はじめて内見をする、数年ぶりに内見をするという場合、どんな物を持っていけばよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。内見は基本的に1回で済ませるものなので、あとで「ここを調べておけばよかった」「収納スペースのサイズをチェックすればよかった」など後悔がないようにしっかり準備をしておきましょう。今回は、物件の内見時に便利な持ち物や、チェックすべき物件のポイントを詳しく紹介していきます。
目次
【最低限用意したい】内見時の持ち物チェックリスト
内見では、限られた時間内に物件の情報や周辺環境をしっかりと把握する必要があります。手持ちの家具を置くスペースがあるか、家電はどういったサイズがよいかなど、多くの箇所を確認しなければなりません。あらかじめ内見に必要な持ち物のチェックをしておくようにしましょう。
賃貸物件の間取り図
賃貸物件の間取り図(物件資料)があると、窓の場所や部屋の広さ、設備の有無など細かい部分を確認することができます。また、気になるポイントや気に入った点などを書き込んでおけば、複数の物件を内見した場合でも物件情報をすぐに思い出すことができます。不動産会社の方に頼めばコピーをもらえる場合がほとんどなので、お願いしてみましょう。
スマートフォン(カメラ)
普段使っているスマートフォンも、内見時に必須の持ち物です。複数の賃貸物件を内見する場合、後から記憶を頼りに思い出そうとしても、どの物件のことかわからなくなってしまうことが多くあります。スマートフォンで写真や動画を撮影しておけば、自宅に帰ったあと、より鮮明に物件の詳細を思い出すことができるでしょう。
もしスマートフォンを持っていない場合には、家電量販店などで販売されているカメラを持参しましょう。
また、現地で待ち合わせて内見をするときには、不動産会社の担当者と連絡を取るためにスマートフォンを使うことがあります。
スマートフォンで内見時に使える機能・アプリ
スマートフォンは、撮影や連絡用に使うだけではなく、物件のチェックで使える機能やアプリがあるので上手に活用しましょう。
・メジャー
窓や冷蔵庫、洗濯機置き場のサイズを測ることができます。
・方位磁針
窓の方角を調べることで、朝日が入ってくるのはどの部屋か、西日がどれぐらいの強さで差し込んでくるかなどを内見の時間に関係なくチェックできます。部屋に入る光量は内見の時間帯によって変わるので、日当たりを重視する方は方位磁石アプリでしっかり確認しておきましょう。
・ライト
スマートフォンに搭載されていライトは、懐中電灯の代わりに使えます。空室物件ではすべての部屋に照明がついていないこともあるため、窓のないトイレや収納スペースなどを奥まで確認したいときに便利です。
・ストップウォッチ
駅までの徒歩の時間計測に使えます。物件情報に記載されている駅や施設までの所要時間はおおよそ1分80mで計算していることが多く、自分の足で歩いた場合の所要時間とは異なることもあるため、ストップウォッチを使ってしっかり計測しましょう。
メジャー
メジャーはスマートフォンでも代用できますが、市販されているメジャーも持っていたほうが便利です。スマートフォンのメジャーは使い方にコツが必要なものもありますし、部屋のコーナーやカーブの部分などは測れないこともあります。家具や家電をきちんと配置するには、部屋の大きさもしっかり測る必要があるので、部屋の幅や高さを測れるよう、3m以上計測できる金属のメジャーを準備しておくことをおすすめします。
メモ用紙と筆記用具
スマートフォンにもメモ機能がありますが、気になる点やあとでチェックしたい点などをすぐに書き残すためには、やはりメモ用紙と筆記用具が必要です。内見をしているときには、不動産会社の担当者から物件情報や契約条件を簡単に説明されることも多く、とっさにメモアプリを起動できないことも少なくありません。図面の余白にも書き込めますが、間取り図によってはほとんど余白がない場合もあるので、メモと筆記用具は忘れずに持参しましょう。
大型家具家電の寸法メモ
手持ちの大型家具・家電がある場合や、既に購入済みの場合は、それらの寸法メモも持っていきましょう。大型家具や家電などは、事前にサイズを測っておかないと、あとになって「置き場所がない」「サイズが合わなかった」などのトラブルが起こってしまうおそれがあります。
また、どの部屋にどの家具を置くかを考えておくことで、入居後のイメージがしやすくなるほか、物件を契約するかどうかの判断材料にもなります。
