一人暮らし生活をする大学生への仕送り平均額はいくら?不足した場合についても解説

電卓をこちらに見せている大学生の若い男性

大学進学を機に一人暮らしを始める際、気になることのひとつが「仕送り額」です。どれくらいの額があれば十分なのか、わからない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、一人暮らしをする大学生への仕送り平均額と、仕送りが不足した際の解決方法などをご紹介します。また、一人暮らしをする大学生の収支やそれに合わせたベストな仕送り額についても解説していきますので、具体的な額がイメージできない場合にはぜひチェックしてみてください。

一人暮らし生活を送る大学生への仕送り平均額

全国大学生協連のデータによると、一人暮らし生活を送る大学生の平均仕送り額は約72,000円/月です。この額はあくまでも全国平均なので、一人暮らしをするエリアによってはかかる生活費が異なることもあり必要な仕送り額が変わってきます。

※参考:全国大学生協連 第56回学生生活実態調査の概要報告

また、総務省が行った家計調査によれば、中でも小都市(人口10万人以下)や中都市(人口10万人以上)に住む家庭からの仕送り額が高い傾向にあります。これは、進学のために地方から都市部へ引越しをした場合の仕送り額のほうが、高めであることが理由です。都市部は郊外よりも家賃が高くなりがちなので、都市部へ住む子どもへの仕送り額は平均より高くなりやすいといえます。

※参考:総務省 家計収支編 2021年総世帯

一人暮らし生活を送る大学生の収支額

ここからは、一人暮らし生活を送る大学生の収支額についてそれぞれ解説していきます。

一人暮らし生活を送る大学生の平均収入額

まずは一人暮らしをしている大学生の平均収入額について見ていきましょう。収入額とは、アルバイトで得た報酬だけでなく、仕送りや奨学金などの収入も含みます。

【一人暮らし生活を送る大学生の平均収入額】

内訳1ヶ月あたりの平均収入額1年間あたりの平均収入額
仕送り約72,000円約864,000円
奨学金約21,000円約252,000円
アルバイト約30,000円約360,000円
定職約370円約4,440円
その他約2,900円約34,800円
合計約126,270円約1,515,240円

※出典:全国大学生協連 第56回学生生活実態調査の概要報告
※2021年から過去5年間のデータを平均化

上記の収入額から、一人暮らしの大学生は毎月の生活費を捻出します。では、支出額の平均はいくらなのか、次項から詳しく見ていきましょう。

一人暮らし生活を送る大学生の平均支出額

一人暮らしをする大学生の平均支出額について、以下の表にまとめてみました。支出額とは、食費や住居費、貯金などの生活にかかる総費用です。

【一人暮らし生活を送る大学生の平均支出額】

内訳1ヶ月あたりの平均支出額1年間あたりの平均支出額
食費約25,000円 約300,000円
住居費約53,000円約636,000円
交通費約3,800円約45,600円
教養娯楽費約11,000円約132,000円
書籍費約1,700円約20,400円
勉学費約1,800円約21,600円
日常費約7,100円約85,200円
電話代約3,500円約42,000円
その他約2,800円約33,600円
貯蓄約11,000円約132,000円
合計約120,700円約1,448,400円

※出典:全国大学生協連 第56回学生生活実態調査の概要報告
※2021年から過去5年間のデータを平均化

次項からは、収入額と支出額をもとにベストな仕送り額について解説します。

一人暮らし生活を送る大学生へのベストな仕送り額

一人暮らし生活を送る大学生へのベストな仕送り額は、70,000~80,000円が目安です。前述した平均支出額において、食費と住居費は平均収入額の半分以上(78,000円)を占めています。どちらも生活には欠かせませんが、経済的な負担が特に大きい要素です。

これらの支出をアルバイトで賄おうとすれば、1ヶ月あたり25日働いたとして1日で約3200円は稼がなければなりません。東京都を例に挙げると、2020年時点での最低賃金は1,041円で、1日あたり約3時間以上働く必要があります。必ずしも週5日ペースで働けるとは限らないので、1日あたりの労働時間は想定より長くなるかもしれません。

アルバイトへかける時間が増えすぎると、心身への負担が大きくなり学業へ専念できなくなるリスクもあります。生活の基盤となる食費+居住費を賄うためにも、仕送り額の目安は70,000~80,000円がベストといえます。

一人暮らし生活を送る大学生への仕送り額が不足する場合の解決策

「生活費の全額を仕送りでカバーしきることはできない」「社会人になる前にお金のありがたみをわかってほしい」と考えている両親も少なくありません。仕送り額が不足する場合、ここから解説する5つの解決策を試してみてください。

保険などの制度を活用する

保険などの制度を活用することで、不足した仕送り額を補えます。活用できる制度は「学資保険」と「教育ローン」の2種類があり、それぞれの概要については以下のとおりです。

<学資保険について>
・目的:子どもの教育資金を準備すること
・仕組み:毎月決まった保険料を支払うことで、進学準備金や教育資金などが受け取れる
・特徴:契約者が死亡、もしくは支払い不可の状態になったとき、保険料の支払い免除+給付は従来通り行われる

<教育ローンについて>
・目的:子どもの教育費、学費をローンで工面すること
・仕組み:入学前にまとまったお金が振り込まれ、入学金や授業料などの資金を確保できる
・特徴:返済は契約者(親)が行うため、子どもへの負担が少なくなる 

