新しい生活を始めようとしたとき、気になるのは賃貸物件の家賃ではないでしょうか。
とくに初めての一人暮らしの方は「家賃の目安がわからない」「今の収入で生活できるのか」と不安に感じることも多いかもしれません。
今回は家賃7万円のお部屋に住むことをベースに、適切な手取り額や引越す際の初期費用をご紹介します。
また、日々の生活に役立つ節約術についても解説していきますので、引越しを考えている方や、日々の家計管理に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
家賃7万円の部屋に住むには手取り21万円以上が目安になる!
家賃7万円の部屋へ住む場合、手取り額は21万円以上が目安です。収入に対する家賃の割合は約1/3が目安であり、この額を超えると生活費への負担が大きくなります。
条件や設備の良い賃貸物件に住めたとしても、家賃の負担が大きすぎると生活が苦しくなってしまう恐れがあります。
家賃の目安については以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
▶家賃の目安は収入のうち何割が理想?家賃を決めるときの注意点、抑え方も解説
手取り別の適正家賃まとめ
以下の表で手取り別の適正な家賃をまとめましたので、自分の収入と見比べながらチェックしましょう。
【手取り別の適正家賃】
手取り額 | 家賃目安 |
---|---|
21万円 | 7万円 |
23万円 | 7万6,000円 |
25万円 | 8万3,000円 |
30万円 | 10万円 |
上記はあくまでも目安なので、地域の物価や自身のライフスタイルなども考慮して、家賃が生活の負担にならないかを判断しましょう。
家賃7万円の部屋に住む場合の初期費用は35~52.5万円
家賃7万円の賃貸物件に住む場合、引越しの際にかかる初期費用は35~52.5万円です。費用の内訳は以下のとおりなので、どこにいくらのお金がかかるのかを確認してみてください。
【初期費用の内訳】
項目 | 金額目安 |
---|---|
敷金 | 7万円 |
礼金 | 7~14万円 |
仲介手数料 | 3万5,000~7万円 |
前家賃 | 7万円 |
日割り家賃 | 3万5,000円(月の中頃に入居した場合) ※家賃÷月の日数×入居日数で算出 |
火災保険料 | 1~2万円 |
保証会社利用料 | 3~6万円 |
鍵交換費用 | 1.5~2万円 |
消臭・消毒費用 | 2~4万円 |
合計 | 35.5~52.5万円 |
仲介手数料は法律上、家賃1.1ヶ月分(家賃1ヶ月分+消費税)までが上限と定められているので、この範囲内で変わるものと考えておきましょう。
一方、敷金・礼金は法律による制限がなく、大家さん自身が設定できます。そのため、相場は家賃の1〜2ヶ月分ですが、上記で示した額を超える可能性があることも理解しておきましょう。
参考:国土交通省 「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
火災保険・保証会社・鍵交換・消毒に関しては、依頼する業者によって費用が異なります。不動産仲介業者や大家さんが指定する場合は自分で業者を選べないので、契約前に内訳を確認しましょう。
また、指定のプランや業者があるけれど変更したいといった場合は不動産会社へ交渉や確認をし、了承を得ることを忘れないようにしてください。
なお、初期費用に関しては以下の記事でも解説しているので、疑問・不安のある人はチェックしてみてください。
▶一人暮らしを始めるのにかかる初期費用はいくら?安く済ませる方法も紹介
初期費用を抑える方法も知っておこう!