なお、寸法メモを用意しておいたほうがよい代表的な大型家具・家電(購入予定のものも含む)は、以下の通りです。内見前にチェックしておきましょう。
【大型家具】
・ベッド
・ソファ
・テレビ台
・食器棚
・テーブル(またはデスク)
・本棚
【大型家電】
・洗濯機
・冷蔵庫
・テレビ
・電子レンジ(またはオーブンレンジ)
【あると便利】内見時の持ち物チェックリスト2
前項では、最低限必要となる持ち物を紹介しましたが、実際には「あると便利」という持ち物もあります。複数の物件を見る場合、できるだけ身軽にと思うかもしれませんが、持っていないと困ることもあるため、あらかじめ準備しておくようにしましょう。
スリッパ
スリッパは、必ず必要とはいえないものの、あったほうがよいものの1つといわれています。部屋のなかを見るときに履くスリッパは、不動産会社のほうで用意してくれるのが一般的です。会社によっては使い捨てスリッパを用意してくれる場合もありますが、不特定多数の人が履いたものを使うことになる場合も。衛生面が気になる方、コロナの感染予防を徹底したいという方はなるべく持参するようにしましょう。
手袋・消毒ジェル
コロナ禍前であればとくに必要なかったものですが、現在の感染状況を踏まえると、手袋や消毒ジェルは必需品といえます。人気の高い賃貸物件の場合、1日に多くの内見者が訪れるため、ドアノブなどを触ることに抵抗をもつ方も少なくありません。
使い捨ての手袋があれば消毒する必要がなくなるので、キッチンなどで使用しているビニール手袋を持っていくとよいでしょう。手袋がない場合は、消毒ジェルや除菌ができるウエットティッシュなどで代用することをおすすめします。
動きやすい服装
持ち物ではありませんが、内見に行くときは動きやすい服装にしましょう。キッチンや洗面所のシンク下にある収納を確認するときは膝をつくほか、部屋の内部を見るためにいろいろと動き回ることも多く、とくに女性の場合はロングスカートやタイトなボトムでは十分にチェックすることができません。
また、レースやオーガンジーなどヒラヒラした洋服ではどこかに引っかけてしまうおそれがあり、気になってしまい集中できないという方も少なくありません。動きやすい服装であれば部屋の隅々までチェックできるので、物件を見に行くときは多少汚れてもよいようなラフな洋服で臨みましょう。
予備の靴下
クリーニング前の物件の場合、靴下が汚れることがあるので、予備の靴下も用意しておくのがベストです。新築や未入居の物件であれば大丈夫ですが、退居したばかりの物件ではクリーニングがおこなわれていないこともあります。
また、クリーニングをしてあったとしても、空室期間が長い物件は床がホコリだらけになっていることも多く、部屋を見たあとに足裏が汚れてしまう可能性もあります。予備の靴下があれば汚れた場合に履き替えられるので、1足だけでも準備しておくようにしましょう。
内見時に見ておきたいポイント
内見では効率よく状況をチェックする必要があるため、見ておきたいポイントを事前に押さえておきましょう。
物件1つあたりの所要時間は、平均15分程度となっています。入居を検討するほど気に入った場合には、時間をかけて細部までじっくり確認したりしたいところ。しかし特に繁忙期では不動産会社の担当者も他に予約が入っていたりと忙しく、そこまで長居できない場合もあります。。
チェックしておくべきポイントを逃してしまうと入居後に後悔することになってしまうため、これからご紹介するポイントを頭に入れつつ、注意しながら見るようにしましょう。
居室全体
・家具・家電の配置
居室では、設置予定の家具・家電を置くペースがあるかを見ておきましょう。内見をするときには、家具などが置かれていないため十分に広く感じるかもしれませんが、実際にテレビやソファなどを置いた場合、イメージよりも狭くなってしまう可能性があります。
内見の際は、手持ち(もしくは購入予定)の家具・家電を設置した場合のシミュレーションをしてみてください。このとき、実際にメジャーで測り、部屋のサイズと家具のバランスを把握できるようにするとよいでしょう。
また、コンセントの数が足りているか、家電を置きたい場所に適切に設置されているかという点も重要なチェック項目です。これらのほかに、携帯電話の電波の入りも確認してください。万一、周囲に電波を阻害する建物があるとパソコンやスマホの通信が不安定になるおそれがあります。
・日当たり
日当たりについては、南向きであればOKと思いがちですが、窓側に高い建物があるとほとんど日が入らないこともあります。窓の外の環境もしっかり見ておくことが重要です。
・生活導線
