家賃9万円の部屋に住むための手取り目安は?初期費用、節約術も解説

女性に物件の説明をする不動産会社スタッフ

家賃9万円の賃貸物件で理想のお部屋を見つけても、手取り収入が見合っていなければ長く住み続けることはむずかしいでしょう。

賃貸物件で暮らすには、家賃の支払いが負担にならない収入が必要になるので、入居を決める前に確認しておきましょう。

今回は、家賃9万円の賃貸物件に住む場合に必要な手取り収入の目安と具体的な初期費用の内訳をご紹介します。

また、家賃9万円の賃貸物件を探すときのコツや、日々の生活に役立つ節約術も解説していきますので、家賃と収入にお悩みの人はぜひ参考にしてください。

家賃9万円の部屋に住むには手取り27万円以上が目安になる!

家賃9万円以上の部屋で暮らすには、月27万円以上の手取りがあれば安心です。

一般的に、家賃の目安は手取り収入の3分の1といわれています。家賃が上がるにつれ、目安の手取り額も増えていきます。

手取り収入とは、給料から税金や保険料、年金などを引いた後、実際に手元に残る金額のことです。手取り収入は総支給額の8割程度になるので、部屋探しの際は事前に確認しておきましょう。

また、家賃と収入の関係はこちらの記事でも詳しく解説していますので、もっと知りたい人はぜひ参考にしてください。

家賃の目安は収入のうち何割が理想?家賃を決めるときの注意点、抑え方も解説

手取り別の適正家賃まとめ

以下の表で、手取り額に応じた家賃目安をチェックしてみましょう。

【手取り別の適正家賃】

手取り収入額(月収)手取り収入額(年収)家賃目安(月)
15万円180万円5万円
18万円216万年6万円
20万円240万円6.7万円
25万円300万円8.3万円
27万円324万円9万円
30万円360万円10万円
35万円420万円11.7万円
40万円480万円13.3万円
45万円540万円15万円
50万円600万円16.7万円

上記はボーナスが支給されない場合を想定しています。

また、上記の金額はあくまで目安となり、家族構成や生活スタイルによっても異なります。どれだけのお金を家賃に使えるかを考えて、自分に合う賃貸物件を探しましょう。

家賃9万円の部屋に住む場合の初期費用は43.5~63.5万円

引越しには、毎月の家賃以外に初期費用もかかります。

初期費用は家賃の5〜7ヶ月分が目安だといわれているため、家賃9万円の賃貸物件を選ぶと43.5〜63万円の家賃が必要です。以下の表で、初期費用の内訳と具体的な金額を見ていきましょう。

【初期費用の内訳】

項目金額目安
敷金9万円
礼金9~18万円
仲介手数料4万5,000~9万円
前家賃9万円
日割り家賃4万5,000円(月の中頃に入居した場合)
※家賃÷月の日数×入居日数で算出します
火災保険料1~2万円
保証会社利用料3~6万円
鍵交換費用1.5~2万円
消臭・消毒費用2~4万円
合計43.5~63.5万円

入居予定の賃貸物件によって若干変わりますが、上記のような初期費用がかかると考えておきましょう。

敷金・礼金は大家さんが独自に設定できる費用であるほか、礼金は物件によって有無が異なります。

仲介手数料は「家賃の1.1ヶ月分(家賃1ヶ月分+消費税)までが上限」と法律で定められており、この範囲内であれば不動産仲介業者が自由に設定できます。

これら3項目の費用は賃貸物件や不動産会社によって差があるため、契約前にチェックしておきましょう。

参考:国土交通省 「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」

また、初期費用についてさらに詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。

一人暮らしを始めるのにかかる初期費用はいくら?安く済ませる方法も紹介

初期費用を抑える方法も知っておこう!