初期費用を抑える方法はいくつかありますが、自分に合ったものを見つけて実践することが重要です。
<初期費用を抑える方法>
・契約時に必要な費用(仲介手数料、敷金・礼金)が少ない賃貸物件を見つける
・日割り家賃を抑えられるよう月初に入居する
・フリーレント物件(一定期間の家賃が無料)を選ぶ
・引越しの繁忙期(年度の変わり目)は避ける
・家具、家電など生活に必要なものを譲ってもらう
仲介手数料や敷金・礼金は、大家さん・不動産仲介業者が設定できる費用なので、物件によっては安めに設定されていることもあります。
ただし、安すぎたり無料だったりする場合、家賃など他の部分で費用がかかっている可能性もあるので注意しましょう。
事前に同じエリア・条件の物件情報を確認し、家賃や初期費用の相場を把握しておくことがおすすめです。
また繁忙期は、引越し業者の運搬費用や作業費用などが高く設定されるほか、入居希望者が多かったり不動産会社が混雑していたりなどの理由から初期費用の交渉がしにくくなることもあります。
入学や入社などで引越しをする人が多い時期は注意してください。
引越しの繁忙期・閑散期について気になった方は、こちらで詳しく解説しているので併せて確認してみてください。
▶引越しのタイミング(時期)はいつがベスト?繁忙期・閑散期について
家賃7万円の部屋にはどんな部屋・設備が期待できる?
家賃7万円の賃貸物件とはどのような部屋なのか、ここからはより具体的にイメージできるよう解説していきます。
ただし、東京23区を基準としているため、エリアや条件次第では次項から解説する賃貸物件より条件の良い物件も見つかるかもしれません。
間取りはワンルームや1Kが多い
家賃7万円の場合、間取りはワンルームや1Kが多い傾向にあります。東京都内の家賃相場は約7万円なので、家賃7万円の賃貸物件は相場通りの価格設定です。つまり、家賃7万円でお部屋探しをする場合、広い間取りよりもワンルームや1Kといった一人暮らし向けの物件の方が探しやすいといえます。
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築年数の経った築古物件が多い
家賃7万円の賃貸物件であれば、築年数の経った築古物件が多い傾向にあります。
築古の賃貸物件は建物や設備の経年劣化が目立ちやすく、新築ほど入居希望者が集まりにくいです。そのため大家さんは家賃を下げて、入居希望者を募りやすいよう対応することがあります。東京都内の相場額と同じである家賃7万円だと、築古の賃貸物件なこともめずらしくありません。
一方で、築古物件であってもリノベーションがされ、外装は古いままでも内装が新しいという場合もあります。築年数では妥協したくないといった方も、一度内装まで確認してみるのがおすすめです。
駅から徒歩5~10分の物件も選びやすい
家賃7万円であれば、駅から徒歩5~10分の賃貸物件も選びやすくなります。
東京23区内はどのエリアも基本的に公共交通機関が充実しているため、駅から徒歩5~10分圏内という好条件であっても、家賃の安い賃貸物件が見つかりやすいです。
さらに範囲を広げるのであれば、バス停から近い賃貸物件も候補に入れてみましょう。
より広範囲で物件探しができるほか、候補数が多くなるので自分の希望条件にマッチした賃貸物件が見つかる可能性が高まります。
家賃7万円の部屋に住む場合の生活費シミュレーション
家賃7万円の賃貸物件に住む場合、生活費の内訳はどのようなものになるのでしょうか。
ここからは、一人暮らしの場合と二人以上世帯の場合とで条件別にシミュレーションするので、自分の状況に置き換えてチェックしてみてください。
一人暮らしの場合
まずは一人暮らしの生活費をシミュレーションしてみます。
【一人暮らしの生活費】
項目 | 費用 |
---|---|
食費 | 3万8,000円 |
家賃 | 7万円 |
水道光熱費 | 1万1,000円 |
家具・家事用品の購入費 | 6,000円 |
被服・履物の購入費 | 5,000円 |
保健医療費 | 8,000円 |
交通・通信費 | 1万9,000円 |
教養娯楽費 | 1万7,000円 |
その他 | 2万9,000円 |
合計 | 20万3,000円 |
※参考 総務省 「家計管理 単身世帯 2021年」
生活費は地域やライフスタイルによって差があるため、上記はあくまでも目安としてください。