生活動線に関しては、洗濯機置き場から干し場までスムーズに移動できるか、キッチンで調理がしやすいか、寝室と居間の位置関係などを確認しておくとよいでしょう。
・清潔感やにおい
もちろん、部屋の清潔感やにおいなども、実際に物件に足を運ばなればわからないためしっかりチェックしてください。部屋の四隅や冷蔵庫、洗濯機置き場のクロス、クローゼットの奥などにカビがある場合、湿気がこもりやすい物件の可能性があります。
さらに、前の入居者が喫煙者だった場合、タバコのにおいが残っていることも考えられます。周辺に飲食店があると、室内や洗濯物ににおいがついてしまうかもしれません。清潔感がなくにおいの残っている物件は管理側にも問題がある可能性が高く、入居後のトラブルにつながりやすいため注意しましょう。
玄関
玄関は、まず鍵の種類や下駄箱の収納容量を確認しましょう。
鍵について、防犯性を求めるのであれば「ディンプルキー」がおすすめです。
下駄箱の収納容量は玄関をきれいに保つための大事なポイントとなるので、居住する人数や靴の量を考えながらチェックしてみてください。
また玄関は家具や家電の搬入経路にもなるため、ベッドやソファ、テレビ台やカップボードなどが搬入できるかどうか、搬入スペースの測定も忘れずに行うようにしましょう。玄関から搬入できない場合、窓から搬入することになりますが、この場合別途費用が数万円、2階以上の搬入では数十万円かかることも少なくありません。
水回り(キッチン・トイレ・お風呂)
水回り(キッチン・トイレ・お風呂)では、それぞれにチェックポイントがあります。
まずキッチンでは、蛇口の形状や水圧、コンロの口数をチェックしましょう。また、十分な収納スペースがあるか、設置したい冷蔵庫が置けるスペースがあるかなどの確認も必要になります。
トイレは、トイレットペーパーや掃除用具の収納スペース、温水洗浄便座や暖房便座などの機能の有無について見ておくようにしましょう。またお風呂では、追い焚き機能や浴室乾燥機能があるか、浴槽のサイズなどをチェックしておくとよいでしょう。
収納
収納は一箇所ずつ見るのではなく、物件全体でスペースが十分にあるのかを確認してください。必要な収納の大きさは人によって変わってくるので、搬入したい荷物の量を事前にまとめておくことをおすすめします。
たとえばキッチンの場合、カップボードがあるか、シンク下や上に調理器具やストック食材を収納するスペースがあるかどうかを見る必要があります。また、洋服が多い方であればクローゼットの数や大きさなど、自分に必要なスペースをしっかり把握しておきましょう。
共用部分
マンションやアパートでは、共用部も大事なチェックポイントです。まずは、駐輪場やゴミ置き場があるか、宅配ボックスがあるかなど利便性をチェックしましょう。
また、共用部を見ることで住民のマナー意識についてもわかるようになります。駐輪場の自転車の置き方が乱雑だったり、ゴミが散らかっていたりするような場合には、残念ながらあまり民度が高いとはいえません。
さらに、外廊下の電球が切れていないか、共用部の掃除がちゃんとされているかどうかなど、細かいところまで見ておくことで管理状況も把握することができるようになります。住民のマナー意識が低く、メンテナンスが行き届いていない物件はトラブルが多い傾向にあるので、共用部が適切に管理されているかどうかきちんと確認しておいてください。
物件の周辺環境
快適に暮らすためには、部屋の間取りや設備、機能面なども大事ですが、もう1つ外せないのが周辺の環境です。どんなによい物件であっても、周辺環境が整っていなければ、その不便さからまた引越しを検討しなければいけなくなることもあります。内見にはあまり時間をかけられませんが、気に入った物件の場合は、少し時間をもらって周辺の環境もチェックしてみてください。
周辺施設
周辺施設は暮らしやすさに直結するので、自分に必要な施設があるかも確認しておきましょう。一般的に、物件の近くにあると便利といわれる施設は以下の6つになります。
・スーパー
・コンビニ
・飲食店
・ドラッグストア
・郵便局
・役所
・公園
いずれも便利なお店や施設ですが、コンビニや飲食店などが近すぎると夜間の騒音トラブルなどに巻き込まれてしまうおそれがあります。治安を気にする場合にはコンビニ・飲食店と物件の距離に注意してください。
主要交通機関までの実際の距離
入居を検討している物件の場合は、主要交通機関までの実際の距離を測りましょう。「○○駅まで徒歩○分」というおおよその距離や時間は物件情報に載っていますが、これは基本的に80mを1分とみなして算出されており、実際に歩いて計った時間ではない可能性があります。通勤や通学で電車やバスなどを利用する場合、徒歩でどれぐらいかかるのかはとても重要なので、なるべく自分の足で歩いて確認しましょう。
