賃貸物件における水漏れトラブルの対処法とは?かかる修理費用なども解説

水道の修理・点検をする男性

多くの人が集まる賃貸マンション・アパートで暮らすと、騒音やゴミ問題などさまざまなトラブルに巻き込まれる可能性があります。

その中でもとくに、自身の部屋の床や家財道具だけでなく、ほかの入居者にまで被害が広がる可能性もある水漏れトラブルは、対処に困ってしまうことも多いです。万が一のときに備えて、対処法を知っておくと安心といえます。

今回は、賃貸物件における水漏れ事故の対処法について解説していきますので、水漏れトラブルで困っている人や、事前に対処法を知っておきたいという人はぜひ参考にしてください。

賃貸物件で水漏れがあった場合の責任範囲

賃貸物件で水漏れ事故が発生した場合、責任の範囲は水漏れの原因によって異なります。

・賃貸物件に原因があった場合
・入居者の過失が原因の場合

設備不良や老朽化など、賃貸物件に原因があり水漏れが起きた場合、水漏れの責任は大家さんや管理会社など賃貸管理を行う人にあります。

その水漏れが自分の部屋や家財道具だけでなく、他の入居者に被害を与えた場合も、その責任含め、原則すべての責任が大家さんや管理会社にあるとされます。

一方、水の出しっぱなしや排水ホースの破損など、入居者の過失が原因で水漏れが起きた場合、水漏れの責任は入居者にあります。自室の修理費用はもちろん、他の入居者にも被害が及んだ場合は、それに対する費用も負担しなければいけません。

水漏れが発生した際は、どちらに責任があるかをはっきりさせるためにも、専門の業者を呼んで原因を調べてもらうことが重要です。

賃貸物件で水漏れトラブルを引き起こした場合の対処法

自分の部屋で水漏れトラブルが起こった場合、何から対処して良いか困ってしまうでしょう。ここからは、水漏れトラブルが発生した場合の対処法を解説していきます。

①管理会社・大家さんに連絡を入れる
②水道業者へ修理を依頼する
③漏電の危険性があるので電気会社に連絡をする
④契約時に加入した火災保険の内容を確認する

自分の部屋で水漏れが起きてしまったときは、上記の手順に沿って対処しましょう。

管理会社・大家さんに連絡を入れる

水漏れが発生したら、まずは管理会社か大家さんへ連絡を入れましょう。無理に自分で対処しようとすると、被害がさらに広がり隣人トラブルに繋がってしまうかもしれません。

また、すぐに直るだろうと水漏れを放置するとカビや結露の原因になってしまうので、発見次第すぐに知らせることが重要です。

管理会社や大家さんに連絡すると、現場の確認が行われます。水漏れの原因が特定できない場合は、専門の業者が状況を判断しますが、自分の部屋が損害を受けていると原因究明に時間がかかるかもしれません。

水道業者へ修理を依頼する

管理会社や大家さんの判断により、水道業者へ修理の依頼が手配されます。

しかし、大家さんに連絡がつかない、あるいは「水道業者を手配してほしい」という指示があった場合、自分で修理業者に連絡をしなければなりません。

賃貸物件によっては提携している水道業者があるため、別の業者を呼ぶと修理の費用を自分で負担しなければいけない可能性もあります。心配な場合、どの業者に頼めばいいか、大家さんや管理会社へ事前に確認しておくと安心です。

水道業者は、24時間365日修理の対応をしているところもあります。急な水漏れはそのような業者を利用し、一刻も早く水漏れが直るように努めましょう。

水道業者が来たら、必ず修理費用の見積もりをもらいましょう。経年劣化による水漏れであれば、修理費用は管理会社に請求できるため、管理会社に提出する証拠書類を用意しておくことが重要です。

漏電の危険性があるので電気会社に連絡をする

水漏れから電気のコードに水が入ると、漏電が起こる危険性があります。

漏電が起こると感電のリスクが高まるほか、火災など深刻な事故に繋がるかもしれません。また、感電により身体に大きな怪我を負ってしまうおそれもあるので、水漏れの際は漏電に注意して行動しましょう。