初期費用を抑えられれば今後の生活にゆとりをもちやすくなるため、自分の状況に合わせて工夫してみましょう。

負担の大きい初期費用ですが、以下の方法で抑えることができます。

<初期費用を抑える方法>

・仲介手数料や敷金・礼金が少ない賃貸物件を選ぶ
・月初めに入居する
・フリーレント物件を選ぶ
・繁忙期を避けて契約・引越しする
・家具や家電は中古品を購入したり譲ってもらったりする

各ポイントについて、詳しく解説していきます。

■仲介手数料や敷金・礼金が少ない物件を選ぶ

仲介手数料・敷金・礼金は、不動産会社や賃貸物件によって設定されている金額が異なります。

なかにはゼロ円のところもあるため、できるだけこれらの金額が少ない賃貸物件を選ぶと初期費用を抑えることが可能です。

ただし、敷金は家賃の担保や修繕負担などに使われるお金です。敷金がゼロ円の場合、退去の際にその分の金額を支払う必要があるかもしれないため注意しましょう。

■月初めに入居する

日割り家賃は、月の途中に入居した際に実際に住んだ日数分としてかかる家賃のことです。1ヶ月分の家賃を1日ごとに割って算出されます。

そのため、初期費用を抑えるには月初めの入居がおすすめです。

■フリーレント物件を選ぶ

フリーレント物件とは、一定期間の家賃が無料になる賃貸物件です。期間は数週間から数ヶ月などさまざまですが、1ヶ月以上フリーレントの期間がある賃貸物件は、前家賃と日割り家賃が必要ありません。

ただし、多くのフリーレント物件には短期解約違約金が設定されており、契約期間内に退去すると違約金がかかってしまいます。このような理由から、短期間での引越しを検討している人には不向きといえます。

また、フリーレントは共益費や管理費には適応されない場合が多いため注意しましょう。

■繁忙期を避けて契約・引越しをする

不動産会社の繁忙期は、新生活の準備が行われる1〜3月と、人事異動のシーズンである9~10月です。この期間内は入居希望者が増えるため、条件の良い賃貸物件はすぐに決まってしまう可能性が高いです。

繁忙期を避けて賃貸物件探しを行うと、条件の良い賃貸物件が見つかりやすくなります。また、敷金・礼金・仲介手数料など初期費用の交渉がしやすい時期のため、通常より初期費用を安くしてもらえることもあります。

■家具・家電を中古品を購入したり譲ってもらったりする

日常生活に必要な家具・家電を揃えるには10万円ほどの予算をもっておく必要があります。

しかし、新しく購入するのではなく、知人に譲ってもらうことで初期費用を抑えることができます。譲ってもらえる機会がなさそうな場合は、フリマアプリやリサイクルショップを活用して、中古品を購入するのもおすすめです。

家賃9万円の部屋にはどんな部屋・設備が期待できる?

東京都の平均家賃相場は約7万円ほどです。そのため、9万円の家賃を支払えるなら以下のような条件・設備の賃貸物件に住むことができます。

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・1DK〜2LDKの間取り
・バス・トイレ別
・駐車場付き
・築浅、新築

ただし、今回紹介するのは東京都の賃貸物件です。立地によってはより良い条件の賃貸物件が見つかる可能性も大いにあります。

間取りは1DK、1LDK、2LDKなど選択肢が多い

家賃9万円の賃貸物件は、間取りの選択肢が多いのが特徴です。十分な広さがある1DKから二人暮らし向けの2LDKなども候補に入れることができ、自身のライフスタイルに合わせて暮らすことができます。

また、一人暮らし向けのワンルーム・1Kで家賃9万円の物件であれば、さまざまな設備が充実した賃貸物件も選択肢に入れられる可能性が高くなります。

バス・トイレ別の物件がメイン

バス・トイレ別の条件は、多くの人がこだわるポイントのひとつです。家賃9万円の賃貸物件は、そのほとんどがバス・トイレ別です。

バス・トイレ別の賃貸物件には、水回り周辺の収納スペースが広く持てたり、それぞれの場所を広く使えたりといったメリットがあります。そのため、2人暮らしを想定している人や来客がよく訪れるという人も不便に感じることはありません。