内見後に物件契約を申し込む場合の持ち物
内見をして物件が気に入った場合は契約の手続きに入ります。必要な持ち物は不動産会社の担当者が教えてくれますが、なかには事前に準備が必要なものもあります。
すでに入居の意思が強く、即決する可能性がある場合には、これから紹介するものを持参して内見に臨むことで手続きがスムーズに進むようになります。繁忙期でのお部屋探しや人気物件の場合、悩んでいる間にほかの人が契約をしてしまうこともあるので、早めに準備しておきましょう。
身分証明書(顔写真付き)
身分証明書は、公的なものが必要になります。1点で公的身分証明書と認められるのは、以下のような顔写真がついている証明書です。
・運転免許証
・パスポート
・顔写真がついている国家資格証(小型船舶操縦免許証・宅地建物取引士証など)
・マイナンバーカード
2点必要となる身分証明書は下記のものになります。
・健康保険証(被保険者証)
・年金手帳・年金証書
・顔写真がついている学生証や社員証
・共済組合員証・共済年金証書
・マイナンバー通知カード
基本的に、顔写真付きの公的身分証明書であれば1点、顔写真がない身分証明書の場合は2点必要になります。2点用意するのが面倒という場合、マイナンバーカードであれば比較的手続きが簡単なので事前に取得しておくとよいでしょう。
印鑑
契約時には賃貸借契約書に押印をするため印鑑も必要になりますが、契約書に押す際は基本的に実印を使います。実印がないと契約ができないこともあるため、持っていない方は事前に用意しておきましょう。
また、実印として使用するには居住している自治体の役所に印鑑登録をする必要があります。印鑑登録自体は比較的簡単で時間もそれほどかかりませんが、契約日までに用意できるよう、余裕をもって作っておくことをおすすめします。
もしどうしても契約日までに実印が用意できなかった場合は、認印でも対応してくれるかどうか担当者の方に確認しておきましょう。ただし、認印であっても契約書に押印をした場合は実印と同じ効力が発生します。たとえば、後日契約内容に不満が出てきたとしても「認印で契約しているから破棄できる」とはなりませんので、十分に検討したうえで契約しましょう。
勤務連絡先・連帯保証人などの各種情報
契約の際に、勤務連絡先や連帯保証人などの各種情報の開示を求められることがあります。こういった情報は入居審査でも必要となるため、抜けや漏れがないようにしておかなければいけません。以下の表に必要な情報をまとめましたので、契約の前にチェックしておきましょう。
契約者および ほかの入居者情報 | ・氏名 ・年齢 ・現在の住所 ・電話番号(携帯電話番号) ・メールアドレス ・年収 ・勤続年数 |
契約者本人の勤務先の情報 | ・社名 ・会社の住所 ・会社の電話番号 ・社員数 ・上場の有無 ・事業内容など(必要に応じて) |
連帯保証人の情報 | ・氏名 ・年齢 ・住所 ・電話番号 ・勤務先名 ・勤務先住所 ・申込者との続柄 |
ただし、近年は家賃保証会社を利用している物件もあり、保証会社を利用すれば連帯保証人不要となることがあります。その場合でも、緊急連絡先となる家族、あるいは親族の情報は求められます。
収入証明書
内見時や申込時などは入居審査の結果がまだ出ていない状態であるため、収入証明書は必ずしも必要というものではありません。しかし入居審査が通った場合、収入を証明できるものがなければ契約できない場合が多いので、あらかじめ用意しておくようにしましょう。
収入証明書は、会社員の場合は源泉徴収書、自営業・フリーランスの方は確定申告書もしくは納税証明書となっており、源泉徴収書や確定申告書は直近の年のものを提出するのが基本です。ただし、収入の状況によっては前年度の収入証明書が必要になることもあります。なお、納税証明書は「国税電子申告・納税システム e-tax」から交付請求ができるので、紛失されてしまった方は事前に手続きを済ませておくことをおすすめします。
持ち物とチェックポイントを押さえて内見を充実させよう
部屋探しの際、家賃が手頃で周辺環境もよいという物件は競争率が高くなります。せっかく内見をしても、その後の決断が遅かったせいでほかの人が先に契約してしまったというケースは少なくありません。
内見の際には、物件が気に入ったらすぐ契約に進めるよう、必要な持ち物をきちんと確認し準備しておくことが重要です。この記事を参考に、ぜひ準備万端で内見に臨むようにしてください。