家賃を除くと食費の負担が特に大きいので、節約を始める際は食費の見直しから検討してみるとよいかもしれません。
二人以上世帯の場合
次に、二人以上世帯の生活費をシミュレーションしてみます。二人分の収入42万円をベースにして計算した結果を見ていきましょう。
【二人以上世帯の生活費】
項目 | 費用 |
---|---|
食費 | 7万6,000円 |
家賃 | 7万円 |
水道光熱費 | 2万2,000円 |
家具・家事用品の購入費 | 1万2,000円 |
被服・履物の購入費 | 9,000円 |
保健医療費 | 1万4,000円 |
交通・通信費 | 4万円 |
教育費 | 1万2,000円 |
教養娯楽費 | 2万5,000円 |
その他 | 5万2,000円 |
合計 | 33万2,000円 |
※参考 総務省 「家計管理 二人以上の世帯 2021年」
42万円の収入に対し、約33万円の支出なので、二人以上世帯で家賃7万円であれば生活費に余裕が生まれます。貯金や資産運用なども含め、収支の管理をしてみましょう。
家賃7万円で快適な生活を実現するためのコツ
最後に、家賃7万円で快適な生活を実現するコツをご紹介します。
ここでは、家賃を抑えて生活費に余裕を持たせる方法ではなく、あくまでも家賃7万円のお部屋に住むことを前提に、快適に暮らすコツやそのほか費用での節約のコツについて解説するので、自分の生活スタイルに合わせて試してみてください。
各駅停車しか止まらない駅を選ぶ
各駅停車しか止まらない駅であれば、家賃7万円でも好条件の賃貸物件が見つかる可能性が高くなります。アクセス面において「駅近」という条件に加え、急行などの電車が停車する駅は通勤・通学などに便利であり、条件が良い物件として扱われます。そのため、家賃が高額に設定される傾向にあるのです。
つまり、相場(東京都内では約7万円)と同じ家賃7万円という条件では、交通の便が良いエリアに絞り過ぎると希望する物件が見つかりにくいかもしれません。少しでも快適に生活できるよう、各駅停車しか止まらない駅周辺も候補に入れて、希望する条件にマッチした賃貸物件を探しましょう。
学生の多いエリアで探す
大学の近くなど学生の多いエリアは生活環境が充実している傾向にあり、快適に生活しやすい環境です。また、単身者向けで比較的家賃の安い物件も多い傾向にあります。
さらに、学生の多いエリアには飲食店や商業施設などが集中していることが多く、基本的に買い物・外食などで困りません。
学生が利用しやすいよう、料金が安価に設定される飲食店もあります。快適に生活できる環境が整っているため、引越しの際は学生の多いエリアも検討してみてください。
駅から少し離れた場所の物件も検討する
駅近であることは好条件として扱われやすいですが、一方で、駅から少し離れた場所の賃貸物件であれば静かに暮らしやすいでしょう。
駅周辺は深夜帯まで営業している居酒屋などの飲食店が軒を連ねている可能性があり、地域によっては人の往来が激しくなるため、夜の時間帯に騒音が気になるリスクも考えられます。
また、駅から少し離れた物件は駅近物件よりも家賃が安めな傾向にあります。駅から少し離れた物件にもメリットはあるため、お部屋探しの際は併せて検討してみるのがおすすめです。
契約を決める際は、時間帯を変えて、事前に希望エリア周辺を散策してみてください。人・車の量は時間帯によって異なる可能性があることにも留意しましょう。
快適な生活環境を手に入れるため、周辺環境や地域の情報は入念にチェックすることが重要です。
水道光熱費を節約する
水道光熱費を節約して、生活費の負担を減らしましょう。以下の表をチェックし、節約方法を検討してみてください。
【水道光熱費の節約方法】
項目 | 節約方法 | 詳細 |
---|---|---|
水道代 | 節水グッズを使う | シャワーヘッドや蛇口に取り付ける節水グッズで水の使用量を抑える |
水の使用量を控える | ・トイレは「小」で流す ・お風呂はシャワーで済ませる | |
電気代 | 契約した業者やプランを見直す | ・業者によって料金設定が異なるため、別の業者も検討する ・料金プランによって特徴があるので自分のライフスタイルに合ったプランへ見直す |
基本料金を見直す | 契約アンペアは基本料金に直結するため、高すぎる場合は見直す | |