駐車場付きの物件も多い

家賃9万円なら駐車場付きの賃貸物件を選ぶこともできます。なかには家賃に駐車場代が含まれているケースもあるので、車を所有している人も不安なく暮らすことが可能です。

築浅物件のほか、新築物件も見つかる可能性がある

9万円の家賃を支払える場合、築年数が浅い賃貸物件、あるいは新築物件を選択肢に入れられます。築浅物件は、部屋だけでなく建物全体がきれいだったり新設備が充実していたりといったメリットがあります。

家賃が高くなるほど築浅物件が見つかりやすくなるため、家賃9万円の賃貸物件であれば、築年数を気にする方も不安に感じることは少ないでしょう。

家賃9万円の部屋に住む場合の生活費シミュレーション

家賃9万円の部屋に住む場合の生活費をシミュレーションします。これから引越しをしようとしている方は、自身の収支と見比べながらチェックしてみてください。

一人暮らしの場合

一人暮らしのシミュレーションは以下のとおりです。

項目1ヶ月あたりの支出
住居費(家賃)9.0万円
食料費3.8万円
光熱・水道費1.1万円
家具・家事用品費0.6万円
被服及び履物費0.5万円
保健医療費0.8万円
交通費・通信費1.9万円
教育娯楽費1.7万円
その他2.9万円
合計22.3万円

※参考 総務省 「家計管理 単身世帯 2021年」

生活費の具体的な内訳は人によって異なるものの、上記のシミュレーションを参考にすると、手取り収入が27万円以下でも暮らせることがわかります。

しかし27万円以下の場合、貯金や急な出費があったときのことなどを考えると、日々の節約に努める必要があるといえます。

二人以上世帯の場合

次に、二人以上世帯の生活費をシミュレーションしてみましょう。

項目1ヶ月あたりの支出
住居費(家賃)9.0万円
食料費7.6万円
光熱・水道費2.2万円
家具・家事用品費1.2万円
被服及び履物費0.9万円
保健医療費1.4万円
交通費・通信費4.0万円
教育費1.2万円
教育娯楽費2.5万円
その他5.2万円
合計35.2万円

※参考 総務省 「家計管理 二人以上の世帯 2021年」

35万円以上の収入があれば生活ができるため、たとえば同棲カップルの場合、両者ともに18万円の収入があれば家賃9万円の賃貸物件でも暮らせるといえます。

また、将来のライフイベントに備えて、貯金や投資を含めた資産管理を行うのも重要です。

家賃9万円で快適な生活を実現するためのコツ

家賃9万円の賃貸物件で暮らす際、より快適な生活を送るためのコツをご紹介します。それぞれ自分のライフスタイルに合ったものを取りいれていくのがおすすめです。

入居前にできることと、入居後にできることの2つの内容を見ていきましょう。

各駅停車しか停まらない駅を選ぶ

各駅停車しか停まらない駅は、快速急行や特急電車が停まる駅に比べると需要が少ないとされています。

そのため同じ家賃であったとしても、各駅停車しか停まらない駅周辺にある賃貸物件のほうが、より設備が充実している傾向にあります。

各駅停車しか停まらないと目的地までの時間は長くなりますが、途中駅で快速や急行に乗り換えるなどの工夫も可能です。リモートワークなどで電車を使う機会が少ない方や、目的地までに掛かる時間があまり気にならない方にはおすすめといえるでしょう。

また、各駅停車しか停まらなくても、電車に乗っている時間を読書や勉強に充てられればストレスに感じることも少ないかもしれません。

学生の多いエリアで探す

学生が多いエリアは、スーパーやコンビニなど買い物に便利な施設が多い傾向にあります。

また、大学の近くには学生向けの飲食店も多く、これらをうまく使えば食費の節約に繋がるかもしれません。生活の質を下げず、日々の支出を抑えることが可能です。

駅から少し離れた場所の物件も検討する

駅近の賃貸物件を狙って部屋探しをする方も多いのですが、駅近物件は必ずしも良いものとはいえません。

なぜなら、駅近物件は駅から遠い賃貸物件と比べると、近辺に夜遅くまで営業している飲食店などの施設があったり、電車や人通りなどの騒音が気になったりと、周辺環境がデメリットになることもあるからです。

