一人暮らしには、家賃や固定費など多くの費用がかかります。そのため、「手取り15万円で一人暮らしってできるのかな…」と不安に思う人もいるのではないでしょうか。支出を大きく占める家賃を抑えたり生活費を見直したりと必要なことはありますが、節約や工夫によって、手取り額が15万円の人でも一人暮らしすることは可能です。
今回は、手取り15万円の人が無理なく一人暮らしできる家賃の目安をご紹介します。また、生活費のシミュレーションや手軽に行える節約術もお伝えしていきますので、一人暮らしを迷っている人はぜひ参考にしてください。
目次
そもそも手取り15万の人の月収・年収はいくら?
手取り収入とは、額面給与から保険や税金などが引かれた後に実際に手元に残る収入のことです。勤務場所や年齢などで引かれる金額は異なりますが、以下の計算式を使うことで自分の手取り収入がわかります。
手取り収入=額面給与(基本給+残業代+その他手当)-控除(保険+税金+年金)
上記のように、額面給与からは保険や税金などさまざまなものが引かれます。実際に使える手取りとしては、額面給与の75〜80%ほどの額になることが多いため、生活費を見直すときはこの点を頭に入れておくようにしましょう。
「手取り15万円」と「月収15万円」の違い
以下の表で、手取り収入が15万円の人の額面給与を見ていきましょう。
<手取り収入15万円の場合>
月収 | 年収 | |
---|---|---|
額面給与 | 18.75〜20万円 | 225〜240万円 |
計算式 | 15万円(手取り額)÷0.75〜0.8 | 月収×12 |
※ボーナスが0円の場合
このように、手取り収入が15万円であれば額面収入は18.75〜20万円と考えられます。しかし額面収入が15万円の場合、手取り収入は11.25〜12万円となり、手取り収入が15万円のときと比べると、使える金額に3万円ほどの差が出るため注意しましょう。
また、住民税や社会保険の加入状況によって控除額は前後します。そのため、会社によっては月収18.75万円未満でも手取りが15万円に達する場合もあります。
手取り15万円の人の家賃目安・・・およそ5万円
一人暮らしの家賃目安は手取り収入の3分の1といわれているため、手取り収入が15万円であれば、家賃は5万円が目安です。5万円を超える賃貸物件を選ぶと生活費が圧迫され、無理のない一人暮らしがむずかしくなります。
また以下の記事では、家賃の目安を決める際に気をつけるべきポイントについて、詳しく解説しています。そのほか、家賃を抑える方法についても解説しているので、併せて読んでみてください。
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家賃の目安は収入のうち何割が理想?家賃を決めるときの注意点、抑え方も解説
東京23区内に住むならどこがおすすめ?
ワンルームに絞ると、東京23区内で家賃5万円台のエリアは以下の4つです。
23区名 | 家賃相場 |
---|---|
練馬区 | 5.60万円 |
足立区 | 5.92万円 |
葛飾区 | 5.30万円 |
江戸川区 | 5.80万円 |
時期によって家賃相場に幅はありますが、なかでも家賃相場が安めな傾向にある、葛飾区がおすすめです。とくに以下の地域は、目安である5万円を下回る家賃相場になっています。
地域 | 家賃相場 |
---|---|
青戸 | 4.70万円 |
細田 | 4.70万円 |
新宿 | 4.80万円 |
金町 | 4.90万円 |
東京23区内にある港区や中央区の家賃相場はワンルームであっても10万円を超える家賃の物件も多いため、目安家賃に近い賃貸物件を探すのはむずかしいでしょう。しかし、エリアにこだわりたい場合、築年数や広さの条件を緩めれば、東京23区内の中心部付近でも5万円台の賃貸物件を見つけられる可能性があります。自分の中で一番重要な条件を決めておきましょう。
手取り15万円の場合の生活費シミュレーション
手取り15万円で一人暮らしをするには、家賃だけでなく生活費も気にかけなければいけません。以下の表で、手取り収入15万円での一人暮らしの生活費をシミュレーションしました。
家賃 | 5万円 |
食費 | 3.3万円 |
水道光熱費 | 1.1万円 |
通信費 | 0.7万円 |
日用品 | 0.5万円 |
交際・娯楽費 | 2.0万円 |
交通費 | 0.3万円 |
貯金などその他費用 | 2.1万円 |
合計 | 15万円 |
※参考:総務省「家計管理 単身世帯」
削れる部分もあれば、目安の金額内に収めるのがむずかしい項目もあるかもしれません。無理な節約をしないようにするためにも、それぞれの内訳について考えるのが重要です。
食費
■食費目安額:3.3万円
食費は自炊と外食の割合によって大きく異なり、自炊が多い人ほど食費を減らしやすいといわれています。毎日自炊を行う人であれば、目安である3.3万円以下に抑えることも可能ですが、外食の回数が増えるとそのぶん食費がかさんでいきます。
