厳しそうに感じます。余裕のある生活を送るためには、家賃を手取り額の20~25%ほどに抑えておくことをおすすめします。

家族構成によっても家賃目安は変わる

家族構成によっても家賃目安は変わります。同じ年収でも、一人暮らしと子どもがいるファミリー世帯では、生活費の内訳は大きく異なります。

ここでは、支出が多い「子ども2人がいる4人家族・手取り40万円」でシミュレーションしてみました。ちなみに手取りが40万円の場合、月収は約54万円、年収は650万前後となります。

【手取り40万円・子ども2人の場合にかかる費用内訳】

項目金額
家賃120,000円
食費70,000円
水道光熱費20,000円
通信費10,000円
被服費10,000円
交通費20,000円
交際費・娯楽費50,000円
教育費50,000円
医療保険費30,000円
夫婦小遣い20,000円
合計400,000円

出典:ほけんROOM 

子どもがいる家庭で注意しなければならないのは、食費と教育費です。とくに教育費は、子どもの年齢のほか、通わせる学校が公立なのか、それとも私立なのかによって大きく異なってきます。手取りが40万円で子ども2人育てることは可能ですが、貯蓄まで手が回らないこともあるでしょう。

教育費は子どもの成長とともに増え続けます。小さいころは問題なくても、ずっと同じ金額を支払い続けていれば家計を圧迫してしまいます。支出を補えるほど収入がアップすればよいのですが、難しい場合には家賃にかける金額を少なくすることを考えたほうがよいといえるでしょう。

家賃を決める前に気をつけたい3つのポイント

ここからは、家賃を決める前に気をつけておくべき3つのポイントについて解説していきます。ついおろそかにしてしまいがちになるので、あらかじめきちんと頭に入れておくようにしましょう。

①家賃補助は計算に入れない

家賃補助は、会社が従業員の住宅費の一部を支給する福利厚生費のことです。とてもありがたい家賃補助ですが、家賃の計算には入れないほうがよいでしょう。

この先同じ会社に勤め続け、ずっと家賃補助が支給されていれば問題はありませんが、仮に転職した場合、転職先の会社に家賃補助制度があるとは限りません。同じ会社に在籍していたとしても、家賃補助がなくなる可能性もあります。

家賃補助を含めて家賃を考えると、いざそのお金がなくなったときにとても困ってしまいます。家賃補助はあくまでも補助として考え、手取り収入に合わせて家賃を決めるようにしましょう。

②家賃以外にかかる固定費も考慮に入れる

固定費とは、水道光熱費や通信費、保険料など毎月支払うことが決まっている項目を指します。住まいを決める際は家賃のことだけ考えるのではなく、月々の固定費も考慮して決める必要があります。

まずは自分が支払っている固定費を計算し、そのうえで家賃にどれくらい費やせるのか見極めましょう。もし固定費を多く支払っているようなら、この機会に見直しすることをおすすめします。

③住宅には管理費や共益費などの別途費用がかかる

マンションやアパートの場合、家賃のほかに管理費や共益費などがかかります。管理費・共益費とは、住宅の共有部分を維持管理するための費用のことです。具体的には管理人の人件費、共有スペースの清掃費や電気代、浄化槽の保守点検代などが挙げられます。

管理費・共益費は基本的に家賃とは別に支払うことになりますが、毎月支払う費用であることには変わりありません。「家賃+管理費・共益費」を月々の支払金額として考える必要があるので、住まいを決める際は管理費・共益費も見落とさないように気をつけましょう。

家賃や生活費を抑えるための4つのポイント

ここからは、家賃や生活費を抑えるために押さえておきたい4つのポイントについて紹介していきます。仕事や家族構成によって変わってくるため、無理のない範囲で実践してみてください。

①家賃相場が低い地域を選ぶ

家賃は地域によって大きく異なるので、なるべく家賃相場が低い地域を選ぶようにするとよいでしょう。東京など家賃が高めな地域に住む場合でも、家賃の安いエリアは存在します。以下のようなポイントを押さえれば、安い家賃の住まいを見つけることができるようになります。

・住んでいる人口が少ない
・駅から少し離れている
・快速が停まらない
・乗り入れ路線が少ない
・単線路線しか停まらない

駅から離れてしまうと少々不便かもしれませんが、自転車などを使うことで移動が楽になります。また通勤などに支障がなければ、快速が停まらないような駅の周辺に住んでみてもよいでしょう。都心から離れれば離れるほど家賃の相場は低くなるので、気になる方は不動産会社の方に一度聞いてみてください。

②築年数がたった物件を選ぶ

築年数がたった賃貸物件は、家賃が安い傾向があります。しかし、あまりにも古いものは耐震性や建物の強度に不安が残るので避けたほうがよいといえるでしょう。目安は新耐震基準を満たし、かつ古さがさほど目立たない築20~30年の物件です。

1978年(昭和53年)に発生した宮城県沖地震での被害を踏まえ、1981年(昭和56年)6月1日に耐震基準が見直されました。そのため1981年6月1日以降に建築確認を受けている建物は、新耐震基準に準拠して建築されているため安心度が高いといえるでしょう。

③お金を使いたいもの、節約するものをあらかじめ決めておく

生活をしていく上で、家賃だけにお金をかけられるわけではありません。条件にこだわりすぎて、高額な家賃の物件を選ぶと、大事な貯金がなくなってしまうこともあります。

どんな生活がしたいかやどんなものにお金を使いたいか、節約できるところはないかなど、自分の中での優先順位を決めておくことが大切です。人によってお金をかけたいポイントはさまざまなので、お金を使いたいもの・節約するものをあらかじめ計画しておきましょう。

④固定費を削減する

水道光熱費や通信費などの固定費を削減できると毎月一定額のお金が節約できるようになります。月に1万円節約するだけでも1年間で見れば12万円の貯金となるため、上記の費用のほか、現在加入している保険の内容を見直している方も少なくありません。

たとえば通信費の場合、格安SIMに変えるだけでも年間数万円単位の節約につながります。また、水道代の場合はシャワーヘッドを取り換えることでも費用を抑えられます。無理のない範囲で固定費を削減し、その分のお金を自分や家族にとって価値あるものに使っていきましょう。

家賃の目安を把握して、無理のない生活を

家賃の目安は手取りの3分の1以内といわれていますが、ほかにお金をかけたいことがある、育ち盛りの子どもがいるなど、場合によっては3分の1以下に抑えたほうがよいケースも少なくありません。自分の生活スタイルやお金をかける優先順位などをよく考えて、家賃にかける費用を決めるようにしましょう。また、家賃を決める際、気をつけるべきポイントは以下のとおりです。

・会社から支給される家賃補助は計算に入れない
・家賃以外にかかる固定費も頭に入れておく
・月々支払う必要がある管理費・共益費も家賃に含めて考える

収入に対して家賃が高すぎる物件に住んでしまうと、生活費が圧迫されて日常の暮らしが楽しめなくなってしまうので、自分の収入を正しく知り、自分に合う家賃の物件を選ぶようにしましょう。

ふどサーチ編集部