漏電を防ぐためにも、水漏れがあった場合は電気会社へ連絡し、漏電の確認・対応をしてもらいましょう。漏電確認は怪我や事故にも発展する恐れがあり危険なため、自分での確認や判断は慎み、プロの方に任せるようにしてください。

契約時に加入した火災保険の内容を確認する

管理会社・水道業者・電気会社への連絡が終わった後は、保険会社に連絡をします。水害や風災、盗難などの災害には火災保険が適応するため、水漏れが発生したら加入している火災保険の加入内容を確認しましょう。

とくに確認すべき内容は、以下の2つがついているかどうかです。

・借家人賠償責任保険
・個人賠償責任保険

借家人賠償責任保険は、賃貸物件の持ち主である大家さんに与えた損害を賠償する保険です。入居者は退去の際に原状回復する義務があり、建物に損害を与えた際も元通りにしなければいけません。

水漏れや火災にあった建物を原状回復するには高額な費用がかかりますが、加入内容に借家人賠償責任保険が含まれていれば、これでカバーできます。

2つ目の個人賠償責任保険は、被害に合った箇所を補填してくれるほか、他人に与えてしまった損害も賠償する保険です。自分の過失で水漏れが発生したことにより他の入居者に被害を与えてしまった場合は、この保険を使ってカバーできます。

第三者へも被害が広がる恐れがあることを考慮すると、この保険への加入もマストといえるでしょう。

賃貸物件で水漏れトラブルに巻き込まれた場合の対処法

水漏れトラブルは、自分が加害者になるケースだけではありません。隣室・上階の水漏れから被害を受けるリスクもあり、そのような場合は上記と異なる対応が求められます。

もしそのような状況になってしまった場合には、以下の2つの手順で対処をしましょう。

・管理会社・大家さんに連絡を入れる
・契約時に加入した火災保険の内容を確認する

上記2点について以下で詳しく説明します。

管理会社・大家さんに連絡を入れる

壁から水が染み出てきた、あるいは天井から水が垂れてきたといった場合、すぐに管理会社や大家さんに連絡を入れましょう。

水漏れは、入居者本人が気づいていない場合や、原因となる入居者が不在の空室物件でも起こる可能性があります。そのため、気づいた時点で速やかに連絡するのが鉄則です。

このとき、管理会社や大家さんではなく、水漏れの原因だと思われる入居者に直接伝えるのはおすすめできません。水漏れの原因が、本当はその入居者ではなく、他の入居者や建物自体にある可能性も考えられ、トラブルに発展するおそれがあるからです。

その点、管理会社や大家さんに連絡をすると速やかに対応してくれるほか、余計な衝突も避けることができます。

契約時に加入した火災保険の内容を確認する

火災保険の内容を見て、先ほど解説した個人賠償責任保険がついているかを確認しましょう。

個人賠償責任保険は、個人に対しての損害をカバーしてくれるため、被害にあった箇所の補填が叶います。万が一個人賠償責任保険に加入していなかった場合は、管理会社や大家さんに相談して今後の対応について話し合いましょう。

賃貸物件の水漏れトラブルにかかる修理費用

賃貸物件が水漏れトラブルに遭った場合、気になるのは修理にかかる費用ですよね。ここからは、以下の2つのケースにおける修理費用について解説していきます。

・自分の部屋だけが被害に遭った場合
・自分の部屋と他の住人の生活範囲まで被害が及んだ場合

それぞれの具体的な金額を見ていきましょう。

自分の部屋だけが被害に遭った場合

水漏れの被害が自分の部屋だけの場合、修理費用の目安は以下のとおりです。

修理内容費用
水道の蛇口周りのパッキン交換8,000〜10,000円程度
トイレや浴室周りのパッキン交換5,000〜10,000円程度
トイレや浴室周りの部品交換10,000〜30,000円程度
浴室のシャワーホース交換13,000〜15,000円程度
バスタブのゴム栓交換8,000〜10,000円程度
給湯器の部品交換10,000〜20,000円程度