たとえば、毎日の昼食に500円をかけた場合、1ヶ月で4.5万円となり3.3万円以内に抑えることができません。そのぶん別の項目でかかる費用を下げる必要もでてくるため、無理なく一人暮らしをするには自炊を増やすことが重要です。
食費に関する各費用の詳細や節約術は、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、食費を抑えたい人はこちらもチェックしてみてください。
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一人暮らし生活の食費、月平均いくら?節約方法なども解説
光熱費や水道代
■光熱費・水道代目安額:1.1万円
総務省が発表している単身世帯の「家計管理」によると、水道光熱費の内訳は以下のとおりです。
電気代 | 0.5万円 |
ガス代 | 0.3万円 |
その他光熱費 | 0.1万円 |
上下水道料金 | 0.2万円 |
※参考:総務省「家計管理 単身世帯」
水道光熱費は、日々の使い方を工夫することで節約できます。また、電力会社を変更する、あるいは現在契約しているプランを見直すことも節約に効果的です。一方ガス会社は、賃貸物件の場合だと事前に決まっており変更がむずかしいケースがほとんどなので、まずは変えられるかどうか大家さんに相談してから検討しましょう。
なお、光熱費・水道代の詳細費用や節約術は以下の記事で詳しく解説しているので、こちらを見ながら自分に合った節約術を試してみてください。
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一人暮らしの水道光熱費はいくらかかる?手軽にできる節約術も解説
通信費
■通信費目安額:0.7万円
通信費には、スマートフォンやWi-Fiの費用が含まれます。通信費は、以下のような工夫を行うことで節約することが可能です。
<スマートフォン>
・格安SIMに乗り換える
・使わないオプションを外すなどプランの見直し
・通話はアプリを使う
<インターネット回線>
・低コストのプロバイダに乗り換える
・スマホとのセット割を活用する
・テザリング機能を使う
スマートフォンは、格安SIMに乗り換えるだけでも大きな節約に繋がります。大手キャリアにこだわりがない方や、日々のデータ通信量が少ない方は、契約会社の変更を検討してみてください。
日用品
■日用品目安額:0.5万円
日用品には、家事雑貨や消耗品、洋服や理美容品などが含まれます。日用品代の内訳や費用は年齢や性別、趣味趣向などによってそれぞれ異なり、一概に決められるものではありません。たとえば毎日化粧をする人とほとんどしない人では、理美容品の費用が大きく違ってきます。
日用品を節約したい場合には、購入する前に本当に必要なものかどうかを考えたり、月々どんなものにいくら使っているか内訳を確認したりして、余計な出費を抑えられるよう対策することがおすすめです。
交際費や娯楽費
■交際・娯楽費目安額:2.0万円
交際費は人付き合いに必要な費用、娯楽費は書籍や旅行など趣味にかける費用のことを指します。特に交際費は第三者が大きく関係する費用のため、自分ではコントロールしにくく予算をオーバーしてしまう可能性が高いです。
手取り15万円で一人暮らしをするには、交際・娯楽費を最小限に抑えることが重要です。しかし、節約を意識しすぎると日々の生活の楽しみがなくなってしまします。ストレスを溜めないようにするためにも、月々の目安額を意識しながら、無理のない予算を組んでみてください。
交通費
■交通費目安額:0.3万円
上記の金額は、車を持たずに公共交通機関で移動する場合をシミュレーションしたものです。車を持っている方であれば、車検代やガソリン代など維持費が加わります。
電車やバスを頻繁に使用する人は、定期券を購入するなどの方法で節約しましょう。また、近距離の移動なら自転車を使うなどの心がけも交通費の節約に繋がります。
家賃を抑えるために駅から遠い賃貸物件を選ぶ人もいますが、駅から遠すぎるとバス代やタクシー代などが発生し、トータルで見たときに生活費が増えてしまうかもしれません。家賃と交通費の両方を抑えるためには、偏った見方をせずさまざまな方向から考えることが大切です。
貯金などその他費用
■貯金目安額:1.95万円
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」によると、多くの方は手取り収入の13%を貯蓄に回していることがわかります。手取り15万円の場合、1.95万円が貯金平均額のため、急な出費にも対応できるようこの額を目安に貯金しておきましょう。
また、貯蓄以外の費用として、医療費や冠婚葬祭費などが挙げられます。急な怪我や病気には多額の費用がかかる可能性があるため、生活費をできるだけ抑えて毎月の余剰確保を意識しましょう。
【家賃が安い部屋の探し方】手取り15万円でも一人暮らしできる!