学資保険を利用するには、子どもが幼いころに契約し、保険料を支払う必要があります。そのため、学資保険を契約していなかったという場合は、教育ローンの利用を検討しましょう。ただし、教育ローンの申請には条件があるため、国や金融機関の申請条件を満たしているかを確認しなければなりません。

奨学金制度を活用する

奨学金制度を利用すれば、進学に必要な費用を確保できます。奨学金制度とは、経済的な理由で進学できない子どもに対し、国や自治体、民間組織などが学資金を給付・貸与する制度です。経済状況や学習意欲などをチェックする審査を通過すれば、奨学金を受け取ることができます。

また、奨学金には給付型と貸与型の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。

<給付型の特徴>
・返済不要の奨学金
・世帯収入や資産の要件を満たす家庭が対象
・学業成績だけではなく、学ぶ意欲で支援が受けられるかを判断される

<貸与型の特徴>
・学校卒業後に返済が必要
・無利子(第一種奨学金)、有利子(第二種奨学金)の2種類がある
・上記2種ともに学力基準、家計基準などの審査基準が設けられている

給付型・貸与型どちらにおいても審査を通過しなければなりませんが、支援を受けられれば不足する仕送り額が補填できます。ただし、奨学金には注意すべきポイントもあるので、事前に把握しておきましょう。

<奨学金の注意点>
・誰でも支援が受けられるわけではない(対象となる家庭、審査を通過した人のみ)
・貸与型の場合、卒業後には毎月返済しなければならない

特に注意が必要なのは奨学金の返済です。卒業後は数年~数十年にわたって返済を続けなければならず、貸与総額が多いほど毎月の返済額の負担も大きくなります。申請する際は、返済計画など先の見通しも立てておくことがおすすめです。

アルバイトで稼いだ額で賄う

仕送り額が不足している場合、アルバイトによる収入で補うことも検討しましょう。アルバイトの収入すべてを不足分に充てる必要はありませんが、一部の額を補うだけでも暮らしが安定します。

先述した「一人暮らし生活を送る大学生の平均収入額」にもあったように、大学生がアルバイトで得る収入について、2021年から過去11年の平均額は約27,000円/月です。この数値はあくまでも平均なので、必ずしもこの額の収入しか稼げないわけではありません。上記の額を参考にしつつ、自分はどの程度の収入がありそうか・どの程度仕送りの不足分に充てられそうかのイメージをしてみましょう。

毎月の収支額を見つめ直す

毎月の収支額を見つめ直すことで、無駄な出費に気がつくかもしれません。毎月どのくらいの収入があり、どこに出費がかさんでいるのかを把握して、仕送りの不足分を補えるようにしましょう。

収支の見つめ直しには家計簿がおすすめです。収支が見える化されるため、無駄な出費に気がつきやすくなります。家計簿は手書きだけでなくスマホ用のアプリもあるので、できるところから始めてみてください。

また、無駄な出費に気がついたときは、自炊やマイボトル持参など今日からでも始められる節約を意識してみましょう。簡単な節約方法であれば、継続しやすく効果的に出費を抑えられます。

より具体的な節約方法を知りたい人は、こちらの記事もおすすめです。手軽に始められる節約のコツを解説しているので、一度目を通してみてください。

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家賃が安い賃貸住宅に住む

家賃の安い賃貸物件に住むことで毎月の固定費が少なくなるため、安定して生活費を抑えやすくなります。家賃の安い賃貸物件を探すには、次のポイントを押さえておきましょう。

<家賃の安い賃貸物件を探すポイント>
・築年数が古い
・駅から離れている
・都市部から離れたエリア
・学生向けのマンションやアパート
・快速や急行などが止まらない駅の最寄り

ただ、家賃の安い賃貸物件は魅力的な一方で注意点もあります。毎日の生活に関わることなので、契約を決める前にチェックしておきましょう。

<家賃が安い賃貸物件の注意点>
・周辺環境や物件そのものに問題があるかもしれない
・生活上必要な設備(エアコンや洗濯機置き場など)が足りない可能性がある

家賃が安いということは、好条件とはいえない賃貸物件の可能性もあります。安さばかりにこだわってしまうと、生活しにくい賃貸物件へ住んでしまうおそれもあるので注意しましょう。

お部屋を探す際は、自分の中で譲れない条件と妥協できる条件を定めておくのがおすすめです。妥協できる点を緩め、家賃が抑えられる物件を探してみましょう。

一人暮らしの大学生へ送る仕送り額は慎重に考えよう!

一人暮らしの大学生へ送る仕送り額は、慎重に検討して学生生活に支障をきたさない額に設定しましょう。仕送り額が少なすぎる場合、アルバイトへ注力してしまい学業がおろそかになるおそれがあります。一方、仕送りを必要以上に送ってしまうと、一人前の社会人として自立できなくなるかもしれません。

まずは今回ご紹介した仕送りの平均額を参考に、どのくらいの仕送り額が適正か考えることから始めましょう。もし経済的な理由で仕送り額が不足した場合には、以下の方法を試してみてください。

<仕送り額が不足したときの解決策>
・保険などの制度を活用する
・奨学金制度を活用する
・アルバイトで稼いだ額で賄う
・毎月の収支額を見つめ直す
・家賃が安い賃貸住宅に住む

地域や学校によっても適切な仕送り額は変わってくるため、具体的な生活費をイメージしながら金額を決めることがポイントです。

ふどサーチ編集部