上記の価格目安は、作業代・部品代・出張代が含まれた料金です。

水漏れの原因が入居者本人の過失にあり、火災保険に借家人賠償責任保険・個人賠償責任保険がついていない場合は、すべての費用を負担しなければいけません。

自分の部屋と他の住人の生活範囲まで被害が及んだ場合

水漏れの被害が他の入居者の部屋にまで及んでいる場合、おおよそ「上記の費用×被害が広がった部屋数」が必要です。

さらに、他の人の家財などを故障させてしまった場合は、家財の賠償責任も負わなければいけません。場合によっては、百万円以上の費用が発生する可能性もあります。

このような場合も、火災保険に借家人賠償責任保険・個人賠償責任保険がついていなければ、入居者が費用を全額用意しなければなりません。

人によって異なりますが、すぐに用意するのは難しい金額になる可能性が高いです。そのため、火災保険に加入する際は特約の内容を確認して、万が一の場合の金銭的な負担を抑えましょう。

賃貸物件での水漏れトラブルを事前に防ぐために確認すべき箇所

賃貸物件で水漏れが発生すると、状況次第で高額な費用負担が発生するかもしれません。そのような事態に陥らないようにするためにも、水漏れ事故を事前に予防する工夫が必要です。

・排水管
・給水管
・給湯管
・エアコン(ドレンホースの排水口)

水漏れトラブルを事前に防ぐために、上記4箇所に問題がないか確認しておきましょう。各箇所の注意ポイントを解説していきます。

確認箇所①:排水管

排水管の接合部分にはパッキンが使われており、10〜15年ほどで劣化してしまいます。パッキンが劣化すると水漏れの原因になるので、定期的に排水管のパッキンを確認することが重要です。

また、排水管だけでなく、排水口の掃除も欠かせません。排水口に落ち葉や泥が溜まると正しい排水が行われず、部屋の中や階下の部屋に雨水が垂れ込んでしまう可能性もあります。

そのほか、排水口がカビや詰まりなどで汚れていると排水管の劣化に繋がるおそれもあるため、専用の長いブラシなどを使ってこまめな掃除を心がけましょう。

確認箇所②:給水管

給水管も排水管と同じく、接合部分にパッキンが使われています。このパッキンも10〜15年ほどで劣化してしまうため、水漏れを起こさないよう定期的な点検が必要です。

給水管は、キッチンや洗面台の下にある扉の中にあるのが一般的なので、掃除のたびに点検するなどルーティンを決めておきましょう。

確認箇所③:給湯管

給湯管とは、給湯器で沸かしたお湯を蛇口へ運ぶための管のことです。

給湯管も接合部分にパッキンが使われているため、排水管・給水管とおなじく劣化の心配をしなければいけません。給湯管も、キッチンや洗面台の下に設置されているのが一般的です。

確認箇所④:エアコン(ドレンホースの排水口)

エアコンからの水漏れの多くは、室内機から出る水を排出するためのドレンホースの詰まりが原因です。

このドレンホースはホコリやゴミなどが詰まりやすく、長期間放置することで水漏れが発生してしまいます。使い古した歯ブラシでゴミや汚れをかき出してお手入れしつつ、やっかいな水漏れを防ぎましょう。

賃貸物件の水漏れは原因によって責任範囲が異なる

賃貸物件で水漏れがあった場合、責任範囲は水漏れの原因によってそれぞれ異なります。

・賃貸物件に原因がある場合→管理会社、大家さんの責任
・入居者の過失が原因の場合→入居者の責任

賃貸物件で水漏れトラブルが起きた場合は、水漏れのあった場所が自分の部屋かどうかで対応が変わります。ただし、どちらの場合もまずは管理会社か大家さんに連絡を入れることが重要です。

また、多くの水漏れトラブルの修理費用や損害賠償は火災保険でまかなえるため、時間があるときに特約の内容について確認しておくようにしましょう。

ふどサーチ編集部