手取り収入が15万円でも、家賃5万円以下の物件を選べば、あまり無理なく一人暮らしが叶います。東京都内で家賃5万円以下の賃貸物件に住むのはむずかしいですが、ここから紹介する5つのポイントを活用することで、家賃が安い賃貸物件を見つけることができます。
探し方①:都心エリアから離れた賃貸物件を探す
都心エリアから離れるほど、賃貸物件の家賃相場は安くなります。上記で紹介した練馬区・足立区・葛飾区・江戸川区は、港区・中央区・千代田区といった都心部からやや離れているため、家賃相場が安めな傾向にあります。
東京23区内に限定しなければ、さらに家賃の安い賃貸物件に住むことも可能です。東京都全体の家賃や、家賃相場の安いエリアを知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
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東京都の家賃は高い?他県との比較や安いエリアなど気になる情報をお届け!
探し方②:駅から離れた賃貸物件を探す
駅から距離がある賃貸物件は、駅近物件に比べると家賃が安くなる傾向が高いです。上記でご紹介した練馬区・足立区・葛飾区・江戸川区を例に出すと、駅徒歩によって以下のように家賃相場が変わります。
駅徒歩5分の場合 | 駅徒歩20分の場合 | 差額 | |
---|---|---|---|
練馬区 | 5.80万円 | 5.60万円 | 0.20万円 |
足立区 | 6.00万円 | 5.98万円 | 0.02万円 |
葛飾区 | 5.30万円 | 5.30万円 | – |
江戸川区 | 6.00万円 | 5.80万円 | 0.20万円 |
月当たりの額は小さく見えますが、毎月0.2万円家賃が下がると、年間2.4万円も家賃を節約できます。「駅徒歩」の条件のみ変えるだけで、家賃の安い賃貸物件が候補に挙がってくるため、家賃を抑えたい場合は駅からの距離を意識して調べてみましょう。
探し方③:新築物件以外も視野に入れる
賃貸物件は、築年数が古くなるほど家賃を抑えることができます。練馬区・足立区・葛飾区・江戸川区の場合、新築と築年数30年以外だと家賃相場に以下のような差が生まれます。
新築の場合 | 築年数30年以内の場合 | 差額 | |
---|---|---|---|
練馬区 | 6.25万円 | 5.60万円 | 0.65万円 |
足立区 | 6.60万円 | 5.95万円 | 0.65万円 |
葛飾区 | 5.50万円 | 5.30万円 | 0.20万円 |
江戸川区 | 5.80万円 | 5.80万円 | – |
築年数にこだわらなければ、毎月0.2~0.65万円ほど家賃を節約できます。ただし、築年数が古すぎる賃貸物件は建物の耐震性が心配なこともあるかもしれません。特に、1981年以前に建設された建物は耐震基準が古いため、不安な方は1982年以降に建設されているどうか物件情報をチェックしてみてください。
探し方④:妥協できる設備や条件を考える
手取りが15万円で不安な面もある一方、なるべく理想と近いお部屋に住みたい人も多いのではないでしょうか。しかし、希望条件は増やせば増やすほど家賃相場が高くなり、候補に上がる賃貸物件の数も減ります。
家賃5万円以下の賃貸物件を見つけたい場合は、あらかじめ考えていた希望やこだわりを見直すことが重要です。「ここだけは譲れない」というポイントを明確にし、それ以外の面は妥協しながら部屋探しを進めていきましょう。
探し方⑤:家賃が安くなる可能性が高い時期に探す
賃貸物件は、閑散期と呼ばれる6〜8月にかけて家賃が下がる傾向にあります。この時期は引越しする人が少なく、空室を埋めようと家賃を下げて入居者を募る大家さんがいたり、初期費用などの交渉がしやすくなったりします。
ただし、これらは不動産会社や大家さんによってそれぞれ異なり、必ずしも安くなるとはいえないため注意しましょう。
家賃が安くなる時期に関しては、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、少しでも家賃を抑えたいと考えている人はぜひ参考にしてください。
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家賃が安い時期はいつ?おすすめのタイミングや閑散期を狙うメリット・注意点を解説
手取り15万円なら家賃5万円の賃貸物件を探してみよう
手取り収入が15万円の場合、家賃5万円以下の賃貸物件を選ぶことがおすすめです。また、一人暮らしには家賃以外にも固定費や娯楽費などの費用がかかります。一ヶ月生活するにはいくら必要かシミュレーションしつつ、毎月の予算を決めることが重要です。
東京23区内で家賃5万円以内の賃貸物件を探すなら、都心から離れたエリアを中心にチェックしていきましょう。希望条件は妥協できる点と譲れない点を明確にし、理想の賃貸物件を見つけてみてください。