古い家電は買い替える | ・新しい家電は省エネ機能搭載のタイプがある ・古い家電ほど電気使用量が増えるおそれがある | |
ガス代 | 業者とプランの見直し | ・業者とプランの見直しによって料金が安くなる可能性がある |
都市ガスへの切替え(プロパンガス利用者のみ) | ・プロパンガスは運搬費用も料金に含まれる ・都市ガスであればガスの使用量にのみ料金が発生する |
ガス・電気には各業者ごとに様々なプランがあり、セットプランを提供している業者もあります。
セットプランでは別々に契約するよりも料金が安くなるかもしれません。自分に合ってるのはどのようなプランか各業者のHPを確認し、見直してみましょう。
また、水道光熱費の節約方法についてより詳しく知りたい方は、併せてこちらの記事も確認してみてください。
▶一人暮らしの水道光熱費はいくらかかる?手軽にできる節約術も解説
家計簿をつける
家計簿をつけて生活費の無駄をチェックすることも節約に繋げられます。家計簿とは、収入に対する支出額を項目別につけていく帳簿のことです。
たとえば、以下のような項目を設けて支出を管理してみましょう。
<家計簿の項目の例>
・家賃
・食費
・水道光熱費
・通信費
・保険料
・教育費
・交通費
・交際・娯楽費
上記のような支出を把握することで、余計な出費がないか項目ごとにチェックできます。
とくに変動費(固定されない費用)は自分でコントロールしやすいので、収入に対して出費が多すぎる場合はそこから節約をし、快適に生活できる環境を整えましょう。
現在はアプリの家計簿などもあり、入力さえすれば簡単に計算ができます。各項目の支出額を知り、節約できそうな箇所はないか一度確認してみることがおすすめです。
自炊する機会を増やす
自炊する機会が増えれば、食費にかかる負担を抑えられます。総務省統計局が行う家計調査によれば、単身者の食費は平均で約4万円/月で、このうち外食費は約7,000円占めています。
※参考 総務省 「家計管理 単身世帯2021年」
決して低い割合ではないので、これらの費用を抑えるだけでも食費による生活費の圧迫は軽減できます。
ただし、自炊に慣れていない人は厳しいルールを決めずに始めましょう。「毎日自炊する」「昼食はお弁当を作って持っていく」などのルールをあらかじめ決めてしまうと、負担が大きく続かないかもしれません。
まずは自分のライフスタイルに合わせて無理なく自炊を取りいれることから始め、慣れていくことが重要です。少しずつ食費を抑えるよう心がけてみましょう。
キャッシュレスでの決済をメインにする
キャッシュレス決済をメインの支払い方法にすることで、生活費の負担を抑えられます。
クレジットカードや電子マネーではポイント還元が受けられるほか、貯めたポイントは別の用途(買い物や旅行など)に使えます。ただし、還元率は提供元の業者によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
また、こちらも業者に事前確認が必要ですが、家賃や水道光熱費の支払いでもキャッシュレス決済が可能なことがあります。毎月の固定費をキャッシュレス決済に切り替えられれば、安定してポイントが貯まっていきます。
ポイントを日用品や食品の購入費に充てることで、生活費の負担を軽減できるため、利用可能な場面ではキャッシュレス決済を活用していくことがおすすめです。
家賃7万円の物件でストレスなく暮らそう
家賃7万円のお部屋に住みたい場合、手取り額の目安は21万円です。生活費への負担を増やさないためにも、この額を目安に賃貸物件を探しましょう。
さらに、引越しの際は初期費用についても考えなければなりません。今回ご紹介した内容を頭に入れておき、初期費用の節約にも取り組んでみてください。
もし家賃7万円での生活に不安を感じる場合には、以下のポイントを押さえて快適な生活を手に入れましょう。
<家賃7万円で快適に生活するポイント>
・各駅停車しか止まらない駅を選ぶ
・学生の多いエリアで探す
・駅から少し離れた場所の物件も検討する
・水道光熱費を節約する
・家計簿をつける
・自炊する機会を増やす
・キャッシュレスでの決済をメインにする
自分にとって無理のあるものは長続きしません。あまり思い詰めず、自分のライフスタイルに合っており続けられるものから実践してみてください。