また、駅近のほうが家賃が高い傾向にあるため、同じ家賃でも駅から少し離れた物件のほうが設備などが充実していることも多くあります。そのため、希望条件に合う賃貸物件が見つかる確率が高まるかもしれません。

お部屋探しの際は、無理のない程度に駅から少し離れた物件も検討することがおすすめです。

水道光熱費を節約する

入居後の生活費を抑えることも重要なポイントです。特におすすめなのが、水道・光熱費の節約で、以下の方法が効果的とされています。

項目節約方法
水道・浴槽の残り湯を洗濯や掃除に利用する
・食器は溜め洗いする
・洗濯物はまとめて洗う
・シャワーヘッドや蛇口などで節水グッズを活用する
電気・業者や料金プランを見直す
・使わない家電のスイッチはこまめに切る
・使っていない電化製品があればコンセントを抜いておく
・エアコンの設定温度を見直す
ガス・業者や料金プランを見直す
・プロパンガスであれば都市ガスに切替える
・入浴はシャワーで済ます
・調理の際は電子レンジを使う
・お湯を沸かす際はやかんではなく電気ケトルを活用する

電気代とガス代は、業者ごとにさまざまなプランがあり、自分のライフスタイルと合ったものへ見直すことも節約に繋がります。電力会社とガス会社を一緒にすることで、毎月の光熱費を安くできるプランもあるのでチェックしてみましょう。

家計簿をつける

生活費を抑えるための方法として、家計簿をつけることもおすすめです。

家計簿をつけると各項目でどれだけの支出が発生しているのかが明らかになり、無駄な出費を防ぐことができます。家計簿では以下のような項目を設定し、生活費における支出を把握しましょう。

<家計簿の項目の例>

・食費
・家賃
・水道光熱費
・保険料
・通信費
・保険料
・教育費
・交通費
・交際・娯楽費

とくに、食費や交際費など月ごとに変動するお金は、節約しやすい項目のひとつです。現在はアプリの家計簿などもあり、入力さえすれば簡単に計算ができます。

各項目の支出額を知り、節約できそうな箇所はないか一度確認してみることがおすすめです。

自炊する機会を増やす

自炊の機会を増やすことで、食費の節約に繋がります。総務省統計局によれば、1ヶ月あたりの食費の平均額(勤労者の単身世帯)は約4万円で、そのうち外食費は約1万円と全体の1/4を占めています。

比較的大きな割合となっているため、普段から自炊する機会を増やすことで食費の負担を軽減させることができます。

※参考 総務省 「家計管理 単身世帯2021年」

たとえば、食材をまとめ買いして1週間分の作り置きをすることで、節約効果がさらに高まります。外食をすると支出が多くなってしまうので、できるだけ避けて自炊の回数を増やしましょう。

ただし自炊に慣れていない場合、毎日の料理が負担になり、長く続かないおそれもあります。節約を意識する前に、まずは週1回でもいいので自炊する習慣をつけ、慣れるところから始めてみるのがおすすめです。

キャッシュレスでの決済をメインにする

キャッシュレスでの決済は、以下のようなメリットがあります。

・ポイントが貯まる
・履歴が残る
・銀行のATMの手数料がかからない

ポイントがついてお得だったり利便性が高かったりとメリットもありますが、お金を使っている意識が薄れがちになる可能性もあるので注意が必要です。

また、ポイントの還元率は提供元の会社によって異なるため、事前に確認するようにしましょう。

家賃9万円の部屋に住むには27万円以上の手取り収入が望ましい

家賃9万円の賃貸物件で暮らすには、手取り27万円以上が目安とされており、無理なく支払いを続けられそうか、契約前にチェックする必要があります。

また、入居前は初期費用の削減に努め、今後の生活にゆとりを持たせる工夫も重要です。

入居後に関しては、毎月の生活費を圧迫しないよう無理のない範囲で節約に励み、貯金や投資に回すお金を増やすことも意識してみてください。

ふどサーチ編集部